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【人事戦略は採用からスタートする】ことを徹底する

こんにちは。堀内猛志です。
前回のnoteでは、「【経営戦略と人事戦略を接続する】ことを徹底する」ということについて書きました。

様々な規模の企業様の人事戦略サポートをさせていただいてきましたが、そもそも戦略がなかったり、戦略が徹底されていないところがほとんどです。これは人事戦略に限ったことではなく、経営戦略や事業戦略にも言えることです。

戦略と言いながら、基本方針やテーマで終わっている企業が多いです。戦略を基本方針やテーマにとどめてしまうと、実行の伴わない机上の空論になる可能性が高まってしまいます。実行が伴わないということはイレギュラーが起きるということです。イレギュラーはフェアではないため組織に不信感をもたらします。この不信感と言う小さなひずみが大きな問題になるのが組織の怖いところです。目に見えるプロダクト開発コストには敏感でも、目に見えない組織にかかるマネジメントコストに鈍感という経営者は多いです。しかし、スクラッチビルドができるプロダクト開発に対して組織開発は簡単にスクラッチビルドはできません。そういう意味では何よりも一番気を遣うべきは人事組織戦略だと私は考えています。

人事組織戦略の1歩目が「採用」です。今回は「採用を徹底すること」について展開していきます。

迷ったら採用に立ち返る

人事戦略を考えるうえで重要になるのは取り組む施策の順番です。企業様からの依頼は、教育研修や制度改変等を通じ人材の成長や、社内で重要視しているバリューに沿った行動変容を望むオーダーが多いのです。しかし、私が確認するのは根本課題の解決であり、原因は採用にあることが多いです。研修や人事制度設計ももちろん重要です。しかし、「できない人をできるようにする」よりも「元からできる人を採用する」方が効果的かつ効率的です。人事施策のレバレッジ度合い(小さな力で大きな効果を出す)によって実施の優先順位が変わります。

人事施策

ちなみに前職のネオキャリアでよく使っていた言葉は「虎は虎、猫は猫」です。つまり、猫が成長しても大人の猫になるだけど、虎にはならないということです。虎が必要なら虎を採用するかポテンシャルのある子虎を採用して育てるか、が重要であり、採用時点で猫を採用していたのであれば、配置、評価、教育などの後工程の施策でいくら頑張ろうが効果はない、または薄いということです。

当たり前の話をしているのですが、現実は採用に目を向けない企業も多いです。なぜなら、採用に苦労している企業ほど今いる人材で戦わざるを得ないからです。人材をどう成長させようか、マインドセットできないか、という考えにフォーカスしてしまうのはしょうがないことだと思います。しかし、どこかで採用を大きく変化させないと長期的に見ても効率が悪く、効果の薄い人事施策に奔走するだけになってしまいます。まずは「採用を変える」ことに目を背けることを止めて向き合いましょう

採用における戦略と戦術

人事戦略の中で採用という施策は具体的なので「戦術」のみが議論されることが多いですが、採用にも戦略と戦術は分かれます。戦略と戦術の違いは以下の通りです。

戦略=長期目線/マクロ視点
目的を達成または成功させるための大局的及び長期的な構想や指針
戦術=短期目線/ミクロ視点
戦略により決定された構想や指針に従い、実際の作戦を短期的かつ小規模なレベルで実行

この定義に当てはめて「採用戦略」と「採用戦術」についてまとめると以下のようになります。

採用戦略と採用戦術

採用の話題になるのはほとんどが戦術の話です。どんなメディアやエージェントを使えば効果的か?、スカウトの返信率を上げるには?、こういう人がいるのだが承諾してもらうためにどうすればいいのか?、等々、採用担当者が目の前の候補者を獲得するのに躍起になっているのがわかります。しかし、戦術の前に戦略があり、戦略がないためにすでに勝負はついてしまっている場合が多いです。

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