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省庁再々編は活路となるか

官僚の不祥事が、中央省庁の再々編論議に火をつけた。省庁再々編で、文書書き換えや隠ぺいなどをなくすことはできるだろうか。

日本経済新聞4月7日朝刊に、私のインタビュー記事が掲載されました。

「歳入庁」を新設して徴収一元化するとメリット大というが、日本年金機構の徴収機能を今ある国税庁に集約すれば徴収一元化はできる。なのに、「歳入庁」を新設する意味はあるのか。唯一違うのは、国税庁の権限を財務省から奪うことだけだ。

おまけに、徴収一元化は、歳入庁を作っても解決しない。なぜなら、地方税と一部医療介護の保険料の徴収は各地方自治体が行っているからだ。自治体の徴収も一元化しなければ、国民のメリットはほぼない。国税の所得税を課される人より地方税の住民税を課される人の方が多い。企業も、従業員の住民税の源泉徴収や、法人住民税や事業税の納付で、相当な事務量が課されている。

しかし、自治体の地方税徴収は、自治体の課税自主権に裏付けられたものであり、これを国家機関の「歳入庁」に一元化することは、そもそも地方自治体の(感情面だけでなく制度面からの)強い反対に遭い実現は困難だ。

国税庁を財務省から分離することは、役人の裁量を限定すれば、何の意味もない。国税庁にある権限が、政治家を怯えさせているという「都市伝説」がある。まず脱税をしていなければ国税庁は何も怖くないはずだが、国税庁が持つ権限に裁量があり、その裁量が政治家にとって迷惑なら、組織を分離するのではなく、権限行使に制限をかければよいだけだ。裁量の余地をほぼなくしルールに従って国税庁の業務を遂行させれば済む話だろう。


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