「働くと減額される年金給付」仕組みを改めるには

定年延長や高齢者の継続雇用が進む一方、「在職老齢年金」が高齢者就労を阻む一因とされる。一定以上働いて所得を稼ぐと年金給付が減らされるからだ。高所得者には年金給付を抑え、所得格差を縮めるにはよいのだが、就労意欲を削ぐ点で問題がある。

では、抜本解決はできるか。実は、厚生年金の支給開始年齢の引上げが、図らずもその解決の一助となる。厚生年金の支給開始年齢は、今62歳で、2025年には65歳となるよう徐々に引き上げられている最中だ。標準的にもらえる厚生年金を受け取りたいが、継続して働きたいとなると、前述の給付減額に直面する。しかし、2025年以降は標準的には65歳までそもそももらえない仕組みになるから、年金減額の憂き目に遭う可能性は減る。働きながら年金ももらうのではなく、働けるまで働いてそれから(より多く)年金をもらうライフスタイルがメジャーになれば、在職老齢年金の弊害も解消するだろう。


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