TAKENOUCHI M.D.

専門は総合内科、リウマチ膠原病、総合診療。著書に、ジェネラリストが知りたい 膠原病のホ…

TAKENOUCHI M.D.

専門は総合内科、リウマチ膠原病、総合診療。著書に、ジェネラリストが知りたい 膠原病のホントのところ、在宅医ココキン帖など。 https://www.amazon.co.jp/dp/4815730350/ https://www.amazon.co.jp/dp/4892699810

マガジン

  • 膠原病マガジン ケリー Pearl & Myth

    • 64本

    膠原病マガジン第一弾 Rheumatologistたちが、膠原病の成書「Firestein & Kelley's Textbook of Rheumatology, 11 editon」を通読して、わくわくポイントをPearl and Mythに落とし込んでいきます。隔週で4章ずつのアップを目標にやっていきます。

最近の記事

101章 痛風の症状と治療

kelley101章は Clinical Features and Treatment of Gout100章の病態生理についてうちのエースが神がかったまとめをしてくれているので、ぜひそちらを参照してください。複雑系の免疫学が本当におもしろいことを痛感できると思います。 Pearl: 2015年米国リウマチ学会(ACR)/欧州リウマチ学会(EULAR)の痛風分類基準は、臨床試験の組入基準を整えるものであり、診断のために使用されるべきではないComment: The 2015

    • 蕁麻疹様血管炎 Urticarial Vasculitis

      Kelleyの免疫複合体性血管炎をまとめていたときにできた蕁麻疹様血管炎について、知識がなさすぎるのでまとめました。 小血管炎は、免疫複合体が沈着しないANCA関連血管炎と免疫複合体性血管炎の病態に分けられる。後者の詳細は以下のリンク先にまとめてあります。 免疫複合体性血管炎の代表が、IgA血管炎とクリオグロブリン血症性血管炎があり、そのならびにあるのが、低補体血症性蕁麻疹様血管炎(= 抗C1q血管炎)が出てくる。 概要 ・蕁麻疹様血管炎は、組織学的に白血球破砕性血管炎の

      • 96 Immune Complex–Mediated Small Vessel Vasculitis

        kelley96章、小血管炎のなかでANCA関連血管炎と双璧をなすもう一つの血管炎、「免疫複合体性血管炎」について。代表選手はIgA血管炎です。ここを抑えるとかなり血管炎に強くなれると思います。総論として読んでください。 キーポイント免疫複合体(IC)を介する血管炎には、ICの過剰産生、あるいはICのクリアランスの低下によって引き起こされる疾患群である。 IC介在性血管炎の最も一般的な型は、過敏性血管炎、IgA血管炎(旧ヘノッホ-シェーンライン紫斑病[HSP])、混合型ク

        • 免疫関連有害事象irAEマネジメント mini、これはirAEを診ない先生も楽しめる名著

          峯村信嘉先生の、「免疫関連有害事象irAEマネジメント 膠原病科医の視点から」のアップデートmin版 とっても良かった。楽しかった。激アツだった。irAEを見ない先生にもぜひ読んでもらいたい。俺なら副題としてこう付け加える。 「自己免疫疾患との最強の戦い方がここにはある」 現地点で自己免疫疾患の治療を学ぶ本としてこれを超えるマニュアル本はないと思う。膠原病という垣根を超えた、皮膚、関節、肺、腎臓、内分泌、心臓、腸管、さまざまな自己免疫疾患との戦い方がここに凝縮されている。

        101章 痛風の症状と治療

        マガジン

        • 膠原病マガジン ケリー Pearl & Myth
          64本

        記事

          92章 血管炎の分類

          92 Classification and Epidemiology of Systemic Vasculitis キーポイント血管炎は、虚血や臓器障害を引き起こす、血管の炎症を特徴とする疾患群である。 分類基準は、臨床研究のために患者の均質なコホートを作成することを目的としており、診断基準として使用するべきではない。 多くの血管炎の分類基準は、個々の疾患に対する理解が進むにつれて進化してきた。 現在、最も一般的に使用されている血管炎の分類方法は、主に侵される血管の大

          92章 血管炎の分類

          86章-2 SLEの治療(臓器別)Treatment of Systemic Lupus Erythematosus

          ケリー 86章、SLEの治療の続き、今回は臓器別です。 総論、薬剤別は以下に参照 https://note.com/takenouchi14/n/n2a52fa7b39b1 全体のキーポイントはまたここで復習、怒涛の反復 臓器別治療のキーポイント皮膚・関節Myth: 皮膚病変のほとんどはヒドロキシクロロキン、ステロイドやカルシニューリン阻害薬の局所療法で治療ができるReality: Almost 40% of patients will not respond to th

          86章-2 SLEの治療(臓器別)Treatment of Systemic Lupus Erythematosus

          86章-1 SLEの治療(総論+薬剤編)Treatment of Systemic Lupus Erythematosus

          Kelley86章 皆が大好きSLEの治療。今回はボリュームが多いので2つに分けます。まずは総論+薬剤編。臓器別は次回(↓)にします。 https://note.com/takenouchi14/n/na8068b53e179?magazine_key=mc6f8754860ed 全体のキーポイント全身性エリテマトーデス(SLE)の治療により、寛解を目指すか、それが不可能な場合は、疾患活動性をできるだけ低くし、再燃を予防する。 薬による副作用は、特にグルココルチコイド

          86章-1 SLEの治療(総論+薬剤編)Treatment of Systemic Lupus Erythematosus

          82章 乾癬性関節炎: Psoriatic Arthritis

          Firestein & Kelley's Textbook of Rheumatology, Eleventh Edition, 82章 キーポイント非対称的な関節分布パターンで、指趾炎、付着部炎、炎症性腰痛などの臨床的特徴があり、リウマチ因子が陰性の患者では、乾癬性関節炎を疑うべきである。 分類基準である乾癬性関節炎の分類(CASPAR)基準は実用的である。 乾癬性関節炎は進行性の疾患である。患者の47%が診断後2年以内にびらんを生じる。多関節病変と赤沈上昇は予後不良

          82章 乾癬性関節炎: Psoriatic Arthritis

          75章 関節リウマチの病態 Pathogenesis of Rheumatoid Arthritis

          お待ちかねの、Firestein & Kelley's Textbook of Rheumatology, Eleventh Edition、75章、RAのPathogenesis キーポイント はじめに ・関節リウマチの病態は数十年にわたり広く研究されており、滑膜炎や関節障害の持続に寄与する多くの機序が明らかにされてきた。これらの知見の多くは、炎症反応を標的とし、臨床的に大きな利益をもたらす新規薬剤の開発につながった。本章では、RAに関与する多様な炎症性・破壊性経路につ

          75章 関節リウマチの病態 Pathogenesis of Rheumatoid Arthritis

          71章 リウマチ性疾患における鎮痛薬

          Kelley71章、Analgesic Agents in Rheumatic Disease NSAIDs以外の鎮痛薬の話です。 オピオイド、トラマール、抗うつ薬(三環系抗うつ薬、SNRI)、プレガバリン・ガバペンチンについて。 キーポイントアセトアミノフェン、非ステロイド性抗炎症薬、オピオイドなどの鎮痛薬は、侵害受容性疼痛や炎症性疼痛に有効である。 抗うつ薬、抗けいれん薬、筋弛緩薬などの鎮痛補助薬は、本来の鎮痛作用はないが、神経障害性疼痛や機能性疼痛には有効であり、鎮

          71章 リウマチ性疾患における鎮痛薬

          IL-6阻害薬使用時はカルプロテクチンがいい?

          トシリズマブ使用時の疾患活動性評価に、カルプロテクチンが使えるかも、という話です。 トシリズマブを使用するとCRPが陰転化するため、活動性評価に困るのが私達の大きな悩み。特に高安動脈炎で凄い困る。高安動脈炎のときは、PET-CTを撮影するか、一旦トシリズマブを中止してみる、ということをする。 関節リウマチで、トシリズマブ使用時でも、活動性があるとカルプロテクチンは上がるというデータがこちらです。 https://arthritis-research.biomedcentr

          IL-6阻害薬使用時はカルプロテクチンがいい?

          Joanne Reeve のジェネラリズムの触り

          Facebookではいま、Joanne Reeveの「Medical Generalism, Now! 」で盛り上がっている。英語で読んだぜと、ドヤ顔したくなるような、そんなジェネラリストの心を擽る、我々を正当化させてくれる、控えめに言ってモンスター級の名著だといっていい、とまだ全体的な拾い読みと、一章最後までの精読の段階だがそう確信させてくれる。 ジェネラリズムとは何か。私の実体験としては、学生時代にココキンを一緒に書いた、人生会議の名付け親である紅谷先生から、患者中心の

          Joanne Reeve のジェネラリズムの触り

          68章 リウマチ性疾患における細胞内標的薬- JAK阻害薬

          Firestein & Kelley's Textbook of Rheumatology, Eleventh Edition 68章 リウマチ性疾患における細胞内標的薬 細胞内標的薬のキーポイント過去30年の間に、免疫細胞の細胞膜のレセプターにリガンドが結合した後、核へのシグナル伝達を担う主要な経路が解明されてきた。 そのシグナル伝達の主な担い手は、細胞内タンパク質をリン酸化するプロテインキナーゼである。 プロテインキナーゼを阻害する、p38マイトジェン活性化プロテイ

          68章 リウマチ性疾患における細胞内標的薬- JAK阻害薬

          添削指導と教育の連鎖

          医師の文章は、コンビニ用語のような独特の癖がある。体言止めや助詞が抜けることに加えて、「とき」を、「ところ」と言ったり、受動氏が多用される。文章の添削指導については私はとても幸運だった。 社会人から医学部に入ったので文章力は多少マシだったかもしれないが、もともと雑な性格の私の文章がそれなりになったのは優秀なオーベンたちのおかげだ。 研修医のとき2年間弟のようにかわいがってくれた、厚労省の医系技官出身の佐方信夫先生が細かく文章を直してくれた。おかげで医師用語に染まらなくてす

          添削指導と教育の連鎖

          64章 伝統的な抗リウマチ薬とその併用療法、いわゆるcsDMARDs

          Traditional DMARDs: Methotrexate, Leflunomide, Sulfasalazine, Hydroxychloroquine, and Combination Therapies csDMARDsのキーポイントメトトレキサートは、関節リウマチ(RA)の単剤療法または併用療法の基本であり、最も持続性が高く頻繁に使用される抗リウマチ薬(csDMARDs)の一つである。 レフルノミド(保険適応外)、スルファサラジン、ヒドロキシクロロキン(保険

          64章 伝統的な抗リウマチ薬とその併用療法、いわゆるcsDMARDs

          60 急性期反応物質 Acute Phase Reactants

          Firestein & Kelley's Textbook of Rheumatology, Eleventh Edition 60章はCRP、赤沈、SAA、プロカルシトニンなどの急性期反応物質 キーポイント炎症は、感染や傷害による組織損傷に対する反応を示す、複雑で非常に多様な一連のプロセスからなる。 赤血球沈降速度(ESR)は、炎症の臨床的指標として一般的に用いられているが、血液の物理的・化学的性質に依存しており、その多くは炎症とは無関係である。 急性期蛋白の代表格

          60 急性期反応物質 Acute Phase Reactants