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86章-2 SLEの治療(臓器別)Treatment of Systemic Lupus Erythematosus

ケリー 86章、SLEの治療の続き、今回は臓器別です。
総論、薬剤別は以下に参照
https://note.com/takenouchi14/n/n2a52fa7b39b1

全体のキーポイントはまたここで復習、怒涛の反復

全身性エリテマトーデス(SLE)の治療により、寛解を目指すか、それが不可能な場合は、疾患活動性をできるだけ低くし、再燃を予防する。
薬による副作用は、特にグルココルチコイドによる毒性は最小限に抑えるべきである。
ヒドロキシクロロキン(HCQ)は禁忌のないすべてのSLE患者に推奨される。
ヒドロキシクロロキンの投与量は実質体重で5mg/kgを超えないようにし、投与時、5年後、その後は1年ごとに眼科的評価を行う。
重症で主要臓器に病変のあるSLEは、通常、高用量のグルココルチコイド(GC)とシクロホスファミド(CYC)静注によるパルス療法で治療する。
中等度の重症ループス腎炎では、MMFはCYCと同等の効果があり、副作用プロファイルも優れている。
ループス腎炎の維持療法はMMFまたはアザチオプリン(AZA)のいずれかが推奨される。
ベリムマブ(抗BAFF)は、標準治療にもかかわらず疾患活動性が持続する症例や再燃が頻発する症例、あるいはGCを十分漸減できない場合に考慮すべきである。
重症例や難治例にはリツキシマブ(抗CD20)を使用することがある。
妊娠前のカウンセリングと妊娠計画は、妊娠を成功させるために不可欠である。

全体のキーポイント

臓器別治療のキーポイント

皮膚症状には、日焼けの予防、グルココルチコイドまたはカルシニューリン阻害薬の外用薬、抗マラリア薬(ヒドロキシクロロキン)の全身投与が推奨される。
中等度以上の増殖性ループス腎炎(LN)では、MMFまたは低用量のCYC静注療法が推奨され、重度の増殖性LNでは高用量のCYC静注療法が望ましい。
LNにおける維持療法にはMMFまたはAZAが用いられる。
神経ループスにはグルココルチコイドまたは免疫抑制剤が推奨される。
抗リン脂質症候群(APS)では抗血小板/抗凝固療法が推奨される。

臓器別治療のキーポイント

皮膚・関節

Myth: 皮膚病変のほとんどはヒドロキシクロロキン、ステロイドやカルシニューリン阻害薬の局所療法で治療ができる

Reality: Almost 40% of patients will not respond to this first-line treatment. 
・ここでいうFirst-lineとは、紫外線予防、禁煙、ヒドロキシクロロキンに加えて、軽症ではステロイドやカルシニューリン阻害薬の局所療法、中等症以上ではステロイドの内服
・40%はこれでうまくいかず、次の治療が必要になる。
・2nd line: メトトレキサート
・3rd line: MMF、ダプソン、レチノイド、ベリムマブ。
・4th line: リツキシマブ、またはサリドマイド。サリドマイドは神経毒性があるので重症のCLE(皮膚エリテマトーデス)のみつかうべき、とのことですが、そもそも保険適応外。前回出てきたアニフロルマブ、も選択肢にあがるかもしれません。
・MTXのデータ、CLE43例の後ろ向き研究、週1回7.5〜25mgのMTXで1例を除く全例で治療効果あり、とのこと。 Br J Dermatol 2005; 153: pp. 157-162.

Doboisの皮膚マネージメントの図

関節炎

・軽症ではHCQ、持続する場合はMTX+/-プレドニン。それでもだめならベリムマブ。ただし、ベリムマブは重症関節炎の場合は効果が低いことも(Autoimmun Rev 2017; 16: pp. 343-351.)。
 ・RAが合併していたらRTXはよい選択肢になります。

ループス腎炎

ループス腎炎の治療レジメン

class Ⅲ-Ⅳ (+/- V) の導入療法の例
・ステロイドパルス(mPSL 750~1000mg×3日)後、0.5mg/kg/日経口投与
免疫抑制薬
①低用量CYC静注(500mg×6回、2週ごと)- 中等度重症の白人患者
or 
②MMF(3g/日;または同量のeMPA):中等度重症の場合。重症の場合はCYCの次の2nd line、ヒスパニックから黒人に望ましい
③CYCの大量静注(0.75~1g/m 2× 月7回パルス)- 重症のケース
・ステロイドはやはりここでも0.5mg/kgからとなっています。ステロイドのベストのレジメンは分かっていないので、重症な場合は1mg/kgで行くと思います。大事なことはその後にしっかり減らすこと。前回紹介した通り、EULAR/ERA-EDTA recommendationsだと0.3-0.5mg/kg/dayでいって、3-6ヶ月で7.5mg以下を目標(Ann Rheum Dis. 2020 Jun;79(6):713-723.)。2023EYULARでは4-5ヶ月で5mg目標、となっていますがこの根拠は良くわかりません。

class Ⅲ-Ⅳ (+/- V) の維持療法
導入治療で蛋白尿の減少、GFRが安定または改善した場合は維持治療へ移る。
・GCの漸減していき、プレドニン換算7.5~15mg隔日を目指す。
免疫抑制療法
MMF(2g/日):重症のLNではMMFが望ましい。
AZA(2mg/kg/日):CYC静注で導入する場合、または妊娠を考慮する場合はAZAで維持。
・維持のプレドニンは​​ 7.5-15 mg of prednisone equivalent on alternate days、と書いてあります。隔日投与。どのぐらいから隔日にするかは議論のあるところ。しっかり寛解に持っていけたら隔日にしてもよいと思いますが、早めの隔日は再発リスクが上がるため要注意です。5mgから10mg隔日にするか、少し増やして15mg隔日にするか。5mg-4mg隔日、みたいな使い方もありますね。
・EULARでは維持量はPSL5mg日以下目標、できれば中止する。
・MMFは2g分2(最低1.5mg/日)。

Pearl: 維持療法期間で少なくとも3年に免疫抑制療法を漸減または中止すると再燃のリスクが高まる

Comment: Discontinuing or switching immunosuppressive therapy because of lack of achieving complete renal response before completing at least 2 years of treatment is not justified unless there is definite disease worsening (reproducible increase in Cr and/or increase in proteinuria).

・維持では免疫抑制薬は最低3年とされています。特にⅢ-Ⅳ型。
・ただし、カルシニューリン阻害薬を使っている場合は、腎毒性を考慮すると3年いっていいのかは議論があるところ。皆さんどうしていますか?

Myth: 治療をすれば半年程度で血尿や尿蛋白は消失する。

Reality: Microscopic hematuria or non-nephrotic proteinuria may not clear for several months, and complete renal response (defined as proteinuria <0.5 g/day with normal or near-normal [±10%] GFR) may occur at an average of 1.5 to 2 years after therapy.
・顕微鏡的血尿または3g/日未満の蛋白尿は数ヵ月間消失しないことがあり、complete renal response 完全腎寛解(蛋白尿が0.5g/日未満で、GFRが正常または正常に近い[±10%])は、治療後平均1.5~2年かかる。
・潜血や尿蛋白は戻るのに結構かかるので、慣れていないと焦ります。ループス腎炎の尿所見の改善は遅いので、どの程度まで許容できるかはしっかり理解しておくと良いです。どこまで我慢できるか、治療目標をまとめておきます。

ループス腎炎の治療目標

・6ヵ月後の腎機能正常化、蛋白尿が50%以上または1g/日未満
・最初の3〜4ヵ月後に腎機能および蛋白尿の改善が得られない場合、あるいは6〜12ヵ月治療後に効果が得られない場合は治療の変更をすべきである。
・顕微鏡的血尿または3g/日未満の蛋白尿は数ヵ月間消失しないことがあり、完全腎寛解(蛋白尿が0.5g/日未満で、GFRが正常または正常に近い[±10%])は、治療後平均1.5~2年かかる。
・少なくとも2年間は免疫抑制療法を継続すること。

Pearl: 中等度から重度のⅢ-Ⅳ型ループス腎炎の約30%から50%は、部分寛解または完全寛解を達成した後に再発する

Comment: Approximately 30% to 50% of patients with moderate to severe PLN will relapse after achieving partial or complete remission.
・再発は尿沈渣異常(尿蛋白/潜血)とCreの30%以上の上昇で疑う。ESRD進行の危険因子は、腎機能低下(Cr>2mg/dL)や腎生検での慢性化指数と活動性指数が高い場合である。迷ったら再度腎生検も検討します。
・尿所見と腎生検の乖離があることも知られています。明らかな尿所見がなくても腎生検で異常を認めるsilent lupus nephritisもありますし、悩んだら腎生検です。

再発、難治例
・次なる手は(1)MMFとCYCの切り替え、(2)カルシニューリン阻害薬(単独またはMMFへのアドオン)、(3)RTX。重篤な腎炎の再燃ではCYCの月1回のパルス静注(未使用の場合)とステロイドパルスを併用する(Kelley筆者のアプローチ Antonis Fanouriakis, Bertsias George and Dimitrios T. Boumpas)

CNS


神経ループスのアプローチ、除外→免疫or 血栓?

Pearl: 神経ループスの診断は、感染症・悪性腫瘍の除外、神経以外のSLEの臓器障害の評価、神経画像や脳脊髄液の異常・抗リン脂質抗体の有無の評価が必要になる。

Comment: Attribution of neuropsychiatric manifestations to SLE requires a multidisciplinary approach to rule out mimics (infections, malignancy, and others) and should consider the presence of risk (“favoring”) factors (type and timing of manifestation, presence of generalized, non-neurologic disease activity, abnormal neuroimaging and cerebrospinal fluid analysis, positive antiphospholipid antibodies [APL]), as well as confounding factors favoring other diagnoses 
・まずは感染症や悪性腫瘍、薬剤性の可能性を検討します。
・一般的検査、各種培養、ルンバール、MRI、SLEの活動性(腎炎など)、抗リン脂質抗体の評価。
・神経ループスを疑った場合は、次は免疫反応なのか血栓なのか、が大事。
・除外を待たずに治療を開始しなければ行けないケースが多いのが難しいところ。とにかく治療を開始して、検査結果を見ながらいろいろ引いていくイメージです。
・軽症ではステロイド+/- AZA、重症ではステロイドに加えてCYCまたはRTXが推奨、と書いてあります。NPLUPUSにRTX、日本から。データはあまりないがCYCが効かない場合は使われている、らしい。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/17107983/

Pearl: 血小板減少症 (2-3万 未満)または溶血性貧血(AIHA-  Hb <8-9mg/dL)はステロイドパルス後、GC sparingとしてAZA、MMF、CsAの開始が推奨される

Comment:  When treatment is indicated (thrombocytopenia: platelet count <20 to 30 × 10 3 /mm 3 or active bleeding, AIHA: Hb <8 to 9 mg/dL), GCs are the mainstay of treatment. Use of IV MP pulses during the immediate treatment phase and early initiation of GC-sparing agents (AZA, MMF, or CsA) is encouraged, in order to facilitate GC tapering. IV immunoglobulin may also be given in the acute phase, if response to GC is not adequate. 
・血小板減少: ステロイド開始後反応があれば(5万<)、免疫抑制剤をアドオン。反応がなければ、RTXまたはCYC。他の選択肢としては、急性期のIVIGがある。それでもだめな場合は、トロンボポエチン受容体作動薬または脾臓摘出術。
・AIHAの治療アルゴリズムも血小板減少と原則同じ。Treatment of AIHA follows the same principles, with the exception of TPO agonists.
・血球異常にはアニフロルマブもいいらしい、と先日聞きました。

 Special Issues: Treat-to-Target, Refractory Disease and Lupus in Pregnancy- キッポイント

SLEにおけるTreat-to-targetは、疾患活動性を最小化し、再発と機能障害を予防し、生存期間とQOLを改善することである。
SLE女性の妊娠予後の良好因子は、妊娠の少なくとも6ヵ月前から病勢が落ち着いていることである。
妊娠中のHCQの継続は、母体および胎児の予後改善と関連している。

Pearl: 自家造血幹細胞移植(HSCT)は重症のSLE患者にのみ行うべきであり、この手技に精通した施設で行うべきである。

Comment: Autologous hematopoietic stem cell transplantation (HSCT) should be reserved for critically ill patients with SLE, to be performed in centers with expertise in this procedure. Lupus 2013; 22: pp. 245-253.
・難治例について
命に関わる重症ループスはCYCやステロイドの点滴、超重症ではなければ、皮膚・腎炎はMMF、カルシニューリン阻害薬(CNI)は標準的な免疫抑制療薬に抵抗性の場合に使う。CNIは特に腎炎に有効でMMFとの併用で使用される。
・ベリムマブは、標準治療で寛解しない場合や、プレドニンが5-7.5mg/日以下にできない場合に検討する。Kelleyには腎外病変の場合と書いてあるが、現在は腎炎にも使用される。
・複数の免疫抑制剤で無効な場合は、RTXはを検討する(世界的には適応外、日本は適応内)。特に血小板減少症(完全寛解率は最高90%)、神経ループス(61%)、ループス腎炎(R51%)、関節炎に効果がが期待できる。
・神経ループスや自己免疫性血小板減少症ではIVIGも考慮される。
そして最後、
・自家造血幹細胞移植(HSCT)は重症のSLE患者にのみ行うべきであり、この手技に精通した施設で行うべきである。
・ループスの移植は経験がありません。Duboisで探しましたが記載はなかったです。以下は、自家造血幹細胞移植のsystematic review 
https://aacijournal.biomedcentral.com/articles/10.1186/s13223-019-0373-y
・かなりの割合で完全寛解または部分寛解を達成しているが、一部で試験観察期間内で再発をしている。短期的な合併症は日和見感染(CMV感染や真菌感染)で死亡率は高い。
・フォローアップ期間も短いものばかりで、報告バイアスもありそうであり、有効性はなんともいえない最後の奥の手、という印象です。
・移植の話がでたら、CAR-T細胞療法の話題がでました。
・CAR-T療法(キメラ抗原受容体T細胞療法)は、T細胞に遺伝子改変を行いがんなどへ、攻撃力を高める「がん遺伝子治療」。CD19を標的とするCAR-T細胞は、B細胞性悪性腫瘍に使われ、それを自己反応性B細胞も標的に使用ということで、自己免疫疾患の治療に期待が持たれている。
nejmから https://www.nejm.org/doi/pdf/10.1056/nejmc2107725
その後、bloodから
https://ashpublications.org/blood/article/142/Supplement%201/220/501523/CD19-Targeted-CAR-T-Cells-in-Refractory-Systemic

Pearl: 妊娠は疾患活動性を亢進させ、通常軽症である再燃を誘発する、ループス患者の35〜50%が妊娠中に明らかな疾患活動性を示す

Comment: Pregnancy may increase disease activity and precipitate the appearance of flares, which are usually mild; 35% to 50% of lupus patients will have evident disease activity during pregnancy. 
・母体および胎児の予後不良因子は妊娠前6ヵ月間の疾患活動性あり、HCQなし、ループス腎炎の既往、抗リン脂質抗体あり。

Pearl: 抗SSA抗体および/または抗SSB抗体陽性の場合や、女性、または過去にCHB(congenital heart block)があった女性には、妊娠18週から24週の間CHBのモニタリングを行う。

Comment: In women with anti-SSA and/or anti-SSB antibodies or with a prior episode of CHB, monitor for CHB between 18 and 24 weeks of gestation
・新生児ループスは、抗SSA/Ro抗体または抗SSB/La抗体を持つ母親から生まれた赤ちゃんにまれに起こる。最も重篤な合併症は新生児完全心ブロック(CHB)、SSA+ or SSB+妊娠の約2%に起こり、死亡リスクは20〜30%である。
・CHB+子供を出産した母親の、CHB再発リスクは20%。伝導障害の発症が最も起こりやすい時期は妊娠18週から26週であり、この時期に週1回または隔週1回の胎児ドップラー心エコー検査を行う。
・CHBが発症した場合は、CHBは不可逆的である。しかし第一度ブロックはデキサメタゾン(4mg/日)で治療をできる。ヒドロキシクロロキンはCHBのリスクを減らすことが期待される。

妊娠のポイント

妊娠前

・受診や投薬の変更のたびに、妊娠の可能性について話し合う。
・疾患活動性や特異的自己抗体の有無、使用薬剤に応じてリスク評価を行う。
・SLEが少なくとも6ヶ月間以上寛解している
・Crが2mg/dLを超える場合は妊娠を控える。
・妊娠中に使用可能な薬剤GC、HCQ、AZA、カルシニューリン阻害薬
・抗リン脂質抗体と抗SSA抗体、抗SSB抗体を測定する

妊娠後

・ベースの血算、生化学、抗体(抗dsDNA)、補体C3/C4チェック
・血圧と蛋白尿を観察する。腎炎が発症した場合は、腎炎か妊娠高血圧症候群かを鑑別する。
・抗SSA抗体および/または抗SSB抗体陽性の場合や、女性、または過去にCHB(congenital heart block)があった女性には、妊娠18週から24週の間CHBのモニタリングを行う。
・APS患者ではヘパリンとアスピリンの併用を考慮する。APA患者はアスピリンで治療できるが、その使用を支持する十分なデータはない。

Comorbidities- 併存症
キーポイント

・予防接種は安全で効果的であるため、寛解しているSLE患者に推奨する。
・生ワクチンは免疫抑制剤や高用量のステロイドを服用している患者には禁忌である。
・腹膜透析よりも血液透析が望ましい。腎移植の適応も評価すべきである。
・心血管疾患の一次予防のため、一般に推奨されているヘルスメンテナンスを厳密に行うことが望ましい

Pearl: プレドニゾンが10mg/日増加するごとに重篤な感染症リスクは11倍増加する

Comment: Risk of infection in SLE is associated with both disease-related and treatment-related factors; high-dose GC therapy (each increase of 10 mg/day prednisone is associated with an 11-fold increased risk for serious infection), CYC, MMF, and RTX are all associated with an increased risk for infection.
Curr Opin Rheumatol 26(5):528–537, 2014.
・SLEの死因の20-55%は感染症である。
・プレドニゾンが10mg/日増加するごとに重篤な感染症リスクは11倍増加する。CYC、MMF、RTXは関連リスクを増やす。

Pearl: プロカルシトニン0.5 μg/L以上はSLEにおける細菌感染を強く示唆する

Comment: A high-sensitivity C-reactive protein (hsCRP) value >6 mg/dL has been associated with active infection in SLE (84% specificity), but this may not occasionally be the case in clinical practice. 173 Similarly, elevated serum procalcitonin (PCT) levels may be useful to distinguish between infection and disease flare in SLE; a systematic literature review suggested that a PCT level ≥0.5 μg/L should strongly suggest bacterial infection in the context of SLE. 
・感染症かループスのフレアか、それとも両方か、はたまた薬剤か悩ましい。
・CRP > 6mg/dLは、SLE患者の感染症を示唆する(特異度84%)。もちろん実臨床ではそうではないこともある。
・プロカルシトニン(PCT)値の上昇は、SLEのフレアと感染の鑑別に有用である。 あるレビューでは、PCT値 0.5μg/L以上はSLEにおける細菌感染を強く示唆する、と報告されている。a systematic literature review, Clin Rheumatol 33(9):1209–1215, 2014.
・プロカルシトニン、長らく使ってませんでしたが、最近たまに測定します。便利です。

Pearl? : シングリックスワクチンは、自己免疫疾患患者を対象とした試験を行っていないため、まだ推奨できない。

Comment: The new, much more efficient Shingrix vaccine, has not been tested in patients with autoimmune diseases, and thus cannot yet be recommended. 
・50歳以上の成人に推奨されてい帯状疱疹ワクチンだが、新しい不活化ワクチンのシングリックスはまだ安全性が確認されていない、とえ???
・ただ、ほとんどの観察研究でシングリックスによっての再燃リスクの有意な増加はないという報告がある。Arthritis Rheumatol. 2022;74(11):1833. Epub 2022 Sep 15
・EULARのワクチン推奨を読んでみると、「Shingrix has been shown to be safe and more efficacious compared with live-attenuated vaccine in elderly adults.165 166 Safety and efficacy of the subunit zoster vaccine have not yet been investigated in AIIRD patients. Based on the fact that Shingrix is a non-live vaccine, it may replace the live-attenuated vaccine in patients with AIIRD.」、安全性は確認されていないが、将来は使うようになるだろう、みたいな記載。
・こちら↓ 2019 update of EULAR recommendations for vaccination in adult patients with autoimmune inflammatory rheumatic diseases
https://ard.bmj.com/content/79/1/39.long
・不活化生ワクチンは免疫抑制剤またはプレドニン20mg/日を超えている場合は禁忌。
・インフルエンザ、肺炎球菌ワクチン、コロナワクチンはループスには効果は落ちるが必須である。
・思春期女性はHPVワクチン打ちましょう。

Pearl: 腎移植片におけるループス腎炎の軽度の再発(通常は軽度のクラスI/II)はまれではないが、臨床的に重大なことが起きることはほとんどない

Comment: Surveillance biopsy studies have shown that subclinical recurrence of LN (usually mild class I/II) in the renal allograft is not rare, but this is rarely a significant clinical problem. 
・1970年代から1990年代にかけてループス腎炎に関連したESRD(末期腎不全)と死亡リスクは低下してきており、感染症と心血管イベントが主な死因になっている。
・透析を受けているSLE患者の5年生存率は約80〜90%で、他疾患の透析患者と同程度である。
・腎移植はESRDのループス患者にとってはよい選択肢である。
・腎移植片におけるループス腎炎の軽度の再発(通常は軽度のクラスI/II)はまれではないが、臨床的に重大なことが起きることはほとんどない。
Nephrology (Carlton) 21(7):601–607, 2016.

以上です。ありがとうございました!

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