見出し画像

添削指導と教育の連鎖

医師の文章は、コンビニ用語のような独特の癖がある。体言止めや助詞が抜けることに加えて、「とき」を、「ところ」と言ったり、受動氏が多用される。文章の添削指導については私はとても幸運だった。

社会人から医学部に入ったので文章力は多少マシだったかもしれないが、もともと雑な性格の私の文章がそれなりになったのは優秀なオーベンたちのおかげだ。

研修医のとき2年間弟のようにかわいがってくれた、厚労省の医系技官出身の佐方信夫先生が細かく文章を直してくれた。おかげで医師用語に染まらなくてすんだように思う。元官僚から指導を受けたなんて今思うと本当にラッキーだった。天才肌の兄貴肌で、年齢も1つ上だったので医学のみならずプロフェッショナリズムを教えてくれる先生だった。

次に細かく添削してくれたのは、佐方先生の手稲の後輩で、じつは同じ年の感染症科の馳亮太先生。亀田のベストティーチャ常連で、人柄、医学力、英語力、言語力すべてがパーフェクトな人間だった。総合内科と感染症科で、所属は違ったが個人的に臨床研究を指導してくれていたため、いろいろ教えてくれた。ケースレポートや症例を書く機会があると、馳先生のところにもっていて直してもらった。お前「助詞」が抜けすぎ、と言われたことをよく覚えている。

そして内科認定のレポートすべてを添削してくれたのが、チェック魔キングの佐藤暁幸先生。じつは年齢1つ上、というのは皆が驚く鉄板ネタ。なんでもぎりぎりの私のレポート18枚を佐藤先生に、今日中にチェックお願いします、といって印刷して朝渡したら夕方赤ペンたくさんはいって戻ってきた。「時間がなかったからもーしっかり見えれなかったよ」って言った。その真っ赤なレポートは今でも大事に持っていて、悪い例としてよく若い先生たちにそのまま見せている。指導医の昔のダメなレポートなんて見る機会って貴重だよね。

彼らのおかげで添削指導ができるぐらいにはなったように思う。教育は連鎖するもの。だからというわけでもないが、文章を書くのも教えるのも好きなので、私も添削はしっかりやっている。ありがたいな。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?