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田舎の緑に圧倒されて

 昨日まで田舎に帰省していた。
 帰省と言っても厳密には父の実家、
 つまり『おばあちゃん家』に行っていたのだ。

 絵に描いたような
『田舎のおばあちゃん家』に、
 根っからの都会っ子な私は
 毎回ワクワクしながら向かっている。

 行きの車は、
 景色がどんどん
 都会から田舎に変わっていくから好きだ。

 日常から非日常へ移り変わっていくのが、
 静かな高揚感を連れてくる。

 どんどんビルが少なくなっていって、
 代わりに木や田んぼが増えていく。
 灰色な背景から、豊かな緑に変わるのだ。

 しかし、今回は夜勤明けからの出発。
 車でのうのうと寝ている間に、
 すっかり田舎の風景になっていた。

 運転してくれた父には感謝である。

 目をこすり外を見ると、もう山が近くにいた。

『あぁ、深い緑だ』
 まず私はそうしみじみ思った。

 都会ではこんなに
 緑を浴びる事はない。

 溢れ出る緑に、
 都会っ子の私は
 ただただ圧倒されるだけだった。

 いつもはグラデーションで変わっていくものだから、その大きな変化に驚いたのだろう。

 今日は、いつもの違う所で過ごせるのだな。
 その時の私は、もう既に帰省を満喫していた。

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