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情報発信を始めた理由-「デザイン+メディア」が職能の前提条件となる時代を予見-


先日、建築ライターのロンロ・ボナペティさんが面白い記事を書かれ、僕についても紹介してくださいました。


この記事を読んで、建築家やデザイナー、時にはディレクターとしてなぜ情報発信を始めたのかを書こうと思いました。

以前、noteを続けてこれた理由について記事にしていますので一読いただければと思います。


情報発信を始めたきっかけ


今年の2月まで情報発信という点においてほとんど意識したことがありませんでした。

twitterやFacebookで発信していたのはほとんどが「自分勝手な考え」

でもこの「自分勝手な考え」が重要な時代が来るとも考えていました。

それはテクノロジーやグローバル時代、少子高齢化時代に向けての思考です。


大学院時代に嫌と言うほど伝わらなかったこの考えが、もしかしたら伝わるかもしれないと感じたのが大阪グランフロントで行われたU-35若手建築家の展覧会2016での展示でした。


その展覧会に選ばれ、出展した論考が自分勝手な考えから生まれた未来のお話「無意識へのシナリオ」でした。

ここではテクノロジー時代やグローバル化時代を予見した2008年から2014年まで考えてきたことをまとめていました。

「どうせ伝わらない」


と思っていたら、若い世代の来場者を中心に無意識へのシナリオへの感想を次々に聞くことができ、これはそろそろ情報発信してもいいかもしれないと思い始めましたのです。


情報発信を意識する前にやっていたこと


それは一言で「自分で考え行動する」です。

テクノロジー時代やグローバル化、さらにいえば少子高齢化時代に一番必要なことは「自分で考え行動する」ことです。

僕は無意識へのシナリオの資料を集め始めた学生時代、建築学科で設計を学びながら、まちづくりなどに積極的に関わり、実践向きの教育を自ら求めてきました。

建築を机上の空論で終わらせず、実際にそこに住む人たちと関係性を持ちながら、自分の思考を試してみる。

自分で考え行動し、結果を見て反省し、次に繋げる状態を大切にしていました。


震災復興住宅に入り込んでパブリックアートであるだんだん畑で住民と団欒(調査を論文にまとめる)

大学や行政と連携し、国指定史跡である西宮砲台に歴史写真などをプロジェクションマッピングをし、この場所の使い方の提案を行った

砲台のある場所で、地元の小学生の自然を使った課外授業の提案

国指定史跡である砲台の中で、地元で活動される方々の映画を作り上映

空き倉庫を使ってファッションショーを開催


社会に出て、設計事務所を辞めて独立してからもこの思考は変わっていません。

請負仕事以外にイベントを企画したり、居場所を作ったり、自分のブランド価値を上げる仕事にも力を入れてきました。

でも「自分勝手な考え」はまだ伝わる時代ではないと思っていました。

そして2016年の展覧会以降、情報発信をしようかなと考え始めたのです。


noteをやるきっかけ


2016年の建築の展覧会以降、どのプラットフォームで情報発信をするか悩んでいました。そこで試しに使ってみたのがhatenaブログでした。

ありがたいことに友人が記事を紹介したことで落合陽一さんがリツートしてくださった記事などもあり、今のnoteと同じくらいのPV数とはいかないものの、やりがいは感じていました。

落合陽一さんがリツートしてくださった同じ記事

でもnoteの存在を知った時に、個人的にプラットフォームとしてのポテンシャルを感じ、noteでの情報発信を決めました。


noteを始めたことで得られたこと


noteを初めて5ヶ月ほどが経過したと思います。公開記事数はこの記事を合わせて168。ほぼ毎日投稿してきました(5日くらいは抜けました)。

率直にいえばnoteを始めたおかげで仕事が舞い込んだということはまだありません。

それは当たり前でそんな情報発信の仕方をしていないからです。

でも面白いことが起こっているのは確かです。

今、大手お菓子メーカのクリエティブディレクターと仕事をしています。

打ち合わせの時に言われたのが「これまで関わってきたマーケティングやブランディング、デザインについて全て教えるので記事にまとめて欲しい」という要望です。

現在、取材段階でいつかnoteの記事としてまとめます。

さらにnoteを通じて色々な出会いもありました。


ヤマシタマサトシ(OFFRECO/インテリアデザイナー)さん

中野健太(スーパーエレメント)さん

とってぃさん

はもう飲み仲間です(笑)

他にも

池松潤 Jun Ikematsuさん

神屋伸行さん

にも参加していただいている共同運営マガジンもあります。


そして今はnoteの「#デザイン 記事まとめ」のピッカーもさせていただいています。

情報発信を始めたことで、着実に変化が始まっている最中だと思います。


これから個人メディアと仲間メディアを持つことの重要性


ここまで読んでいただくと、情報発信のメリットをあまり感じない方もいると思います。すぐに仕事にならないのかと。

これだけは断言しておきます。

これからデザイナーや建築家などクリエティブなお仕事をされる方は必ず「デザイン+メディア」が職能としての前提条件になると考えています。

大手お菓子メーカの方からのご依頼の真意は「デザインと共に思いも伝えたい」という要望です。

基本的にプロダクトなどの「物」にはそのバックグラウンドにある物語を伝えることが難しい場合がほとんどです。

しかしこれからは物が持つ「物語」をパッケージにして「商品」とすることが前提条件になりつつあります。

だからクリエイター自身が「語れなければならない」のです。


あと能動的に仕事を作り出さなければならないクリエイターが今後どんどん増えてくると思います。

その一番の要因が日本経済の衰退です。

受動的に企業や個人から仕事を得られなくなるのであれば自分で作るしかない。特に建築家は顕著だと思います。

この職業や職能の未来予測については無料公開している無意識へのシナリオの冒頭でも伝わってくると思います。


そして個人メディアには限界もあります。その時「仲間メディア」が有効だと思います。同じ志を持った仲間とメディアを作り、自分の仕事と連動させていくのが良いかなと思っています。

今後、noteの共同運営マガジンをもっと戦略的に使う人も増えてくると思います。


情報発信の質について


ではどんな情報を発信すれば良いのか。「続けることが大切」だとよく言われていますが、個人的にはそれだけでは大きな成果は得られないと考えています。

メディアを持つと言うことは、相手にとって有益になる内容を含んでいなければならないのです。ブログであれば必要ありませんが。

僕のnoteはこの相手にとっての有益性が薄かったので、時代と共に濃くなる部分と合わせて今後より濃くしていこうと考えています。

だから例えば建築家で言えば、建築言語を一般化することに慣れておくことを推奨しました。

そしてU-35建築家展で批判を受けながらも主張したのが「デザイナーや建築家も能動的にマーケティングやブランディングを学ぶべき」ということです。

一般化しすぎると誰でもできる分野になってしまうので、分野の独自性を大切にしながらも一般の人にも伝わるメディアを持つことが良いかなと思います。


今後クリエイターにとって情報発信、すなわちメディアを持つことは必須になると思います。

今はよくても10年、20年と歳を重ねるごとに今のような仕事の受け方も少なくなってくると思います。

100歳時代を想像した時に、今は退職されているような未来の70歳、80歳の無名老人に仕事を頼んでくれる個人や企業は存在するでしょうか。

今からメディアを持ち、今後も自己投資しておこうと考えています。



竹鼻良文/TAKEHANAKE代表

TAKEHANAKE design studio HP

TAKEHANAKE BRAND


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