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クリエイティブの原点について 〜白木蓮とウェディングドレス〜

白木蓮は何の前触れもなく、ぷはあっと咲く。

「えっ、この木、白木蓮だったんだ」といううれしい驚き。こないだまで、ただの木だと思っていたのに。(ゴメンね)

まるで白い肉厚のシルクサテンを花弁の形に裁断して、裸の木に縫い付けたみたいだ。

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神様が花びらをさくさく裁断して、チクチク縫い付けているところを想像してみる。

きっと、フンフーンって鼻歌歌ってるよね。

もしも万物を作った創造主がいるのなら、春を告げるこの花は作ってて楽しかったんじゃないかな。作ってる人のワクワクって伝わるから。

かくいう私も、白木蓮があまりにも可愛いので、落ちていた花びらから型紙を取ろうとしたことがある。

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ううむ、自然界のパターンメイキングは完璧だ。

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どうしたってとても叶わない。


創作の原点

子供の頃、夕暮れに輝く雲や、雪原にできる影を絵の具で再現できないものかとずっと考えていた。でも輝く雲の縁取りは金色の絵の具とは全く違うし、雪の影は灰色ではない。

どうしたらあの美しさを残せるのか。少なくとも私の持っている絵の具では辿り着けそうにない。色は混ぜれば混ぜるほど、濁っていく。もどかしくて、悔しい。とても追いつけない。

けれどもその美しさの本質に、少しでも近づきたいと熱望する。

それが創作の原点なのかもしれない。

私は巡り巡って、ウェディングドレスの作家になった。年齢だけはしっかり大人になったけれど、辿り着けないともがくのは今も同じ。

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しかしドレスの美しさは、人が着て完成するものだということを私は知っている。

人のからだもまた、自然が創ったものだから、最後は自然に助けられる。

ひとのからだはそれだけで美しい。

私は着たひとがそのことに気づく、忠実な使者になれればいい。

拙いまでも、届くまでつくるしかない。

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白い花が好き

私は白いドレスが売るほど好きなのだが、白い花も大好きだ。

だってウェディングドレスみたいだから。

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この木も私の心の中の「白い花 観察マップ」に新規登録しておこう。新しい職場の、春の楽しみができた。


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だれにたのまれたわけでもないのに、日本各地の布をめぐる研究の旅をしています。 いただいたサポートは、旅先のごはんやおやつ代にしてエッセイに書きます!