エシカルファッションって? 「リメイククリエイター大賞」表彰式で感じたこと。
ファッションの大量廃棄問題にリメイクで貢献する「リメイククリエイター大賞」
リメイクで制作した「エシカル・ウェディングドレス」が最優秀賞をいただき、授賞式に行ってきました。
ところでそもそも「エシカル」ってどういう意味なんでしょうか。
「エシカル」とは英語で「倫理的な」という意味で、法律の縛りはないけれども多くの人が正しいと思うこと。または本来人間が持つ良心から発生した社会的規範を意味します。そこから派生して、今では、人や社会、地球環境、地域に配慮した考え方や行動のことを指すようになりました。
「エシカル」の中には、フェアトレード、オーガニック、サスティナブル、動物福祉、リサイクル、環境再生型農業、自然エネルギー、ダイベストメント、SDGsなど様々な分野があります。(一般財団法人エシカル協会のホームページより)
この「エシカル」な考え方のもと、ファッションの問題をリメイクで解決できるか、というアクションが今回のコンテストの主旨でした。その趣旨に賛同し、私もウェディングドレスで参加しようと思いました。
主催のプロジェクト「atelier HIKITSUGI」は、リメイク材料としての服を利用できるサービスで、2020年7月にデビュー予定だそうです。
今回はそのサービスのデビューを記念したコンテスト。コンテスト参加者は廃棄予定の服を集めたイベントに参加してまず5着の服を選び、その5着を自由にリメイクし、できた作品を応募する。というものでした。
私も東京でのイベントに旅行がてら参加するつもりでおりました。ところが、イベント当日に台風19号がやってきて旅行自体がキャンセルになってしまったのです。なので、リメイクに使用する5着のセレクトは主催者さんにお任せする形になりました。
私は最初からウェディングドレスを作るつもりだったので「白と生成りでお願いします」とリクエスト。届くまではドキドキでしたが、サプライズプレゼントみたいで楽しみでもありました。デザインは届いてから考えよう、きっとあるものでなんとかなるだろう、と考えていました。で、やっぱりなんとかなりました(笑)
届いたのは、この服たちです。5着の服と4メートルの裏地。
それを組み合わせ、ハギレもほとんど残さずに使い切って、この「エシカル・ウェディングドレス」ができ上がりました!
リメイクをやってると「あるものでなんとかする力」「現状に対応しながらベストなものを作る能力」はかなり鍛えられます(笑)
ある条件の中でいかにクリエイティビティを発揮するか。これがリメイクの面白さです。
コンテストの応募コメントにも書いたのですが、これからの時代、エシカルな生き方を選択していくためには、今までのように便利さやスピードを追求するだけでは立ち行かなくなってくると思います。
多少の不便さがある中で、いかに工夫して創造力を発揮するか。そんな発想ができるリメイクはまさにこれからの時代にぴったりと言えるのかも・・・。
というわけで授賞式。
大雪予報もあった寒い日。冷たい雨に濡れながらたどりついたのは、繊維商社大手の豊島株式会社のショールーム。
東京のアパレル関係のおしゃれな人々が集う場所に私はちょっとドキドキ・・・。
ドレスコードは「思いっきりおしゃれに」というだけあって、モードな人たちがいっぱいです!ひえ〜!
そんな時こそ服の力を借りなければ!
この日は神戸の古着屋さん「突撃洋服店」でセレクトしてもらったチェックのガウンとブラウスで。古着のガウンをドレスっぽく、カッコよく着る。柄を重ねておしゃれを楽しんでいる感じを出す、というコンセプトです。これも、ファッションの表現なのです。
ヘッドドレスは神戸の老舗帽子店「MAXIM マキシン」のヴィンテージのもの。普段から、ヴィンテージ、古いものは装いによく取り入れていますが、それは「エシカル」というよりは、ただ単に好きだから。
好きだから、時を経た趣きがあるから、長く大切に愛用したい。時が来て手放す時も、次の人に大切に引き継ぎたい。それが私の考えるエシカルファッション。
めちゃくちゃ緊張しましたが、服の力のおかげでなんとか表彰式を乗り切ることができましたよ。ほっ。
表彰式の後は、
表彰式の後は、審査員の皆様方のトークショー。
エシカルファッションプランナーの鎌田亜里紗さん、エシカルアーティストの兆-kizasi-さん、モード学園講師・スタイリストの高橋恵美さんがトーク形式でファッションのエシカルな動きについて語られました。
例えば、自分の持っているものに少し手を加えてみる。そうすると愛着が湧いて、大切にしようと思う。エシカルファッションはそんなことから始めてもいい、みたいな身近なことから、
実際のお仕事にリメイクを取り入れられている事例。
フェアトレードのお洋服の生産者さんのところへ行かれた話など、様々なお話を聞くことができました。
当日はイベントに、私の個人的な友人である「ピープルツリー」の広報、鈴木さんに声を掛けてお誘いしてみたのですが、どうやら会場には「知り合い」ばかりだったようで。(ピープルツリーはフェアトレードのチョコレートやお洋服で人気のブランド)
鈴木さんいわく、こういったイベントが関係者ばかりで嬉しいような、エシカルがまだ小さなコミュニティの盛り上がりであることを表しているようで少し残念なような、そんな気持ちだったそうです。
確かに・・・。
でも私、このイベントをアパレル関連会社が主催していることが、けっこうすごいことだと思うんです。
というのも、アパレル関連企業が、ファッションの大量破棄に問題意識を持って公に向けて具体的な対策をする。これって実はとてつもなく勇気のいることだと思うからです。だってヘタしたら、自社の首を締めることにもなりかねない…。
だけどそれでもやると決められた背景には、主催者や関係者の方々の「いやもうそれじゃアカンでしょ」という思いがあって、取り組んでおられる。そのことがひしひしと伝わってきて、私はすごく感動したのでした。
リメイクはとても小さいアクションかもしれませんが、服を愛するからこそ長く愛用する、自分の手で工夫して何かをつくる、そして次の人に引き継ぐ。そんなことが何かのきっかけになればいいなと思います。
そしてその時に、私が一番好きで、やっていて楽しくて、一番得意なことが何かお役に立てるとするならば、こんなに嬉しいことはありません。
これからも、楽しみながら、リメイクとウェディングドレスで貢献していけたらと(けっこう本気で)考えています。
貢献する、と言っても、自己犠牲になるとかそういう感じではなくて、「楽しい」「自分がやっていて気持ちがいい」「うれしい」「誰かの役に立ててうれしい」そんな気持ちの先にあるといいなあという感じです。
読んでいただいてありがとうございました。
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ドレスの仕立て屋タケチヒロミです。 日本各地の布をめぐる「いとへんの旅」を、大学院の研究としてすることになりました! 研究にはお金がかかります💦いただいたサポートはありがたく、研究の旅の費用に使わせていただきます!