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P1 「虚構の世界」
かつて私は、自分を”誰よりも孤独で救いようがない人”だと考えていた。
今考えれば非常におめでたい話だが、当人とっては世界の真実だった。
もちろん、そんな逸脱した主張を聞かせる相手はいない。
聞かせようと思う相手もいなければ、言ったところで誰も私の言葉に真剣に耳を傾けるわけではないのだ。
そう思っては日々、心の隙間に虚無を広げ、私は納得していた。
私は誰よりも、救いようのない人だと。
人が孤独を感じるのは独りぼっちの時ではなく、
自分だけの空間が肥大化してしまった時なのだ。
それが一定のラインを越えると、まるでハイリスクハイリターンのギャンブルをしているようなもので、いったい何が起きるか分からない
狂気にかられる人もいれば、危ない使命に目覚める人もいる。
違う世界に繋がりを求める人もいるだろう。
私はそんな数多ある可能性のなかから、珍しい当たりを引き当てたことになる。
なぜ当たりだったのかというと私は通常あり得ないと思える確変を経験したのだ。
それを引き起こした要因はいったい、何だったのだろうかというと説明出来ない。
ラッキーだったとも、縁だったとも、運命だったとも、必然だったとも解釈出来る。
ただ言えるのは、私の虚構の世界が気づかないうちにどこかに消え去っていったということだ。
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