Geppo、リクルートを卒業し、Leanerにジョインします
7月末で最終出社を迎え、約2年間お世話になったヒューマンキャピタルテクノロジー(以下HCT)、並びに出向元のリクルートを退職しました。
本エントリでは、得たものの棚卸と決断の背景を整理しながら、お世話になった前職への感謝と、次のステージへの想いを綴っていきます。特にHR系の事業やカスタマーサクセスに興味がある方、スタートアップへの転職を検討されている方などに何らかの示唆を提供できれば幸いです。また一連の思考の轍が、キャリアに悩む同年代の方の役に立てば嬉しいです。
これまでのキャリアについて
まず、簡単に僕のキャリアを説明します。2016年の新卒でジョンソン・エンド・ジョンソンという外資系のメーカーに入り、その後1年半で辞め、2017年の10月にリクルートホールディングスに転職しました。
入社後は戦略企画室という部署に籍を置きつつ、サイバーエージェント社とのジョイントベンチャーであるHCTに出向し、「Geppo」の事業開発として営業、マーケティング、代理店渉外、そしてカスタマーサクセスと、いわゆるビジネスサイドにおける攻め全般を一通り経験させてもらいました。
とりわけカスタマーサクセスに関していえば、組織の立ち上げ、マネジメントまで任せてもらいました。今こうして振り返ると、立て続けに色々なチャレンジをさせていただいたなと思います。
Geppo、リクルートで得たもの
まず前提として、HCT、リクルートに対してはものすごく感謝をしています。
僕のWillを尊重し、身の丈以上の機会を提供し続けてくれたことには、感謝しかないです。個に期待し、任せるカルチャーは名ばかりでないことを実感しました。
またHCTという会社は、リクルートとサイバーエージェントという、日本のITシーンを牽引してきた二社のもとに生まれた会社です。共に成長の源泉を「人」にあると考え、投資を惜しまず、強靭な組織と企業ブランドを誇っている。
HRを生業とするHCTにとって、両社の文化や最新知見、またこれを生み出している経営層・人事に気軽にアクセスできることの意味はとても大きかったです。彼らとの議論や生きたデータの数々は、それまで「事業」を支点に経営というものを捉えていた僕のパラダイムを大きく変えてくれ、「組織への投資なくして会社が成長し続けることはない」とまで考えるように。
これに近い話として、メルカリの小泉さんが記事の中で以下のように仰っていましたが、これも今ならリアルに実感しながら読むことができます。このことは計り知れないほど大きな学びだったと思います。
またビジョン・ミッション・バリューに関しては、少し前にGoodpatchさんのnoteがバズっていましたが、昔の僕だったらこの記事を読んでもそこまで刺さっていなかった気がします。今だからこそ、臨場感を持って、感情を揺さぶられながら読むことができます。
この価値観、感覚を20代のうちに持つことができたのは、とても良かったです。
そして、カスタマーサクセスとの出会い
また、SaaSというビジネスモデル、カスタマーサクセスという概念と出会えたことも幸運でした。
BEENEXTの前田ヒロさんが「SaaSというビジネスモデルは美しい」という言葉で表現されているように、主な収益源がユーザーからのリカーリングレベニューであるSaaSビジネスは、顧客のLTV、ひいては満足度をいかに高めるかを必然的に考えざるを得なくなります。
これは、粗悪なプロダクト、嘘の営業文句や不当な取引を迫る企業が淘汰される世界を意味します。ユーザーにとって価値あるプロダクト、誠実な企業こそが評価され、勝つ世界。売り切り型ではまかり通っていたような不義理が許されないこのビジネスモデルは、本当に「美しい」なぁと思うのです。
そしてこの世界では、カスタマーに価値あるプロダクト体験を提供し、目的達成・ひいては事業成長へと導くことを表す「カスタマーサクセス」という概念が存在します。
これを実現する役割を担うカスタマーサクセス職は、顧客と自社両方の成功の鍵を握る、まさにSaaSにおいて花形というべき仕事です。LTVという会社として最重要かつ上位概念にあたる指標の責任を持つため、多くの関係部署とコミュニケーションを取りながら、様々な仕事を進めていく必要があります。
僕がやってきたことだけでいっても、オンボーディング、サポート対応、ハイタッチ対応(アップセル提案など)、ヘルススコアの構築とそれに基づいた活用支援、ヘルプサイトの構築、メルマガの運用、ユーザー会の企画、事例インタビュー記事の制作、顧客データの分析(Tableauを使った基盤構築含む)、はたまたプロダクトへのフィードバックにアップセル商材の企画、、といったところまで。立ち上げ当初は人員も足りておらず、プレイングもしながらだったので尚更ですが、かなり幅広い役割とスキルが求められ、それはさながら「総合格闘技」のよう。
これが、めちゃくちゃ楽しいんですよ。元々好奇心が強く、何かと面白そうなことに手を出しがちな典型的なジェネラリスト気質の僕にとって、この仕事は本当に向いていたのだと思います。
ジェネラリストであるがゆえキャリアの築き方に悩むことも多かった自分にとって、20代後半というタイミングで、勝負したいと思える・熱狂できるドメインを見つけることができたことはとても運がよかったです。
カスタマーサクセスという概念を知るところからはじまり、メンバー2名で組織を立ち上げてから、9ヶ月の間に9名のグループにまで大きくなった。勿論至らないことの方が多かったと思いますが、ゼロからこの組織が会社のセンターピンになるまでに至ったことは、僕にとっては感慨深いです。
なぜ転職するのか
これまでの記事のトーンからもご理解いただけると思うのですが、決してGeppoでの仕事がつまらなかったわけではありません。むしろ楽しかった。では、なぜ転職するのか。
一番の理由は、「20代最後の時間を、同世代の仲間との壮大なチャレンジに賭けたい」という、青臭さ満点な想いです。
30歳という節目を前に、周囲では多くの友人が結婚、出産したり、家を買ったりといった大型のライフイベントを通過していきます。
そんな姿を目の当たりにすると、いよいよこの先の人生が「予定調和」と化していくことを実感します。それは、今の選択のいくつかがこの先の人生を決定してしまうくらい大きな影響力を持っているということ。この先の人生を長い目で見渡しても、相対的にみて今ほど選択の重要性が高まっているタイミングはないと感じます。
あらためてその事実を真剣に捉え直したときに、今自分が選択している地点からなんとなく見えてき始めている人生は、果たして満ち足りたものだろうか?という問いが生じます。
その問いに向き合ってみると、それはそれで幸福な人生なようにも思えます。好きな仕事をして、余暇を楽しみ、良き友と語らう。たぶん、いやきっと十分すぎるくらい幸せなはずです。
でも一方で、そんな未来を想像できてしまうこと自体にどこか虚しさを感じてしまう自分もいました。これから先の人生は、予定調和通りに進んでいくのか?と。それは、本当に自分の人生を生きていると言えるのか?と。
岡本太郎氏の言葉を引用します。
「運命を切り拓くという感覚」。この言葉を反芻してみて、きっとこれこそが自分には必要なのだと感じました。
元はと言えば「でかいことを」「熱くなれる仲間と」を何よりも志向する性質の人間です。ならば、確からしさを捨てて、一寸先も判らない状況を仲間と切り拓いていくことこそロマンではないか。
「予定調和をぶっ壊す」ことの先にある未来に賭けてみたい。 この一連の思考が、今回の決断に至った背景です。
これから何をするのか
正式ジョインは9月からになりますが、コスト削減SaaS「Leaner(リーナー)」に4人目の社員として参画します。
まだローンチしたばかりの出来立てほやほやのサービスですが、間接費という巨大マーケットを本気で狙っていきます。
この辺りの話はNewspicksさん、キャリアハックさんに取り上げていただいた記事に詳しいかなと。
代表の大平を中心に、とにかく熱く・優秀な同年代のメンバーが集まっているので、あとはやるだけ。頑張ります。
仲間も随時募集していますので、ご興味がある方、我こそはという方がいらっしゃれば、お気軽にDMなどいただけますと幸いです。(最後にSNSアカウントへのリンクも置いておきます)
またLeanerとの出会いについては、別記事で詳しく書けたらなと思っています。スタートアップ転職の方法論に関しても一緒にまとめられたらと。
最後に
大前研一さんの有名な格言にある通り、人の未来を決定づける3大要素は「時間・場所・人」と考えて間違いないと思います。
今回僕は、上記すべてを変えるという決断をしました。(オフィスから自転車で2分の場所に引っ越し、大好きなランニングに使う時間もめちゃくちゃ減らしました)
言うまでもありませんが、決断それ自体に価値はなく、それを正当化するのはその後の行動・成果でしかありません。
漫画「約束のネバーランド」より、僕の大好きな箇所を引用します。
決断を正解にする努力を惜しまず、精一杯足掻きたいと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
改めて、HCT並びにリクルートでお世話になったすべての方に、この場を借りて感謝申し上げます。ありがとうございました。今後ともGeppoをよろしくお願いします。
生存報告は各種SNSでしていきますので、こちらもあわせて見ていただけると嬉しいです。
鈴木 貴丸(スズキ タカマル)
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