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進路選択の手引き 高校編

プロローグ

毎年、この時期になると、進学・就職に関する情報が、陸上競技の専門誌に掲載されます。「〇〇選手は、〇〇大学に進学か!」「○○選手は、実業団に進むのか!」などなど、読者の方々の関心も非常に高いそうです。

私のTwitterも、なかなかのアクセス数でした。

選手にとっては、将来を左右するといっても過言ではない進路選択。
選択にあたっては、相手先(勧誘先)のチーム状況、指導者、環境など、様々な要素があるので、難しい選択になることは、容易に想像できますね。

私自身、GMとして、高校生のリクルーティングを担当しているわけですが、時々、自分が逆の立場だったら、どの大学、実業団を選択するのかな?という視点で、物事を考えるようにしています。

そこで、私が、仮想高校の陸上部監督だったら、生徒にどういったアドバイス、選択を勧めるのか!?忖度なし(少しあるかも 笑)で、男女5名ずつの生徒の進路について、考えてみました。あくまでも私見ですが、何かのお役に立てたら幸いです。

仮想高校メンバー(新高校三年生)


◆男子チーム
A選手・・・5000mPB:14分10秒 身体が強く、練習量がこなせるタイプ。箱根駅伝に出場し、将来は実業団チームに進み、マラソンで勝負したい。
B選手・・・5000mPB:14分20秒 トラックよりもロードが強いタイプ。競技は大学まで。大学卒業後は、公務員志望。
C選手・・・5000mPB:14分30秒 800mPB1分52秒、1500mPB:3分50秒を中心に取り組んでいるスピードランナー。大学進学後は、少しずつ距離を伸ばし、大学3年生、4年生次に、箱根駅伝を走りたい。
D選手・・・5000mPB:14分40秒 抜群のセンスの持ち主だが、故障が多く、身体は強くない。勉強面は、学年トップクラス。一般受験での進学も検討中。将来は、指導者になりたい。
E選手・・・5000mPB:14分50秒 真面目で努力家。コツコツ練習を継続できるタイプ。

◆女子チーム
A選手・・・3000mPB:9分10秒 身体が強く、練習量がこなせるタイプ。実業団志望。将来はマラソンで勝負したい。
B選手・・・3000mPB:9分20秒 トラックよりもロードが強いタイプ。実業団志望、クイーンズ駅伝で優勝したい。
C選手・・・3000mPB:9分30秒 800mPB2分10秒、1500mPB:4分25秒を中心に取り組んでいるスピードランナー。大学進学か実業団入りか迷っている。
D選手・・・3000mPB:9分40秒 抜群のセンスの持ち主だが、故障が多く、身体が強くない。自分の個性を理解し、長所を引き出して頂けるような大学に進学したい。
E選手・・・3000mPB:9分50秒 真面目で努力家。コツコツ練習を継続できるタイプ。

上野監督のアドバイス、勧めた進路先

◆男子チーム

A選手・・・5000mPB:14分10秒

)東洋大学

やはり、酒井監督の存在は大きいですね。
指導力、人間性含め、信頼感があります。
ライバルが多く、厳しい環境下ではありますが、しっかり練習が継続できれば、きっと箱根駅伝を走れると思います。将来、マラソンに取り組む基礎・土台を作れる大学と思います。

B選手・・・5000mPB:14分20秒 

)帝京大学

帝京大学さんのトレーニングが、B君には、合うのではないかと考えました。彼の長所を伸ばして頂けそうです。
中野監督は、色々と人生経験が豊富でいらっしゃるので、行き詰った時にも、きっと良いアドバイスを頂けるのではないかと思います。


C選手・・・5000mPB:14分30秒 800mPB1分52秒、1500mPB:3分50秒

)東海大学

両角監督のこれまでの指導実績や、世界に目を向けた取り組みを鑑みると、スピードランナーのC君の長所、短所を理解して下さり、段階に応じた適切な指導をして下さるのではないかと考えました。


D選手・・・5000mPB:14分40秒 

)筑波大学

D君には、セカンドキャリアを見据えて、弘山監督の下で、競技と勉強をしっかり両立する選択を、勧めました。
センスはピカイチなので、世界の最前線で戦ってこられた弘山監督の指導があれば、在学中の5000m13分台の可能性もあると思いました。


E選手・・・5000mPB:14分50秒 

)関東学院大学

E君には、関東学院大学を勧めました。
チームカラーも合うと思いますし、地道にコツコツ努力しながら、大学3年、4年生で、箱根駅伝出場を目指して欲しいと考えました。


◆女子チーム

A選手・・・3000mPB:9分10秒 

)日本郵政グループ or 第一生命グループ

将来的に、マラソンに取り組むことを考えると、マラソン指導に定評があり、安定した会社基盤、チーム基盤がある企業が良いと考えました。
日本郵政グループの高橋監督は、マラソン選手育成のキャリアが長く、数多くの世界大会メダリストを指導されてきた実績があります。
第一生命グループの山下監督は、選手、指導者として、世界大会のメダルを獲得された実績があります。どちらも甲乙つけがたいチームです。


B選手・・・3000mPB:9分20秒 

)資生堂

3000mSCの元・日本記録保持者の岩水監督、デンソーを駅伝三連覇に導いた青野ヘッドコーチの下で、クイーンズ駅伝優勝という目標に向けて、チームの一員として、頑張って欲しいと話しました。近い将来、優勝の可能性のあるチームと考えました。


C選手・・・3000mPB:9分30秒 

)ユニクロ or   大東文化大学

実業団であれば、800m~マラソンまでの指導実績があるユニクロの長沼監督であれば、じっくり時間をかけて育てて下さるのではないかと考えました。採用して頂けるかはわかりませんが、実業団で勝負する覚悟があれば、相談してみたいと思いました。

進学であれば、中距離タイプの選手の育成がうまい、大東大が、Cさんには合うのではないかと考えました。外園監督の動き作りやフィジカルトレーニングを吸収し、自身の成長に繋げて欲しいと思います。


D選手・・・3000mPB:9分40秒

)城西大学

赤羽夫妻の個性を大切にしたきめ細やかな指導は、Dさんにとって、非常に魅力的に映りました。持ちタイムがないので、今の記録では入部は難しいと思いますが、春先にしっかりタイムを出して、一度、走りを見て頂こうと話しました。


E選手・・・3000mPB:9分50秒

)松蔭大学

中野監督のお人柄や、面倒見の良さ、鍼灸・マッサージの免許を持っておられる点に、魅力を感じました。四年間かけて強くして下さると思いましたし、選手を大切にして下さるので、安心感があります。

エピローグ

いかがでしたか?リアリティありますかね?(笑)
時代の流れとともに、選手や指導者の価値観が、大きく変わってきていると思います。一チームの中でも、ダイバーシティ・マネジメントが求められる時代です。
ブランド力やチーム成績だけではなく、自分自身の長所・短所を、客観視し、どのような環境、指導者を選択したら、自身の成長に繋がるのか、今一度、考えてみてはいかがでしょうか?
需要があれば、大学編も書いてみようかなと考えております(笑)


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