サクリファイス

「引きます、ついてきて下さい」

■感想文『サクリファイス』/著者・近藤史恵さん


しびれたな〜。実力のある謙虚な後輩がガムシャラに自分の100%を出し切る気持ちよさと、爽快さがありましたね。言ってみたいセリフですよ。

ここはオレに任せて、先に行け!

みたいな笑。


近藤史恵さんの著書『サクリファイス』は、自転車レースの試合が描かれたスポーツ物の小説です。自転車競技はチーム・スポーツと名のつく、多くの競技と違った性格があるスポーツのようです。その特異な側面を効果的に描いているのが近藤さんの『サクリファイス』の魅力でしょう。

サクリファイスの続編エデンでは、読後タイトルに違和感を覚えましたが、本作サクリファイス(犠牲などと訳されます)はまさに、自転車競技ならではのサクリファイスを面白く描いていると思いました。

本作『サクリファイス』での、近藤さんが作り出したキャラクターが、左右に自転車を倒しながらペダルをこぐ躍動感に、私は十分にひきつけられました。自分が知らない競技であっても、一つのスポーツに打ち込む情熱的な姿勢に嫌悪感がなければ、楽しめる本と思います。文庫化されているので、気軽に読める点でも、オススメです。


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