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サナトリウム

サナトリウムに映画が来た
めくるめく総天然色の世界が
嫌というほど映ったものだから
変な風になるのは必然だった
製作者たちの本当の目的を
理解できるのは我々だけ

外の連中にとってはただの娯楽でも
サナトリウムの住人にしてみれば
恐るべき精神世界の入口となる

療養とは建前に過ぎず
巨大な組織、即ち国家と
実験を生業とする機関とで
癒着や忖度、そして利権争い
そんな短絡的なあれやこれやが
万華鏡のように蠢いてる混沌
つまりはサナトリウム


序盤で気付いたのは幸運だったのだろう
総天然色の世界にエンドロールまで
愚かにも魅了された者たちは
もう二度と抜け出せない

どこまでも白いサナトリウムで
気が遠くなるほどの長い時を
混沌と共に過ごすのだろう



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