見出し画像

デザインシステム of ダッチデザイン

こんにちは!Hallo!

健康管理システムCarely(ケアリィ)の導入を通じて働くひとと組織の健康を創る事業を展開している株式会社iCAREの高橋名人 (@zouzei8to10)と申します!

突然ですが、みなさんはオランダという国にどういったイメージを持っていますか?

私はオランダのデザイン、通称「Dutch Design(ダッチデザイン)」が大好きです。大学時代に首都アムステルダムからユトレヒト、デルフト、ロッテルダムをめぐりダッチデザインを訪ねる旅に行ったことがあります。
有名なところだと前回のnoteでもご紹介したdroogミッフィ、鮮やかな水色を大胆に配したKLMオランダ航空の飛行機などはみなさん記憶に残っているのではないでしょうか?

多様性と合理性が「自由」を保証してくれる国オランダ

画像3

画像4


オランダという国の特徴としてよく「自由」や「寛容」などと言い表されることが多いと思います。

これは、大麻や売春、安楽死などがある一定のルールのもと許されていたりすることがそのイメージを強くしているところがあると思いますが、これはオランダという国の地理的な特徴が影響していると言われています。

オランダは国の表面積のおよそ半分が海抜1メートル未満であり、海の氾濫が起こればたちまち沈んでしまう国でもあり、そういった危険とは常に隣り合わせで生活をしています。
また、国の周りを諸外国に囲まれていることから交易地としても栄え、多くの民族がさまざまな言語で交流してきたことから、他者に対して寛容で多様性を受け入れる文化が根付いてきました。

しかし、これは自由であることを保証するための合理的なルールや多様な価値観の共存が生んだ自己責任の精神のもとに成り立っており、決してユートピアではなく、そもそもが地理的に常に揺らぎの多い環境ゆえの生きるための知恵でもあるんだな、ということを当時現地の住人の話を聞いて思いました。

オランダの建築に見るデザインシステム

ダッチデザインにはコンセプチュアルで奇抜な見た目をしたものもたくさんあるのですが、その裏側でしっかりと敷かれている「合理的なルール」があるのも見受けられます。ダッチデザインは決して感覚だけでデザインされているのではなく「デザインシステム」とも言えるルールに乗っ取って設計された作品もたくさんあるのです。

MVRDVの「高齢者のための100戸の集合住宅オクラホマ」

画像1

オランダの建築ユニットMVRDVが設計した集合住宅です。当時のオランダ旅行の1番の目的はこの建築を見ることにありました。
この集合住宅の最大の特徴は100部屋あるうちの13部屋がキャンチレバー構造で完全に宙に浮いてしまっている造りになっていることにあります。87戸の初期案は遮音性能を確保するために住戸と住戸の間にある壁を構造上必要な厚さよりも8cm厚くしていました。そのことが幸いしてキャンチレバー部分の荷重にも十分な強度を確保することができ、増やすことができた13部屋の家賃で、その突き出した部分を支える長くなった梁の費用も相殺できるという合理的な設計となり、当時アムステルダムで最も低い建設費で実現した社会住宅プロジェクトとなりました。

これは、合理的なルールが自由な造形を生んだ良い例かと思います。

Color Tokensが厳格なディック・ブルーナ作の「ミッフィ」

画像2

言わずとしれたミッフィにもデザインシステムと呼べるようなルールが定められています。作者のディック・ブルーナはミッフィの絵に使用されるカラーを赤・青・緑・黄・茶・グレーの6色に限定しました。これはブルーナ・カラーとも呼ばれていてそれぞれに意味があります。

「赤」…喜び・楽しさ。幸せで豊かな空気のイメージ。温かい、愛情の色。
「黄色」…明るさ・楽しさ。赤や緑に温かみを与える色。
「緑」…安心・安定。私たちの世界を彩る、樹木などの自然描画に必要な色。
「青」…悲しみ・静けさ。よそよそしく冷たい色。
「茶色」…落ち着き。ミッフィーのお友達を表現するための色。
「グレー」…バランスに必要な色。ミッフィーのお友達を表現するための色。

画像5

6色のカラーパターンだけでもミッフィのイメージを想起できるほど強く印象に残りますよね!これはデザインシステムにおけるColor Tokensを極限までシンプルにしたルールですね。

画像6

また、ミッフィーはからだが横を向いている時でも必ず顔は正面を向くように描かれています。その理由は「子どもたちの正直なまっすぐな目に応えたい。嬉しい時にも悲しい時にも目をそらすことなく、読者の子どもたちと正直に対峙していたい」という気持ちのあらわれなのだそうです。

新造形主義「デ・ステイル」

1917年、オランダのライデンで創刊された雑誌『デ・ステイル』に端を発してピエト・モンドリアンとテオ・ファン・ドゥースブルフを中心として興った造形運動やその時代の作品群のことを「デ・ステイル」と呼びます。
オランダ語のDe Stijlはスタイル(様式)を意味し、従来の具象芸術に対して水平線、垂直線、直角、正方形、長方形、三原色、非装飾性、単純性を追求し、客観的で普遍的な表現様式を目指した新造形主義を提唱しました。

この運動は絵画・彫刻にとどまらず、建築やデザインなどの分野においても厳格な造形理念が共有され、その後のバウハウスへ大きな影響を与えたほか、ダダロシア構成主義を繋ぐ架け橋となるなど、ジャンルや国境を越える活動となりました。

画像7

先日まで展覧会が開かれていたモンドリアンの作品にも直線と赤・青・黄色・黒の限られた色で平面が構成された作品が印象的です。

画像8

リートフェルトの「レッド・アンド・ブルーチェアー」も直方体を直角に構成し、背面には赤、座面には青、断面には黄色とルールを厳格化することで強烈なインパクトを与えています。人間工学としては座りにくい椅子だと思いますが、空間に置かれた際の存在感は際立っていました。

ユトレヒトにある「シュレーダー邸」もこの時代の有名な建物です。

画像9

夫を亡くしたシュレーダー夫人と3人の子供たちのために建てられた住宅で街の通り沿いに普通に建っています。1階にはスタジオ、書斎、台所、家事室、メイド室があり、2階は居間、夫人の寝室、息子の部屋、娘2人の部屋を可動式の間仕切りで区切ることで臨機応変に部屋を広くすることができるそうです。

モンドリアンの抽象画を建築に展開したかのような外観で、白・灰の壁面と黒・赤・黄・青の線の建材が直線・直角に構成することで特徴的な印象となっていますね。現在では、Bertus Mulderによって修復が行われ、ミュージアムとして訪問者のために開放されており、2000年にユネスコの世界遺産に登録されました。

このように、デ・ステイル時代の作品には垂直・直線・決められた色という厳格なデザインシステムが共有されていたからこそ、具象的な表現ではなく1つの手法として国境や時代を超えて多くの作家に多大な影響を与えたのかもしれません。

以上、
今回はオランダのデザインをデザインシステム的な観点でまとめてみました!

株式会社iCAREではデザインシステムの構築に興味のあるUIデザイナーをはじめ、各ポジションにて求人をしております。まずはカジュアル面談からでもお気軽ご連絡ください!


このnoteが面白かったら「スキ」や「フォロー」や「コメント」をしていただけると大変嬉しいです!

この記事が参加している募集

振り返りnote

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?