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読んだ本とかについて書いた記事
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#小説

もう人間じゃん

もう人間じゃん

キャロル・スタイヴァース著、「マザーコード」(早川書房)を読んだ。本屋で手に取ってあらすじを見てバイオ兵器とかの話なんだな~くらいの感じで買ったがめちゃくちゃ面白かった。ちなみにこの小説はコロナウィルスが流行する直前に出版されている。

こっからネタバレあり。

アメリカがどこかとの戦争でバイオ兵器を使った結果暴走して世界中に広まってしまうことになった。その対策の一つとして遺伝子操作され免疫を持っ

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死んでいないから笑えるのであって

死んでいないから笑えるのであって

ミカエル・ニエミ著、「世界の果てのビートルズ」(新潮社)を読んだ。原著はスウェーデンで大ベストセラーになった作品らしい。スウェーデンの人が書いた小説は読んだことないし、タイトルにビートルズって入っているから、という理由で買って読んだ。

ここからはネタバレ含む。

スウェーデンの北の村、パヤラ村は北極圏に入る。この村で主人公がビートルズに出会う前後の少年期から青年期に入る前までを描いたお話だ。

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ふわふわした話なのかな

ふわふわした話なのかな

フィリップ・K・ディック著、「逆まわりの世界」(早川書房)を読んだ。以前、電気羊は読んだことがあるのだけれど個人的には世間が言うほど名作なのかな、自分はよく読めていないのかな、と思っていたのでフィリップ・K・ディックは少し避け気味だった。しかし、いつも本屋に行くとハヤカワ文庫のフィリップ・K・ディックの背表紙は目立っていてなんとなく気になっていて、ある日タイトルを順番に読んでいくと「逆まわりの世界

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どう使われるか

どう使われるか

ミハイル・ブルガーコフ著、「犬の心臓・運命の卵」(新潮社)を読んだ。二つの中編?小説が入っている本だ。前情報はほとんど無くて、本屋に並んでいた背表紙が気になって手に取ってみると新潮社のstar classicsというシリーズの一冊だった。このシリーズ他の新潮文庫の海外翻訳と少し表紙の質感が違う。普通はスベスベした感じなのだが、このシリーズは少しでこぼこした感じの質感だ。O・ヘンリーのシリーズとかこ

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カオスで意味がわからなくて、センスオブワンダーのあふれた世界

カオスで意味がわからなくて、センスオブワンダーのあふれた世界

エリザベス・ムーン著、「くらやみの速さはどれくらい」(早川書房)を読んだ。SFのタイトルってかっこいいものが多い気がする。「くらやみの速さはどれくらい」って単純にかっこよくないですか。ネットで他の方が「原題は"The Speed of Dark"だから直訳すると"くらやみの速さ"のばずなのにそれに"どれくらい"を加えるのが粋」みたいなことをおっしゃられってて確かにな~と思った。

たくさんの方が作

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研究とは呼べない自由研究

研究とは呼べない自由研究

松崎有理著、「シュレディンガーの少女」(東京創元社)を読んだ。本作は短編集で、テーマとしては「ディストピアxガール」らしい。それぞれの短編の女性主人公がディストピアでどのように生きていくのかを書いている。個人的には長編と短編集だと少し読み方というかが変わる気がする。私は長編だと一度集中すると大体そのままがーっと最後まで行ってしまうことが多い。一方短編集だとお話がいくつか入っているのでそれぞれの話が

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結構ぶっ飛んでた

ミランダ・ジュライ著、「最初の悪い男」(新潮社)を読んだ。前回、数学の本を読んで頭がひーひー言ってたので、今回は小説だからさらさら読めそう~とか思ってたけれど、甘かった。特に個人的には前半が読みにくく感じた。後半は物語の続きが気になって夢中になって読み進めることが出来ました。本についてた帯によると、第9回Twitter文学賞[海外編]一位の作品らしい。どんな賞なのか詳しくは存じ上げていないのだが、

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短気すぎだろ!

ピーター・トライアス著、「ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン」(早川書房)を読んだ。表紙と最初の数ページに描かれているロボットの絵がかっこいいですね。海外のロボットのデザインは苦手なときもあるのだが、今回のロボットのデザインは個人的に好きだ。

ここから先はネタバレ。

舞台は第二次世界大戦で日本がアメリカに核爆弾を落とし、日本とドイツが勝利した世界だ。主人公のベンは日本軍に所属し、アメリカに

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価値観の変遷

チェ・ウニョン氏の「明るい夜」という小説を読んだ。出版社は亜紀書房。恥ずかしながら存じ上げていない出版社だったので少し調べてみると海外、特に韓国の翻訳ものを多く出している出版社らしいことがわかった。
韓国の本はもしかしたらずっと昔に読んだことがあるかもしれないが、もう記憶にないくらいなので初めて韓国の小説を読む気持ちで読み始めた。

ここからはネタバレを含むかもしれません。嫌な方はこれ以上読み進め

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