結構ぶっ飛んでた

ミランダ・ジュライ著、「最初の悪い男」(新潮社)を読んだ。前回、数学の本を読んで頭がひーひー言ってたので、今回は小説だからさらさら読めそう~とか思ってたけれど、甘かった。特に個人的には前半が読みにくく感じた。後半は物語の続きが気になって夢中になって読み進めることが出来ました。本についてた帯によると、第9回Twitter文学賞[海外編]一位の作品らしい。どんな賞なのか詳しくは存じ上げていないのだが、この作品が一位ということは、結構気合が入っているのかもしれないと思った。ちなみに著者の初の長編らしいです。

ここから先はネタバレあり。

最初読み進めているときに結構ぶっ飛んだ作品だな~と思った。主人公のシェリルは女性で少し変わっていて、本人は真剣だけどその言動は他人から見ると少し奇異な感じに映るようなキャラクターに思えた。そのうえ、この主人公のシェリルがしょっちゅう妄想するのでいきなりシェリルの妄想展開に入ったり、心の中で誰かと会話したりするので、最初はさくさくとは読み進められなくて、これは読み切るには少しパワーがいるかもしれないと身構えた。
しかし、先述したように後半はこの先の展開がどうなるのか気になって物語の流れに自然に入っていくことが出来た。というのも、作品の途中でシェリルの家に居候することになるクリーという女性のキャラクターが妊娠していることが発覚するのだ。このクリーという人物は端的に言うとダメ人間と言ってもいいのかもしれない。そしてこのクリーが最初は産んだら養子に出すと言っていたはずなのに、出産した子供を育てると言い始めるのだ。私はいやいやあなた本当にそんなこと言って大丈夫なんですか、子供育てるってそんな簡単なことじゃないでしょ、と思いながら読んでいった。また、シェリルとクリーは最初敵対していたのに、なんだかよくわからない再現VTRの真似を二人ですることで仲良くなり、クリーが出産することになる頃には二人は恋人関係になる。いや、なにやってんだあなたたち、と思っていた。
こんな風に流れでそんな関係になってうまくいくんだろうかと思っているとやはりそうはならなかった。結局、クリーは出産した子供(名前はジャック)をシェリルの家に置いて出ていくことになる。こう書くとハッピーエンドではないように思えるが、実際読んでみるとそんなにバッドエンドな感じはしない。どうしてなのかは私にはわからなかった。
エピローグで大人になったジャックが飛行機で中国からどこかに(おそらく故郷だろう)に帰ってくるとき、シェリルとクリーは一緒に迎えにくるが、おそらくなんだかんだあってクリーとシェリルはまた一緒に暮らすようになったのかもしれない、しかしその後もしかしたらまた別々になってしまうのかな、と個人的な感想を抱いた。

そういえばタイトルがどうして「最初の悪い男」なのか、誰のことを指しているのか、あほな私には結局わかりませんでした。

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