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もう人間じゃん

キャロル・スタイヴァース著、「マザーコード」(早川書房)を読んだ。本屋で手に取ってあらすじを見てバイオ兵器とかの話なんだな~くらいの感じで買ったがめちゃくちゃ面白かった。ちなみにこの小説はコロナウィルスが流行する直前に出版されている。

こっからネタバレあり。

アメリカがどこかとの戦争でバイオ兵器を使った結果暴走して世界中に広まってしまうことになった。その対策の一つとして遺伝子操作され免疫を持った子供たちをそれぞれ人工知能搭載のロボットに預けるというのがこの小説のあらすじだ。

前半は暴走した病原体に対して追い詰められるアメリカ人がどのように対応していくかが描かれている。国民に全ての真実を教えるとパニックに陥るため報道を規制して真実を隠し、国民はインフルエンザに似た症状で次々と色んな地域の人々が亡くなっていくことになる。ここからへんが、まあ実際そうなるかもしれないなと思うし、実際にコロナウィルスが広まった現実でもこの小説の病原体ほどの致死力はないにしても似たようなものなのかもしれない。実際私たちは現実のコロナウィルスがどのようにして発症したのかもわからない。SNSでは陰謀論なのか本当のことなのか作り話なのかわからない情報で溢れかえっているのが現実だし、こうやって一部の人達以外は何も知らずに死んでいってしまうのかもしれない。

遺伝子操作された子供たち一人ひとりに人工知能搭載のロボットが割り当てられて、そのロボットが子供たちを守り育てていることになるのだが、これがロボット好きとしてはたまらない。しかもこのロボット子供たちをコクーンと呼ばれるパイロット席のようなものに乗せてキャタピラで地上を移動するだけでなく、羽を展開して空も飛ぶのだ。そしておのおのの子供たちを守るためにレーザー銃を搭載し原子力で動いている。子供たちは脳に詰め込まれたチップのようなものを介して自分のロボットとテレパシーで会話をすることが出来る。いや、ロマンが詰まりすぎですね。このような子供たちとロボットのセットが50組最初は用意されているのだがうまくいったのは半分くらいだった気がする。最初に基地から発射して着陸するのに失敗してまだ胚状態の子供は亡くなってしまいロボットも壊れてしまったりして失敗するのだが、原子力で動いてるロボットが着陸失敗して大破したらそのあたりいったいは放射能で大変なことになるのではないだろうかと思ったがどうなんだろうか。

物語終盤では人工知能搭載のロボットが単なる機械ではなく、いわゆる心のようなものを持ち合わせて、そうしたロボットと脳内チップを介して心を通わせることが出来る子供たちが新人類として扱われて物語が終わる。現実でロボット博士の方が人工知能に感情を持たせることは難しいと3年くらい前に投稿された動画でおっしゃられていたことがあるのを見たことがあるけれど現在のchatGPTなどを見てみるともう人間じゃん、感情くらい余裕でしょ、と何も知らない素人の私は感じてしまうのだ。

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