外資系企業人事部長の部下へ宛てたHR Letter「グローバル企業での働きかた」エピローグ-個人としてのグローバル化

エピローグ-個人としてのグローバル化

世の中でグローバル化が進んでいることは多くの人の同意するところだと思います。グローバル企業に働いてみるとそのことを痛切に感じます。その中で日本人としての自分はどうしたらよいのかを度々考えています。

既に京セラの稲盛さんのエッセイをご紹介しました。稲盛さんは「強い国より気品のある国に」というテーマで日本人の特長を生かして生きろといわれます。これは国や民族といった観点からの1つの見方であると思います。

2つめは「日本とグローバル化2」で、私は別の視点でライフサイエンスのような知識集積型の産業に活路を見出したらよいのではないかといった1つの提起をしました。これも国や民族の観点からの話です。別のいいかたをすれば日本国の国策に対する期待値をこめた話です。

3つ目は少し視点を変えて実際にグローバル企業で働いた経験から思うことを述べてみたいと思います。

グローバルの中では High Growth Market というグループがあります。中国、インド、中近東、東南アジア、ロシアのような国々です。いずれも毎年2桁の成長を遂げています。このような国に対して日本の成長はほんのわずかで、とても太刀打ちできるものではありません。将来に対して企業の経営者の立場から見たらどちらの国に投資するかはあきらかです。

日本の事業としては大きな成長は見込めませんので、本社から見たときに魅力があるかといわれるとはなはだ心もとない状況です。このような中で個人の立場としてはどう将来の道を見出していけばよいのでしょうか?

個人として考えれば、より広いグローバル組織の中で活躍していくことに活路を見出していくしかありません。つまり、中国などの High Growth Market の組織で働くことや日本とその周りのアジアの国々という括りの中で自分のキャリアを求めていくということです。

その為には、まずますグローバルでダイバーシティな中で、カルチャーにアジャストしながら他の国の人々と対等に伍してやっていかなくてはいけないわけです。自分なりのグローバルに処する考え方、思想を築いて、タフに生き残っていくしかありません。極端に言えば、日本から自立するということです。

我々は長く日本人のみの世界で生きてきました。そして常に「日本=自分」という構造の中で物事を考えてきました。しかしながら、極端に成熟した少子高齢化の社会において、いわゆるグローバル化と対峙することはある部分難しくなってきています。

ですから、これから社会で活躍しよう、能力を高め、結果を出していこうと考える人にとっては日本という故郷から飛び立って、もっとダイナミックな社会で自分を試すことが避けられないと思います。

それがこのエッセイを書く初めて伝えたかった内容でもありますし、そのために筋肉をつけるヒントを論じてきたつもりです。あくまで個人的な限られたものですので十分に網羅できているとはいえません。読まれた方がこのエッセイのテーマの上に更に強化、修正して自分なりの考えを深めていただく必要があるかと感じてます。その部分は皆さん自身にバトンを渡したいと思います。

追伸: 
このエッセイに最後までお付き合いいただいた方々に心より御礼申し上げます。少し堅苦しい部分もあったかもしれませんが、何かの参考になれば幸いです。

次回からは私が外資企業に転職した時の体験談を「45歳、はじめての転職」というタイトルで掲載したいと思います。もう少しカジュアルな文体で、これから転職を考えている方の参考に、あるいはあるビジネスマンの転職記として楽しんでいただければと思います。

引き続きよろしくお願いいたします。


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