外資系企業人事部長の部下へ宛てたHR Letter「グローバル企業での働きかた」第25話 頑張るための原動力

第25話 頑張るための原動力

誰でも長所と短所があります。完璧な人間は一人もいませんが、多くの人は自分の短所ばかりが気になるものです。しかしながら「自分はダメな人間だ」「自分はこんなものだ」「とても誰々にはかなわない」という自己否定は自らの成長の芽を摘んでしまいます。

まずは至らないながらも今の自分を受け入れる、今の自分は成長過程にあり成長を目指すことこそが大事なことだということをしっかりと認識することです。前向きな気持ちの中で、しかし「自分にはこういった課題がある」「この点は改善しなくてはいけない」といったことを捉えられることが頑張るための原動力になるのです。

それでも自分に自信がないという人も多いでしょう。一般に謙虚な姿勢というのは悪いことではありません。自信がないからこそ成長することができるからです。ただ、完全に自信喪失してしまうと前向きに努力し続けることができなくなります。今の自分を認めて、一歩改善できたならその成果を評価することを心がけましょう。

よく人間一生勉強だとか死ぬまで学び続けたいという人がいますのが、こういう人はきちっと自己肯定できていると思います。反対に、過度の自信過剰や自己中心は成長の芽を摘んでしまいます。成長志向という意味でこのことは厳に慎まなくてはいけません。こういう傾向の人は人の話にもっと耳を傾けることで考え方のバリエーションを増やさなくてはいけません。

自己肯定を考えるにあたって「自分らしく生きる」ことを大切にしている人がいます。これは総論として良いことだと思いますが、自分らしさを貫くことが社会状況への対応を鈍らせてはいけません。変化を否定してしまう場合があるからです。

社会の変化に適応することは我々がこれからの時代を生きていく上で最も重要な能力のひとつだと、私は考えています。そのためにも、変化に適応することが自己を肯定することと矛盾しないよう、頭の中を整理しておく必要があります。

以上のように自己肯定と謙虚な心のバランスをとることは非常に難しいものです。しかし、このことがまさに賢く生きていくための重要な要素と考えます。


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