45歳はじめての転職 エピローグ 転職活動を終えて

エピローグ 転職活動を終えて

転職経験もなく、なにもわからず始まった就職活動はスタートから約8ヶ月後、外資系メディカル企業からの採用通知受諾によって終結した。この転職にまつわる就職活動は私に多くのことを学ばせてくれた。就職先が決まったというハッピーエンドだからではない。いままでの会社員生活で経験したことのない多くの人、できごとにめぐりあった。とても充実した日々だった。
 
私は大学卒業時ろくな就職活動もせずに自分の入社する会社を決めてしまった。メーカーに行こうと決めて初めての訪問先だった。しかし、あとになってから、銀行も商社も話を聞いてみたらよかったとつくづく思った。就職活動を通してみることのできる世界を全く知らないままで終わってしまったからだ。知らなくてはよいも悪いもない。だから大学卒業時にできなかった就職活動を今回思う存分できたことには満足している。世の中の事情を肌で感じ取ることができたからだ。
 
履歴書をだした会社は全部で15社、うち外資は6社。そのうち、面接をした会社は11社、うち外資は5社。役員面接まで通ったのは8社、うち外資4社。これが最終結果だ。この転職活動を通じて感じたことを自分の整理も含めあげてみたい。
 
日本企業が生き残りをかけて大変革をしはじめたと言われているが、本当にそうであろうか。昔ながらの日本的な経営は終わったといわれているが、本当にそうだろうか。多くの企業は表面的には変わってきたように見えるが、私はまだまだ変わっていないように思う。実力主義や脱終身雇用、脱年功序列という総論は賛成でも、各論になると思い切った雇用はできない現実がある。私が訪問したいくつかの会社では、まだまだ公平に外部から人を取れる雰囲気にはなっていなかった。
 
一方で外資企業は実力主義で徹底した合理主義のようにいわれているが本当にそうだろうか。これもまた会社ごとにまちまちであるように思える。ある外資は日本企業以上に日本的なウェットなメンタリティーがあるように思った。それぞれの抱える事情は異なるのだ。
 
総じていえるのは日系であれ、外資であれ、世の中の変化に対応できる会社、対応しきれていない会社に分化してきていることだ。グローバルな視点にたって急激な世界の変化についていけるか否かである。自分の属する企業が果たしてどのような立場にいるのかはまだわからない。

一方、このような全世界的な企業淘汰の中で、働く側としての個人はキャリアに対する自覚を高め、自己の価値観を見極め、慎重かつ大胆に企業の選別をしていかざるをえないように思われる。今回、私は自分の価値観の中で転職を選んだ。「一度の人生」で自分を高めるための変化を選んだことに悔いはない。しかし今、私は就職先が決まってハッピーエンドではないと思っている。これからしばらく、この会社とともに自分自身もサバイバルゲームに入っていかなくてはいけないからだ。
 
企業の盛衰は新たな変化に対応できるか否かにかかっている。自ら変化を求めた代償は今後の自分のキャリアと人生に降りかかってくる。

「本当の意味での挑戦が始まる」と気を引き締めなおしているのが今の実感である。 


追伸
「45歳、はじめての転職」をお読みいただきありがとうございました。引き続き、外資系企業にまつわるエッセイをアップしていく予定です。今後ともよろしくお願いします。 


45歳はじめての転職 プロローグ・目次 に戻る

外資系企業人事部長の部下へ宛てたHR Letter「グローバル企業での働きかた」 プロローグ・目次

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?