45歳はじめての転職 第14話 外資のジョブホッパー

第14話 外資のジョブホッパー

ジョブホッパーという言葉を知っているだろうか。

私の理解では、会社を数年毎に変わってその度に賃金とポジションをあげていく上昇志向の人のことだ。あまり好ましい意味では使われていないように思う。会社に帰属するという意思よりも自分の出世やキャリアに重心がある人といってもよいかもしれない。

このこと自体は悪いことではない。しかし、そのキャラが数字志向、上昇志向、ドライ、自己中心などと結びつき、好ましくない意味になっている。

外資の面接をしていると、面接する側の人間にこの「ジョブホッパー」らしき人が時々出てきた。ある会社でのこと。仮にHさんとする。おしゃれなスーツに身を包んででさっそうと登場した。

Hさん「あなたはどんな基準で会社を選ぶんですか?」

私「会社のカルチャーが自分とあっている会社がよいと思います。」

Hさん「僕はこの会社に入って2年なんですけど、会社のカルチャーを壊すような人にきてほしいなあ。今までのようなことをやっていてはだめなんですよ。僕は初め財務で入ったんですよ。それから中でプロモートされて本部長になりました。今では150人の部下をもっています。今回の人事担当は僕の改革をサポートしてくれる人がきてほしいと思っています。」

いきなり先制攻撃だ。しかも自分の力を誇示している。すごい自信だ。

私「外から入るのですから、新しいことをするのは当然だと思っています。そうでなければ外から採用する意味がないと思います。私が言いたかったのは、その会社が新しいことや改革を受け入れるカルチャーがあるかどうかということです。」

Hさん「それなら結構です。」

なんとか初めの攻撃はかわした。しかし彼の突っ込みは次に続いた。

Hさん「45歳で初めて外資に転職ですか。ずいぶん思い切ったことをしますね。僕の友達も大手の日本企業にいますが、実際の転職になるとしり込みしますよ。やはりもっと若いうちに転職を経験していないとリスクが高くないですか?新しい仕事にチャレンジしたいといわれますが、皆さん、大手企業にいる人は実際には動かないですよ。会社を替わりたい本当の理由はナンですか?」

彼の歯に衣着せぬ突込みは相当なものだ。ちょっと弱気を見せたらたちまち彼の論理に押し捲られてしまうだろう。日本企業ではちょっといないタイプだ。外資に入ればこんな人間とも付き合っていかねばならない。結構大変だ、と心の中でつぶやいた。


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