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離れていても結婚13周年。(664文字)

 

皆既月食の翌朝

外に目をやると
空の低いところに煌々と光る満月
声がでそうになるほど美しく、寝ぼけながら
うっとり


と思っている間に
ぐんぐん引き込まれるように山の向こうに沈んでいった

昨晩は天体ショーを
ありがとうございました!


とろけて見えなくなった姿に想いを投げる。



一緒に見よ!
きれいやなー!


感動はリアルタイムで
そばでシェアしたいんだけど、できない!
この世にいるのだから
ちょっと海を隔てただけなのだから、
見ている月を写真で送りあうことができる。
電話もできる。

でも一緒にいるのとは全然違う。



夫がいた55日間は
師走かのように走り去過ぎた。
私も伴走してゼェゼェ。

「期間限定だから」
イラっとしなかったことも、
日常に戻るとそうは続かない。

「ちょっとおれ体調良くなくて」
36度7分でもしんどそうな声を出す。
出そうと思っているのではないのだろうけれど。
当人はいたって本気なのだ。


月の出入りってちょっと複雑。
規則的で日を追うごとに少しずつ変わっていく
太陽の出入りと違い、
朝方だったり真っ昼間だったり夜中や夕方だったり。
一日でも一か月でも大きく違う。
秋の空も相まって、私の心のよう。

夫は情緒が安定フラットタイプ。
違うからこそいいのかも、ということにしておこう。

亭主元気で留守がいい?
そりゃ
亭主元気で一緒がいい。

今日で結婚してまるっと13年。
これからまだまだ一緒にいられると希望をこめて
仮定すると、
あと40~50年。
まだまだ先が長い。
離れているこの期間が
きっと貴重で懐かしいスパイスとなるんだろう。
とにかく
36度7分を熱と捉えないよう、脱・低体温してもろて。


いただいたご厚意は、今後の執筆の原動力にさせていただきます。 これからも楽しんでいただける記事を執筆できるよう 精進していきます。 今後とも応援宜しくお願い申し上げます。