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「ぼくって変かな?」すくなくとも私は変だよ。(1744文字)


ねぇお母さん ぼくは他の子と、どこがちがうかなぁ…?


息子は不安そうな表情をうかべ、戸惑いながら私に聞く。

ん~、ほかの子ってあんまり知らないから比べようないけれど、お母さんの子どもの時と比べたら全然違うかなぁ。


こう答えながら、「一学期はなかなか学校で自分の居場所が見つけられていなかったんだ」と思った。


なかなか友達ができない→

自分がちょっと変だから。


彼なりにこう考え、前述の質問となったのだろうと推測された。


みんな変だよ。そもそもみんな学校でみる姿と家でも違うことも多いし、誰といるかでも変わったりするよ。
小学生のころって、「みんなと一緒がいい」「仲間外れになりたくない」って思ってすごしている子が多いんじゃないかな。


 中学生頃からだんだん変わってくる子も多いよ。友達もいつかできるよ。いまのクラスの中という、限られたなかで友達ができなくてもだいじょうぶ。むしろできたらすごいよ。


とにかく安心してほしくてそう答えた。


夫にも相談してみると、「協調性の鬼」ならではの答えが返ってきた。

本気で友達作りたいなら、一回、全力で相手に100%合わせてみるっていうのも一つじゃないかな。

こどものころから組織の中で鍛えられてきたひとの言葉は説得力があるけれど、夫案を実行する息子の姿はなかなか想像がつき難い。


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自分の経験上だと、お友達ができる場所はなにもクラスの中だけとは限らない。
 同じ学校じゃなくても、年齢が近くなくても、
人間じゃなくても動物や植物だって友達になれる。
 日本人じゃなくても、同性じゃなくても良いし、
三次元じゃなくても、本やアニメの中の登場人物に思いを重ねたり、安心できる場所があったりすることもある。


 わたしは子供のころ、息子とは違って、「馴染むこと」より、「馴染めない」ことのほうができなかった。

だからいつも誰かと一緒にいたけれど、本当にほっとできたり信頼できたりする人は、クラスの外での関わりや、本の中にいたように思う。


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 先週金曜日は息子が待ちに待っていたドラえもんの映画「のび太の新恐竜」公開初日。
美しい映像と音楽に癒され、ついうとうとしそうになる私とは対照的に、スクリーンを食い入るように見つめ続けている息子。

なんども小説で予習し内容を熟知していたにも関わらず、ストーリーが進むたびに笑ってどきどきして、そして最後は涙。


まだひらがなもしらないうちから、息子が繰り返し繰り返し読む漫画「ドラえもん」


 甘えん坊で臆病で、勉強もスポーツもダメダメ。それでいていつものほほ~んと穏やかで、思いやりのあるのび太。
息子が変わらず「ドラえもん」を大好きなのは、どこかのび太に自分を重ねることができるからかもしれない。


 上映中、私が映画を楽しめていたかどうか、気になっていたらしい息子。
「楽しかったよ」というと、心から安堵の表情を浮かべた。
 映画から勇気をもらった息子は、その日初めて一人で電車に乗って家に帰った。
 家で私を出迎えてくれた顔は、とても満足げだった。


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家族そろって懐かしの映画「スタンドバイミー」を観ていると、少年同士でのこんなやり取りが飛び出してきた。

ぼくって変かな?…(内向的で真面目。作家志望)

息子の思いを投影したかのような、この問い。

友達はなんて答えるのか…?!
私もこの少年のように、半ば緊張しながら答えを待った。

もちろん。だからどうした。みんな変じゃん。

わたしが欲しかった答えだった。



 一日一緒にいると耳栓をして過ごしたくなるくらい、起きてから寝るまでずーっと何かを話している息子。それでも、自分の本音や肝心なことはめったに話さない。これからますます、親には話さなくなっていくだろう。


 連休明けからは私も外に出て少し働くことになった。
人と接する機会が再び増えると、時には自分の変さ加減に閉口したり、落ち込んだりすることもあるかもしれない。

そんなやらかしてしまうであろう失敗や間違いも、息子に共有するつもりだ。

自分が変人だと感じても、「だいじょうぶ」みんなどこかしら、変だから。


少なくともお母さんもいつも変だから。

そう感じてもらえたら、わたしの本望も叶うというものです。


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