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忘れないお正月。(854文字)


10年前、ゆく年くる年で全国の鐘突きをみているとお腹の中にいた子がいよいよ出ようかと動き出した。

「大安産ですよ!」
その子は助産師さんが驚くほどするんとスピーディーに登場。世界中がおめでたい日の翌日、ちっさく生まれた息子はぐんぐん大きくなった。


「ホンマにおったんや~」

妙な関心と感動がいりまじったその日からの日々は、私にとってなによりのプレゼントになった。



今年はかねてよりの鰻リクエストをかなえるべく、三が日でも開けている店を探して向かう。

三が日のため予約は不可。早めに向かったものの電車内で遊びに盛り上がりすぎ、乗り過ごし行ったり来たり時間をロス。

ついたらちょうどお昼どき、目の前には大行列。

仕方なく入った洋食屋さんでソファー席に二人で横並び。

どちらも居心地よい席は譲らない。

店員さんを眺めながら「これもいいねぇ~!」と猫舌でグラタンを頬張った。


がむしゃらでマイペースな日々を過ごしている間、子は10歳、夫婦は37歳に。

ほとんどのお母さんがそうであるように、わたしもまたこの10年間ですべてががらりとかわった。

変わらないのはこのメンバー。

滋賀、静岡、上海、大阪、あちこち移動しながら共に生きる仲間。




迷った末一緒に決めた今年のプレゼントは鉛筆一ダースとこだわりの鉛筆削り。鉛筆は大好きな三菱のハイユニ。


「鉛筆の世界は人と逆だね。
鉛筆は歳をとるとだんだん子供になっていくね」


息子の出てきた日は、お義父さんと同じ日。

誕生日、干支、出身地、苗字が同じ息子とお義父さん。

似ているところが多いような気もする。

それより私はお義父さんの誕生日を忘れないよう、クリスマスにサンタになるのを忘れないのと同じくらい毎年気を付けている。



人それぞれいろんなファイトがある
頑張ってるかどうかなんて他人が決めるもんじゃない
だから、自分の歩幅で歩きだそうぜ

リポビタンDのCM。


「良いこと言うねぇ~」

新年のひたすらテレビ生活中、キムタク知らない世代の息子に響いていた言葉。


人と比べ過ぎず、マイペースに。

ずっと息子が体現しているメッセージかも。


いただいたご厚意は、今後の執筆の原動力にさせていただきます。 これからも楽しんでいただける記事を執筆できるよう 精進していきます。 今後とも応援宜しくお願い申し上げます。