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「コミュニティありきのメディア」にモヤモヤする理由

photo by Incase.

「コミュニティ作り」によって成功しているメディアを、多く目にします。勢いに乗っていていいなーと思う反面、謎のモヤモヤをずっと感じていました。きょうはその理由を、#メディアとは、として書いてみたいと思います。

①はじめに

私はテレビ記者⇒toB向けWebメディア編集という立場で、大学では教育・行政・公共政策・政治を学んできました。視点に偏りがあり、学問的なメディア論はまったく念頭に置いていないということを、お断りしておきます……。

②「異なる性質の人をつなぐ」メディアの役割

メディアの役割のひとつに「異なる性質の人をつなぐ」というものがあると思っています。

メディアによって情報を得ることで、異なる立場の気持ちがわかるようになる。知識を得ることで、「それ」を知らなかった人が、知っている人と対等に議論ができるようになる。

たとえば、私は東日本大震災の2年後に北海道から仙台に引っ越し、学生生活を送りました。周りは震災で大変な思いをした人ばかりなのに、私は当時そこにはいなかった。ですが、本やテレビ、展示会などで情報を取り入れることで、少なくともその状況を想像することはできました。メディアがあったからこそ、違う立場の人に、少しだけでも近づくことができたのだと思います。

実はそれが、就活をするときに私が記者になりたいと思った理由でもありました。

②「コミュニティ」がもつ閉鎖性

ところが「コミュニティ」は、内と外を隔てる性質があると思います。「つなぐ」メディアと「隔てる」コミュニティは、本質的に矛盾しているような気がするのです。

コミュニティって、中にいる人は心地いい反面、その外側にいる人は疎外感をもつかもしれません。コミュニティが熱狂すればするほど、外との温度差が激しくなり、中と外が、交じり合わなくなります。

メディアがこうしたコミュニティの性質を利用しすぎると、「あちら」と「こちら」をはっきりと分ける役割を、担いかねないような気がするのです

※ちなみに「コミュニティ」と「ターゲット」はなんとなく違うと思っていて、業界誌が特定の業界しか相手にしていないから排他的だ、という話ではないと考えています。特定の業界にコミュニティを作ってそこだけに情報を届けている、という場合が、説明した状態になるのでしょうか……。自分でもまだ整理しきれていませんが。

③メディアの成功って?

私はマスメディア(テレビ)出身だから、「みんなに」情報を届けるという側面を重視しすぎるところがあるのかもしれません。「つなぐ」機能は公共性が高いメディアが中心になって担えばよく、コミュニティ重視のメディアもあってよいとも言えます。現実的なマーケティング戦略を考えたとき、サブスクは強い方法だし、新聞にもその要素がある。

でも、メディアがコミュニティありきになってしまうというか、コミュニティの成功がメディア成功の方程式になってしまうのであれば、とても寂しいです。あくまで、異なる立場の人をつなげるという役割が第一にきてほしいし、私はそこを重視して働きたい、と強く思います

メディアとかコミュニケーションのことを体系的に学んだことはないので勉強したいし、これだけ個人の発信力が強くなった中でメディアの役割ってなんだ?というのは、これからも考え続けていきたいです。

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