只見線のあるまちにて2021/04/25
午後4時半、いつも行っている場所が終わり、帰ろうとしたところ雨がぽつりぽつりと降ってきた。今日は只見線を大川踏切で撮影する予定だった。目的は遠くに見える三角の山と、本郷駅近くにある給水塔の入った構図の写真が欲しかったからだ。
しかし雨だ、どうするべきか考えたが雨は強くならないようなので、自転車のペダルを強くこいで大川踏切へと向かった。途中、友人から「豆腐餅って知ってる?テレビでやってるよ」との電話に、「いや知らない」と突っぱねたが、どこに向かってるのか伝えると「いい写真撮ってね」との返答に、急いでペダルをこぎだすと目的地には20分足らずで到着した。
本郷駅17:03の只見線の上りを待っていると、少しずつ雨が強くなってきたような感じもした。無事只見線の上りを撮り終えると、次は本郷駅17:13の下りだ。撮影場所を変える時間もない、とりあえず回りを眺めてみる。西の空には雨雲が浮かんでいるのに太陽も顔を出しているようだ。
そんなとき、このシチュエーションはどこかで経験したことがある。雨雲と太陽が出ているということは、あれも出てるかもしれない。そう思って「志村、うしろうしろ」の声に推されるかのように東の空を見てみると、案の定あれが出ていた。ジーンズのポケットに入っているiPhoneから流れている音楽は渋谷系末期に登場したGOMES THE HITMANの「雨の夜と月の光」だった。
あれは下りの只見線を待つことなく消えてしまった。せっかくのチャンスを得たのにおしかったなあ、そう思いながら、今日は回っている風速機が回転するところをスローシャッターで撮った。ISO感度もいっぱいいっぱい、絞りも最大にしてもシャッタースピードは50分の1を下回ることはなかった。NDフィルターの存在意義がわかったような気がした。
風速機を撮っていると、近くでフォーンと通過音が聞こえてきた。おっとまずい、風速機に気をとられて下りの只見線を撮り逃がすところだった。やっぱり只見線は前よりも後ろから見たほうが美しい、そうキハ40のときから思っているのだが変だろうか?
1時間の間に3本走る只見線のラッシュアワーだが、3本目は撮らないで帰ることにした。西の空に雨雲が居座ったままなので、これ以上は無理をしないでおこう、昨夜は徹夜に近かったのだからと自分に言い聞かせた。その帰り道、またあれを見つけることになってしまった。看板屋の店先の看板にあれが描かれていた。すでにカメラはバッグにしまっていたが取りだして、すばやく一枚撮り、またバッグへと戻した。
あれ全体を写したかったが、小雨の中レンズ交換するのも不安なのでやめておいた。iPhoneで撮ればよかったのにと思う人もいるだろうが、自分にとってiPhoneのカメラは事務的作業にのみ利用していたので、その存在に気づけなかった。
とりあえず今日は良いものを見せてもらった、そんな気持ちでぐっすり眠りたいと思う。何事も続けていればいいことあるよの典型だったと思う。