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ポスト構造主義の先駆者としてのゴンブロヴィッチ:アイデンティティ、形式、自由の問題に関する考察

ポスト構造主義の先駆者としてのゴンブロヴィッチ:アイデンティティ、形式、自由の問題に関する考察

はじめにゴンブロヴィッチの「形式」の概念

今回紹介する論文の著者は、ポーランドの作家ヴィトルド・ゴンブロヴィッチが、社会における人間のアイデンティティやパーソナリティを形成する規範、制度、言説を指す「形式」という言葉をどのように用いているかを解説しています。
著者は、ゴンブロヴィッチがこれらの抑圧的な「形式」に疑問を投げかけ、その人為性や偶発性を暴くことで抵抗していると主張します。

ニーチェが

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ニーチェとマンの文学的闘争に挑んだゴンブロヴィッチの小説『ポルノグラフィア』の読解

ニーチェとマンの文学的闘争に挑んだゴンブロヴィッチの小説『ポルノグラフィア』の読解

はじめにヴィトルド・ゴンブロヴィッチの小説『ポルノグラフィア』は、第二次世界大戦中のナチス占領下のポーランドを舞台に、セクシュアリティ、暴力、アイデンティティのテーマを探求した複雑かつ挑発的な作品です。
この小説は、田舎の土地で若いカップル、ヘニアとカロルを引き合わせようとする2人の老紳士、フリデリクとヴィトルドの策略と陰謀を中心に展開します。
哲学者フリードリヒ・ニーチェをモデルにしたフリデリク

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ヴィトルド・ゴンブロヴィッチ『ポルノグラフィア』におけるパロディ

ヴィトルド・ゴンブロヴィッチ『ポルノグラフィア』におけるパロディ

はじめに『ポルノグラフィア』は、ポーランドの文学者、ヴィトルド・ゴンブロヴィッチの小説で、原文は1960年に出版されました。
ゴンブロヴィッチは近代のポーランド文学において重要な存在であり、その著作は独自の視点と深い洞察を提供しています。
日本ではまだ主流ではないかもしれませんが、その文学的な寄与は見逃せないものです。

この記事は、『ポルノグラフィア』について、以下の論文を基に、そのパロディの構

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