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日常に付箋を貼る(二月の十七音まとめ)

昔、コントの勉強をしていて欽ちゃんの台本の作り方に感銘を受けました。
家族コントの始まり。帰宅する父親の第一声に「ただいま」と作家が書いた瞬間、ボツになったという話。
いつもの日常ではなく、年に一度か二度「おい聞いてくれよ」とか「大変だよ」と帰る日があるだろう。そこを描きなさいと。
――そんな趣旨だったと思います。

「特別」を切り取る感覚は舞台脚本にも応用が利きました。
ただね。
俳句でそれをやったら辛くなったんです。
気負い過ぎるのかな。もっと驚きを。もっと劇的にって。
半端な空想を付け足してしまい、結果、何を詠みたかったのか分からない句が出来たり。

大切にしたいのは平凡な毎日の他愛もない瞬間。
代り映えしない毎日でも今日を生きたという実感のあるもの。
ほうれん草が美味しかったとか、植えたチューリップの芽が出たとか。
そこに気づけると、心も健康でいられるでしょう?

「日常に付箋を貼る」
想像は読み手のときのみ発揮して、家常描写をまた丁寧にやっていきたいと思う今日この頃です。


[二月の俳句一覧]

※ 日付をクリックすると、俳句の当該エピソード or 日記風小説(400文字)が開きます。興味が出ましたら読んでみてください。

6日 神棚へ故郷の酒春来る
7日 春の星お風呂の壁の九九ポスター
9日 つくしんぼ前髪キメる小さき指
10日 春めくやさんすうせっとの時計盤
13日 待ち合わせへ持ってくボール犬ふぐり
14日 冴返るジンクス破るテーピング
16日 愛の日を愛玩のぬいぐるみへも
17日 獺祭や紙で作りしレジスター
21日 おわかれのことばリレーの風光る ★
22日 増えていく無邪気春日の園庭に
23日 寄席を出てほとぼり冷ます木の芽和
24日 春宵のボードゲームのびりつけつ
27日 公園のキャッキャ春疾風のボール 


太字は妻の特選(つくしんぼ)と次点(風光る)です。
六歳息子は 特選 ★は、「おわかれのことばリレー」の句でした!

妻「つくしんぼという季語と小さき指の取り合わせが良かった。指のイメージも出てくるし、子供が背伸びしてる感じもして「キメる」がかわいらしく感じたから。風光るは、言葉が神々しく感じられるというか。ああ、卒園式だなあってしみじみした。」

息子「楽しかった思い出のボードゲームの句と悩んだけど……やっぱり、卒園式でいうお別れの言葉かな。思い入れがあるし。」


今月は一年ぶりに「ツマヨム」が出来たのも良かったですね。
覚えててくれた人が結構いて嬉しかったな。
妻も朗読するのが大好きなので、俳句ともども淡々と続けていけたらと思います。



※試行錯誤中の先月はこちら____🖋



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