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名残惜しさにしばし

連なる報道陣に観衆。
パンダのシャンシャンを一目見ようと集う人々。
何がそんなに惹きつけるのか――

「そろそろ出るよ」
保育園に行く息子から声がかかる。
思わずニュースに見入ってしまった。
妻が早出でいない時の息子はしっかり者で、
私の面倒まで見てくれる。
「パパは歩くのが遅いから針が2に行くよ」
はいはい。

園まで3分をゆっくりと。
こんな時間はあと数回か。
ちょうど朝日が照ってきて、私は「最高の太陽だよ」と言った。

「園のお庭はもっと明るいよ」
息子の言う通り。
門を入って見やると眩い光が地面をキラキラと照らしていた。

「シンおはよう」
登園が重なったリョウマ君とトモ君が集まってくる。
「あ、シンのパパだ」
最近顔を覚えてくれた私にも屈託ない笑顔をくれた。
日光の暖かさと相まってポカポカな気分になる。

裏表のない無邪気に触れるとこちらまで浄化される。
このまま日向ぼっこしてたかったが
「パパ、早くカード押して来て」
息子にせっつかれ渋々教室に入った。


増えていく無邪気春日の園庭に

(ふえていくむじゃきはるひのえんていに)

季語(三春): 春の日、春日、春の陽、春日影



※無性に動物園に行きたくなった。今度息子を誘ってみよう。


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