『店頭のヒーロー』
その日その商店街は一番活気のある場所でした。
所狭しと並んだ屋台に雑多な商品の数々。
スマホ、スイッチ、鞄や帽子、お寿司にお菓子……
全て紙の工作物。
保育園あげてのお店屋さんごっこ。
年長組が店員に扮し各ショップに入ります。
シンは人気の一、二を争うスマホ売り場に配属されました。
「いらっしゃいませー。いろんなスマホがありますよ」
気恥ずかしかった呼び込みも自然と大きな声が出てきます。
二学年下のカイ君がやってきました。
「スパイダーマンのをください」
「お待ちください、あっ」
商品を手に取ろうとした矢先、横から他の手がのびて取られてしまいました。赤のスパイダーマンは男の子たちの人気だったのです。
それは最後の一個でした。
シンはカイ君を見ました。
カイ君もまたシンのことを見ていました。
☆
「だから、自分が買ってたやつをあげたんだよ。泣きそうだったから」
「すごい。ママはその優しさが好き。ね、パパ」
「お前がスパイダーマンだ」
獺祭や紙で作りしレジスター
(だっさいやかみでつくりしれじすたー)
※日記を小説風に表現しています__🖋
たくさんの戦利品を持ち帰ってきましたが、何よりエピソードが一番の宝物となりました。
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