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2022年12月の記事一覧
運試し擬人化|毎週ショートショートnote
もう〆切はとっくに過ぎた。
編集部に「もう1日だけ待ってもらえないでしょうか」とメッセージを送ると、向こうもパニックになっているらしく、
「〆切? ああ……とりあえず2、3日はいいっすわ!」
と軽くあしらわれた。命拾いした。
――はぁ。
座椅子の背もたれに体を預け、天井を仰ぐ。もう1時間も原稿は真っ白のまま。気晴らしにTwitterを開くと、「運試し擬人化」というアプリの広告が表示された。
ミルマス・カラス|毎週ショートショートnote(番外編)
目の前に白いカラスがいた。
「ま、まさか……」
「貴様、よくも俺を売ったな」
そう、懸賞金ほしさに騙した、あの白カラスだ。
「償ってもらうぞ」
白カラスがそう言った瞬間、顔に何かが張り付いた。
「うわ!? なんだこのマスクは!? 苦しい……」
「これから貴様はミルマス・カラスとなり、世にはびこる悪を退治するのだ」
「そんなバットマンとかスパイダーマンみたいな設定はゴメンだ!」
「じゃあ
クリスマスカラス|毎週ショートショートnote
ある日、家の前に白いカラスがいた。
「どうしたの? 真っ白になっちゃって……」
「だって、黒にゃんこは人気あるのに、カラスは『怖い』とか『不吉』って言われてるでしょ? だから白くなろうと思って」
「いいんじゃない? クリスマスも近いし、似合ってるよ」
「でしょ?」
白カラスは嬉しそうに飛び立った。
数日後、白カラスの目撃談が相次ぎ、
「突然変異か!?」
「災いの予兆では!?」
「新種かも
穴の中の君に贈る|毎週ショートショートnote
ある日突然、庭にぽっかりと小さな穴が空いていた。
試しに空き缶を放り込むと、何も音がしない。
翌日、穴が少し大きくなったので、壊れた電子レンジを放り込んだ。
やっぱり音がしない。
毎日少しずつ大きくなる穴。
僕は壊れた椅子、机、ソファ、車のタイヤ、冷蔵庫など、次々と要らないものを放り込む。
――これは便利だ。
数日後、別れ話を切り出した彼女を、衝動的に車で轢いた。
「どうしよう……」