見出し画像

なぜタバコが体に悪いと思っても吸ってしまうのか?

歩きたばこしている人がいると周りもその煙を吸ってしまい受動喫煙になるので、他の人にも迷惑を掛けます。

そのため、条例で禁止しているところが多いです。

実際、2002年に日本で初めて条例が制定されて以降、東京、大阪、名古屋など多くの大都市で施行されています。

それにもかかわらず、いまだに歩きたばこしている人が多いのが現状です。喫煙に関する情報はテレビや新聞などで情報を得にくいと思うので、この記事でまとめておきます。

この記事では、「喫煙の現状はどうなっているのか?」について解説します。

喫煙の状況

まずは喫煙に関する情報を見ていきましょう。

2018年全国たばこ喫煙者率調査によると男性の4人に1人(27.8%)、女性だと12人に1人(8.7%)が吸っている結果が出ています。

なので日本全体で考えると、およそ2200万ほどの喫煙者がいる計算になります。

学生時代に嫌ほど「タバコが体に悪い!」と言われてきた20代ですら近い割合で吸っている人がいます。

また、働き盛りの30,40代の喫煙率が高く、男性だと3人に1人(33.1%、35.5%)、女性だと10人に1人(11.1%、13.6%)が喫煙している状況です。

ちなみに、タバコの総本数で計算すると2007年には2585億本で、1箱20本410円で計算すると5兆2,993億円に達し、防衛費を上回る額になります。

このように、いまだに喫煙している人が多いのが現状ですが、長期的に見れば喫煙者は減ってきています

実際、1965年時点では男女それぞれ82.3%、15.7%で高い水準でした。

これほど高い水準だったのは「タバコがかっこいい」という社会的象徴があったこと、タバコによる健康被害が明るみなっていなかったためです。

1970代以降、健康被害が確認されてから徐々に男性の喫煙率が減ってくるようになりました。

医療関係者の喫煙率も高い

驚きなのが医療関係者の喫煙率が高いことです。

2000年における医者の平均喫煙率は男女それぞれ、27.1%、6.8%で、全国平均(53.5%、13.7%)を下回っていますが、外国と比べると高い水準です。

事実、イギリスやアメリカなどの医者の喫煙率は5%以下でした。

また、医療従事者である看護師は一般人よりも高い傾向にあります。

1992年に行われた調査では看護婦の喫煙率は18.5%と一般女性の1.4倍です。1998年の厚生労働省の調査でも、24.5%で1.8倍となっています。

これほど看護婦に喫煙者が多いのはストレスが原因だと考えられています。

シフト勤務による不規則な働き方、夜間勤務、緊急性の高い仕事などが重なり、看護婦がストレスを抱えやすく、喫煙によってストレスを解消していたためでしょう。

このように、健康の重要性を一般人よりも知っている医療従事者でも喫煙する人は多いのです。

タバコの箱には健康被害のメッセージが明記されている

タバコを吸っていない人からすると「喫煙者は健康に対する認識が甘いのでは?」という疑問を持つでしょう。

しかし、ほとんどの人は喫煙が健康に悪影響を及ぼすことを知りながらたばこを吸っています

事実、タバコの箱には喫煙が病気の原因となることが明記されているのです。

・喫煙は、あなたに脳卒中の危険性を高めます
・妊娠中の喫煙は、胎児の発育障害や早産の原因の1つとなります

海外でも同様に「肺がんや膵臓ガンになりやすい」というメッセージや、「小規模都市相当の人数がタバコが原因で亡くなっている」といった警告文がある。

メッセージだけでなく、写真で示している国もあります。タイのタバコの箱には黒ずんだ肺や黄ばんだ歯の写真が印刷されています。そのため、タバコを買う人はわずかです。

このようにタバコの箱には、どれだけ健康に被害を及ぼすのかが明記されているため、喫煙者は健康被害をキチンと認識しているはずです。

喫煙の危険性を過大評価する喫煙者

事実、ある電話調査では喫煙者は危険だと把握していることが分かっています。

その調査では、「喫煙が肺がんになるのは100人中何人か?」という質問をして肺がん確率を予測してもらいました。

その結果、平均は42.6%で喫煙者が36.8%と少し低いが、実際に肺がんに罹る確率が10%前後なので喫煙による危険性を過大評価していることになるます。

また、別の調査では、喫煙による死亡率や余命の減少についてもアンケートを行ったが実際の確率よりも過大評価している傾向にありました。

このように喫煙者は健康被害を低く見ているのではなく、むしろ過大評価しているのです。

それでは、なぜ危険と知りながら喫煙するのでしょうか?

1.タバコは簡単に辞められると思っている

1つ目の理由はタバコに依存しにくいという考えを持っているためです。1本吸ったとしても簡単に辞められると考えています。

実際、2000年に行われた調査では、中学生3年生~高校生3年生を対象に少しの喫煙がどれほど危険かを尋ねました。

・最初の2~3年の喫煙には全く危険がない
・喫煙は最終的に喫煙者の害になるが、次の1本は全く害を及ぼさない

具体的には、これらの問いに対してどのような評価をするのかを調べました。

その結果、タバコを吸う量が多い人ほど楽観的に考えることが分かっています。

つまり喫煙者は、「短期的な喫煙」と「長期的な健康被害」が結び付いていないということになります。

また別の実験でも、未成年者の48%、成人の60%が喫煙して2~3年で自ら望めば禁煙できると信じています。

それだけではなく、禁煙を希望する喫煙者は1年以内に成功する確率を過大評価しています。

このように、タバコを簡単に辞められると考えているため危険を冒しても喫煙してしまいます。

2.自分は他人と違う

危険と知りながら喫煙してしまう2つ目の理由は「自分は違う」と思っているからです。

事実、死亡率を調査した研究では喫煙者ほど自分の死亡率を楽観的に考え、非喫煙者ほど悲観的に考えることが分かっています。

また、自分の健康状態が悪化した人は喫煙者は量を減らしたり禁煙をするが、家族の喫煙者の健康変化にはほとんど影響しません。

つまり、他人がどれだけタバコで大きな被害を被っても、自分だけは違うと考えるようになるのです。

そのため、「自分がタバコに依存するわけない!」と思っているから喫煙を始めてみます。

そして、「いつでも抜け出せる」と考えていたが、繰り返していく内に禁煙できなくなるということが起こるのです。

まとめ

この記事では、タバコの現状について解説しました。

・日本国民の5~6人に1人は喫煙者

・喫煙者は決して健康被害を甘く見ているわけではない

・タバコは簡単に辞められると思っているのと自分は他人と違う考えから禁煙できない

まだタバコを吸ったことがない人はこれからの人生で一度も吸わないことをお勧めします。

「一本吸っただけで変わらないでしょう!」という考えが命取りになります。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?