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14,124km彼方の孤独

今まで国の違うの何人かの男性とオンラインや直に深く話をする機会があったが、共通して感じるのは国や人種が違っても、みんなそれぞれの問題を抱えていて、そして孤独だということ。

昨日の夜もnoteに言語交換サイトの話を書こうとして久しぶりにそのサイトにログインして調べていたら、メッセージが1通ポップアップされた。

30代前半の男性で英語は母国語ではないけど流暢なので私の英語の練習を手伝うから日本語の勉強を手伝ってほしいとのことだった。

全く予定外だったが少しメッセージをやりとりして、感じが良さそうな人だったので彼の希望するLINEに場所を移して話すことに。

当たり前だがオンラインというのは便利で、直接話すかテキストでメッセージしあうか、コミュニケーションの方法を2つから選べる。彼の意向でテキストで話していたのだけど、英語で話す場合、私にとってはテキストメッセージのほうが慣れているのでやりやすいし、それに最初のうちはテキストの方がどんな相手か探りやすい。

いろいろニュースにもなっているが、オンライン上には詐欺やいろんな危険があるので本当に気をつけないといけない。幸い、私は今までひどいめにあったことはないが、それでも最初から全面的に相手を信じて話しているのではなく、言葉の使い方や言い回しが悪くないか、おかしくないか、何か辻褄が合わないことはないか、不審な点はないかを話しながら慎重に探っている。

こちらに来る直前まで私は関連の資格を3つ取ってキャリアカウンセリングを7年間していたことがあり、知らない人と日本語で話をすることには慣れている。そうはいっても母国語ではない場合、やはりそうすんなりとはいかないが、深いコミニュケーションをどうやって築くかなどの基本は仕事柄学んでいるし、このコミュニケーションの原則は普遍的なので国や人種が違っても変わることはない。

例えば、自己開示(Self-disclosure/自分の個人的な情報をありのままに伝えること)というのは深いコミニュケーションを築くときのひとつの大きな鍵で、通常はそれによってぐっと仲が深まることが多い。自己開示は読んで字のごとく自分の心を開くということで、誰かが自分に心を開いてくれたら通常ならそこに信頼がうまれる。信頼は全ての要でありコミュニケーションも例外ではない。

そのうえ、普通は返報性の法則(Norm of reciprocity/人から受けた行為に対して何らかのお返しをしなければいけないと思う心理)が働いて、相手が与えてくれた同じ程度の情報を自分も与えようとするため、コミュニケーションが深いレベルまで入っていきやすい。

これは情報だけではなく物でも同じで、誰でも心あたりがあると思うが、誰かに何かもらった場合、私たちはよくそれにお返ししなきゃと思う。それも返報性の原理である。

詐欺というのは自己開示や返報性の原理などの人間の心理をうまく利用している。そういう意味では誰かと知り合おうとすると、それが喜びをもたらすものである一方、危険をもたらす可能性もあるということを忘れてはいけない。テクノロジーにより世界がぐっと近くなった今、リスクも国際的なうえとても身近になっている。私自身もいつもこわごわ知らない世界をのぞきこんでいる。


少し話がそれてしまったので彼のことに話に戻すと、私自身、もともと自己開示することにあまり抵抗はないが、昨日の場合は彼のほうが私より先に自己開示してくれた。そのため最初は言語交換にどんなことを希望しているかというような条件や、今どこに住んでいるかとか何をしているかというようなお互いを知る基本的な質問をしていたのだが、だんだん個人的な話もするようになった。

彼は自分に軽い自閉症と1つの強い恐怖症があること、そのために日常生活に支障がでていること、その恐怖症に対して心理療法や薬が効かないこと、だから自信がないこと、それでも深く誰かを愛し、愛されたいと願っていることなどを話してくれた。

彼の気持ちがわかりすぎて胸が痛む。

彼はweird(変な、奇妙な)と自分のことを言っていたが、私はそうは思わない。完璧な人などどこにもいないし、どこに視点を置くかの問題で、見方を変えれば私たちはみんなweirdだとも言える。

決して話しやすくはないことをきちんと最初に伝えてくれた正直さや、ありのままの自分を隠さず誤魔化さない強さは彼の美しい資質だと思う。


国や人種や年齢や性別が違っても、誰もがいろんな悩みを持って、それと闘いながら、または折りあいながら生きている。そしてそんな不完全な自分でも、誰もがありのままの自分を愛されたい、誰かを心から愛したいと願っている。

私たちは孤独で、だからこそ愛おしい。

彼のしあわせな未来を遠くから願わずにはいられない。
私の孤独も共鳴した、胸の疼く夜に。

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