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愛っていうか、ただ誰よりも信じているだけ。


最近の彼と私。




ポートワインのカクテル言葉と月下美人の花言葉

年末年始で香港旅行に行っていた彼が、お土産にポートワインを買ってきてくれた。

「ちなみに、ポートワインって意味あるの知ってた?」という彼に、なにそれ知らない、と答えると「カクテル言葉、調べてみて」と言った。

でへへ、と照れて、美味しいねぇ、と言った私を見て、彼は満足そうに笑った。甘い言葉がよく似合う、甘ーいワインだった。

カクテル言葉なんて知らなかったし、そんなロマンティックなことすると思ってなかった、と言った私に、えーひどいなーと少しむくれながら彼は「(私の名前)に贈るなら、月下美人かなぁ」なんて呟いた。


月下美人の花言葉、ぜひ調べてみてほしい。とにかくややこしいのだ。


なんで月下美人なの、と呟いた私が見ていたのは「儚い美人」「儚い恋」「艶やかな美人」のところ。儚いって、すぐ消えちゃうってことでしょ、嫌よ、と私が言うと、彼はきょとんとした顔をして、もっと他に意味あるよ、と言った。彼は「危険な快楽」「ただ一度だけ会いたくて」の部分を見て月下美人と答えたようだった。どうやら、遠距離恋愛中のパートナーにおすすめとのことらしい。


ところで、ポートワインを買ってきてくれたのはいいのだけれど「一緒に飲もう」と開けてしまって、お土産なのに持ち帰ることができなくなったことに飲んでから気づいた(私たちアホなのかな?)。

結局、その日から毎週彼の家に行くたびに2人で飲んで消費した。



付き合う人の影響

なんの話をしていた時だったか、
やっぱり、付き合う人の影響ってあるじゃん?、と切り出した彼は、
「(私の名前)と付き合ってからおとなしくなった」と言った。

おとなしい、だなんて生まれてこの方一度も言われたことがない。
君は私のどこを見て5年間生きてきたんだと思いながら、え、私、おとなしい?、と聞き返すと彼はこう言った。



「おとなしい、というか、競争に興味ないやん?中学のときとか(私の名前)と付き合う前までの俺は、なんでもすぐに競争しようとして、一番じゃないと嫌ってなりがちだったから、それがなくなって落ち着いたなって自分で思うよ。」


なるほど、と納得した。

彼の昔を私は知らないけれど、私が競争に興味がないのはたしかなのだろう。もちろんスポーツやコンペでは勝ちたい。だけど、水泳では順位が上がることよりも、昨日の自分より0.1秒でも速く泳ぐことの方を目指していたし、コンペでは、勝ちたいと言いつつも「勝てなくても、チーム全員が ”絶対うちらの案の方が良かった!” と信じられるような、よいアイデアを出すことのほうが大事」という想いがあった。


他の人よりも学校のテストで良い点・良い順位をとること。他の人よりも偏差値が上の大学に行くこと。「頭いい」と言われること。他の人よりもモテること。ネームバリューや年収が高い会社に入ること。


そんな他人軸の、競争ばかりの世界はきっと苦しい。そして彼は「競争が好き」と言いながらも心の底ではそれを望んでいなかったのかもしれない。


誰かが作るそんな果てしない競争から彼を解放してあげられたのなら、私も捨てたもんじゃないな、と思う。



一生分のお菓子作り

2月12日と13日は、14日に控えるバレンタインに向けて、お菓子作りに励んだ。

きっと、来年からは狭いキッチンになって、使える時間も限られてしまうから、と、本気で作れば1番めんどくさいと思っていたものを今のうちに作ってやろうと、メインはずっと避けていたボンボンショコラの詰め合わせにした。

ボンボンショコラは簡略化しようとすれば、温度気にせずにチョコを溶かして型に流し入れるだけでできる。だけど、そのシンプルさ故に、こだわりはじめると素材のチョコレートの質、テンパリングの有無(チョコの溶かし方)、その際の温度管理、最後のコーティングと果てしないし、どれか1つでも失敗した瞬間にすべてがおじゃんになってしまうほどに、奥深い。

おまけに、使う道具がチョコまみれになるから洗い物が面倒くさい。しかも、ただ塗れるだけではなく、テンパリングしたチョコは固まるのも早いから、お湯に浸して溶けるのを待ったり、ナイフやゴムベラで削ったりしなければならない。

その分、うまく作れたらほんとうにかっこいい。使うチョコの味、中に入れるもの、表面のデザインと、工夫すればするほど、凝れば凝るほど、世界にひとつだけのギフトができる。


だからボンボンショコラで勝負しようと思ったのだけれど、結局それだけだと少し地味かな、と、シュークリームもベーグルも作った。


ボンボンショコラはプラリネ、フランボワーズ、キャラメル、抹茶の生チョコと4種類作った。特にテンパリングしたチョコレートをコーティングする工程が、予想通りとてもめんどうくさかった。

だけど、そもそも手に入りにくい専門的な材料とその材料費をすこしでも浮かせるために、素焼きアーモンドを買って1からプラリネを作ったり、フランボワーズジャムを買ってピューレを作ったり。そんな風に工夫して、材料から自分で作っていくのは楽しい時間でもあった。

シュークリームは電子レンジで作るレシピだった。生地はうまく膨らんだけれど、絞るときにもっと上に上にくるくると絞った方がよかったな、と反省。カスタードは2回トライしたけれど、少し緩くなってしまったので、次から電子レンジで作るのはやめようと思う。結局、彼にはその中で1番うまくできたものを1つ贈った。


来年からはここまで時間を使えないだろう。
2日間で一生分のお菓子作りをした。

5年目にして、クッキーからマカロン、タルトまで、作り切ってしまってすでにネタ切れ。

来年はなにを作ろうかな。



バレンタイン

河原町で待ち合わせした当日は、会うなり彼が「四条河原町で声かけられた!1〜2分でいいから取材協力してくれないか?って、ABCテレビの『今、京都があつい』っていう番組らしいんだけど」と話し始めることから幕を開けた。

それで、なんて答えたの?と問うと、いや(取材自体を)断ってきた!待ち合わせあるんでってと答えた。

は?なんで断ったの、受けときゃよかったのに!録画したかったのに!と悲しむ私に、彼は
「え、だって俺にとっては(私の名前)と早く会う方が大事だったから」と、当たり前のことのように言った。

本来なら胸キュンポイントなのだろう。しかし、その数週間前に、上賀茂神社の前にいたにも関わらず『ニノさんとあそぼ』の収録で上賀茂神社にいたニノと菊池風磨と多部未華子を見逃し、四条大橋にいたらしいキムタクのことを逃していたことを悔いていた私は、このときばかりは胸キュンより先に(やっぱり変な人だ…)と思った。


その後も「京都があつい」ってどのあついなんだろうね。暑い?アツい?と話しつつ、目的のお肉屋さんに到着。一度、外資ITのインターンに通過したときにその企業の内定者だった先輩に連れてきてもらって、あまりのおいしさに蕩けたハラミ丼。お値段は2400円と高いけれど、お味噌汁や小鉢、食後のコーヒーやデザートもついてくるプチコースのようなものなので、コスパは良い。コスパ度外視しても、冗談抜きで、これまで食べたお肉の中で一番おいしかったので、彼にも味わってほしくてこのお店をチョイスした。

近江牛のハラミらしい。
とにかく肉がやわらかくていわゆる脂身はない。
きっと脂が上質なのだと思う。
ボリューミーで満腹になるのに
ご飯普通盛でも胃もたれしなかった。
お茶菓子はプリンでもゼリーでもムースでもない、
ぷるんぷるんのチョコ。

店主さんも、物腰がやわらかくて丁寧な方。
おしゃべりする派のお客さんとは朗らかに語らい、私たちみたいに恋人同士や友人同士で訪ねてきたお客さんとは必要最低限だけれども丁寧な接客で私たちの時間を邪魔しないように、というかのように見守ってくれていた。


*****


ランチで彼のお腹を満たしてしまったので、私がいる間に彼が食べたバレンタインのスイーツはシュークリームだけなのだけれど「シュークリーム作ったのすごいね!とろとろだね、おいしいー!」と満足そうにほぼ一口で食べていた。


お家でまったり過ごした後は、バスに乗って京都駅付近のフレンチバルへ。

昨年のバレンタインの日に予約なしで行こうとして行けなかったお店だったから、たとえ奮発してでもこの日にどうしても行きたくて、3日前の夜中、勢いで予約した。

予約してたからか、窓際のロマンティックなソファ席に案内された。

ここのバルは、一見値段が高そうに見えて、実はコスパが良くて。
飲み放題だったら時間無制限で4杯で元が取れるし、お通しのサラダはおかわり自由。彼と散々迷ったけれど、飲み放題は諦めて、スパークリングと白ワインと赤ワインを順番に1杯ずつ注文した。

メニュー表のワイン説明の文章も個性的で、各ワインに「芸能人でたとえると…」という欄がある。私のはじめの1杯はフランスのエマ・ワトソン。

ずっと行きたかったお店に来れて、財布の紐も緩み、パーッと遠慮なく頼んでいった。

彼がおかわり自由に歓喜して3回ほどおかわりしたサラダと、
牛肉のたたき。
揚げパンの生ハムのせ
彼が1個食べた
お寿司
明太チーズとニッキのグラタン
フォンダンショコラとホットコーヒー
彼はお腹いっぱいだというので、ほとんど私が食べた。


酔うと彼はいつも顔を真っ赤にして、デレデレしている。

いつも外でチューして!と言っても絶対にしてくれないのに、酔うとこちらから頼まなくても自分からしてくる。お酒に弱いので、私よりも酔うのが早くて、かわいい。テンションが上がって、かわいこぶってコダックの真似をしたり、いないいないばあ、みたいなことをしていたりする。



翌朝、起きると「生まれて初めてこんなモチモチのベーグル食べた!」とLINEが来ていた。

どうやら今年のバレンタインデーは成功だったようだ。



心はとっくに信じていた

彼と喧嘩していても絶対に言わないと決めている言葉は「嫌い(冷めた)」と「別れよう」。

それ以外は何を言ってもいい、とかではもちろんない。この2つは謝ったとしても取り消せないくらいの重い言葉なはずなのに、喧嘩するたびに簡単に口から出てしまいそうな言葉でもあるから、勢いに任せて言うことはしないと心の堅く決めている。


先月、久しぶりに彼と喧嘩して、疲れて何もかも嫌になって、言わないと決めている言葉を言いそうになった。それでも私は言わなかった。

彼はというと、これまでなら「別れよう」と言ってきてもおかしくなかったけれど、彼はその言葉を口にすることなく、喧嘩の原因になったことについて「ごめんね」と謝ってくれた。おかげで少し冷静になれ、言いすぎたなと思い直すことができて、次の日の朝起きてすぐに電話して「ごめんね」と伝えた。彼は「いいよ。俺もごめんね。」と返してくれた。



内心「は?」と思うことがあっても、友達に対してだと結局嫌われることを恐れてしまって伝えることを諦めてしまう。

そんな私が唯一、全力で拗ねたり怒ったりできる相手が彼だ。

縁を切ったり切られたりすること、そんなことが起きてしまう人間関係を持っていることに疲れて、誰かから大切にされることを諦めていた。だけど、彼から大切にされることだけは諦めずにいられる。

それは、なにもせずとも大切にされるのが当たり前!とつけあがっているとかではなく、自分がなにを嬉しいと感じて、なにに傷つき、悲しさを覚えるのかを伝えたら、それをもとに次から彼が言葉や行動を改めてくれると信じているからだ。



人間って結局なにを、だれを信じるかだよな、とこの頃よく思う。

仲が良かった友人と縁が切れて「裏切られた」と思ったときに、同時に思うことはいつも「自分が知らなかったその子の一面を見ただけかもしれないのに"裏切られた" と思うってことは、それって私にとってあの子がそこまで大切じゃなかった、信じていなかったってことだよな」ということ。そんなとき、どこかで感じていた違和感を、がんばって無視してきていたんだな、ということに気付かされる。


なのに、彼に対しては常に真逆だった。

私と付き合う前の、彼のモテ具合とか、私への物理的距離の近さとかを知っているからこそ、無意識に女を惚れさせるかもしれないと思う。だからこそ、浮気に関しては「浮気しちゃやだ」「(彼)を信じてないんじゃないの、相手の女を信じてないの!」と時折釘を刺してきた。

だけど、彼が浮気をする可能性は考えたことがなかった。疑っているような言葉を吐きながら「この人は絶対浮気をするような人じゃない」と信じていたし、結婚願望がないとか、子どもは別に好きじゃないとかと言ったとしても「うわー、この人まったく自分のことわかっとらんやん」と、どうせ後々結婚したくなるだろうし、子ども欲しくなるだろう、と思っていた。実際、彼は最近、私との結婚を前提とした話をするし、その際には子どもが生まれることを前提とした人生設計の話をする。ここまで5年かかったけれど、不思議なくらいに、私の心は はじめから彼を信じていた。



やっぱり愛にも盲目さは必要

友人が2〜3年付き合った彼氏と別れた。

浮気したとかされたとかではなく、お互いがお互いの存在に慣れて、「このままなにも良い影響も悪い影響も与え合うことなく過ごしていくのかな」と思うと、飽きてしまったらしい。

お互いがお互いのことを人として好きで、友達としての関係は今でも続いているという。

そんな彼女から「5年も一緒にいて、飽きひんの?別れよとか、他の人と付き合ってみたいとか、考えたことないん?」と聞かれたときの私の答えはこうだった。

*****

飽きないなあ。
私と彼、全然似てないし、彼はミーハーでいろんなものに影響受けやすくて好きなものも考え方もコロコロ変わるから、5年目の今でも今更知る好きなものとかも、全然あるしね。

他の人と…っていうのは、私がこれまで人間関係で苦労してきたから、恋愛くらい心乱されずに穏やかにいたいっていうのもあるのかもしれないけど、いろんな人と付き合うことよりも1人の人と長くずっと一緒にいて安心できる関係を築くことの方に価値を感じるから、今のままでいい。むしろ、今のままがいいと思ってる。

あとは私たちの場合、いつもちょうど慣れがくるタイミングで物理的な距離が離れてきてるから、余計飽きずに済むのかもしれない。

高校も生徒会でたまたま一度、係が一緒になっただけで、元は所属先の委員会も違うし、クラスは普通科と特進科でコース自体違うから一緒になることなくて。家の方向も逆で付き合いはじめた時期が受験期だったから付き合ってからも毎日登下校で坂道歩く合計20分くらいしか一緒にいられなかったんよね。

今も大学別々で、私の家から彼氏の家まで片道1時間半かかるから週1で会うくらいがちょうどよくて、この4年間会う頻度は基本的に週1だったし、週1に慣れてきた頃に次は東京と京都で遠距離で2週に1度になる。寂しいけど、飽きが来ないタイミングで刺激があるから続いてるのかもな、とは少し思う。

でも結局、いちばんは「この人じゃないと」っていう盲目さが大事な気がする。「彼じゃなきゃ嫌」って思ってるからこそできた関係維持の努力が結構あるんだよね。


*****



未来地図

東京に就職する私と、京都で院進する彼は4月から遠距離恋愛になる。

だけど、2年後に彼は東京で就職して私と同棲できるように、そして企業から交通費を払ってもらって少しでも多く東京に来れるように、今年1年、就活を頑張るんだと言ってくれている。

加えて、就活だけを頼りにせず2週に1度は私に会えるように、はじめて本格的にお金を稼ごうと起業した先輩の会社で彼はインターンをはじめた。



バレンタインの日、フレンチバルでデザートを食べながら、彼は「この週は東京行く。」、「お盆は(私の名前)がこっちに帰ってくるなら、俺が行くんじゃなくて(私の名前)がこっちきたらいいね」などと言って、楽しそうにTimeTreeに【東京】【京都】と予定を加えていた。

それと同時に「この月は、3連休2回あるんだけど、連休に合わせてると会うの3週間空くんだけど、どうしよう?」と迷ったり、「えー、ここ3週間空くじゃん…やだ」とむくれたりする彼を見ていると、今の私たちなら遠距離になっても大丈夫だ、と思う。


来月は一緒にザルツブルグとハルシュタット、そしてウィーンに行く。ほんとうはプラハにも行きたくてザルツブルグと迷ったけれど、「プラハはターキッシュとかエールフランス(飛行機)で行けるのあるよ」と彼が調べてくれたから、潔くまた次回に回すことができた。


こうみると、ヨーロッパってやっぱり行きたいところ多いね。ここから2年は行けないって思ってたけど、それじゃあ死ぬまでに行きたいところ全部行けないわ、と言う彼に、

次は(彼)の卒業祝いに海外で、そのときにはアメリカに行こう、と私が提案し、約束をした。

そのあとも、
俺が社会人になって子ども産むまでにアメリカとかヨーロッパ系は行っちゃって、27くらいから子ども考えて、子ども生まれてからは俺がずっと行きたいって言ってる近場の東南アジアのリゾート系行こう、と彼が言い

結婚式は前、一緒に散歩してるときに見つけた日本の式場でやるけど、ウェディングフォトは絶対パリがいいの、新婚旅行はヨーロッパがいいの、と私が付け加えた。


未来の約束が、増えていく。

未来地図が、広がっていく。


この先もずっと一緒にいる想定で私たちが一緒にいる限り、この遠距離の2年はふたりの人生のうちのごく一部でしかないだな、と思う。きっと、この2年はあとから振り返ったときに「あんな時代もあったね」と笑い合える時間になるはずだ。

一緒に生きた先で「あのとき遠距離じゃなかったら、距離が近すぎてダレて別れていたかもしれないね」なんて笑い合える未来でありたい。


永遠はないということは、誰よりもよく知っている。だから、いつか別れるかもしれないという可能性は、常に頭の中にある。だけど、それは「億が一」くらいの可能性であってほしい。だからこそ彼を大切にできる。そんな彼との永遠を信じてみたくなる。


今のあなたと私なら、大丈夫だね。










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