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コーヒーを奏でる

カフェイン。
何なんだろうその響き。
エナジードリンクで大量に摂取したり、デカフェで限りなく微量に抑えたりする物質。
極端に存在しているその響き。

でもカフェインといえば、やっぱりコーヒーだ。
本当は緑茶や紅茶やウーロン茶にも多く含まれているけれど、何と言ってもコーヒー。

私は毎日コーヒーを飲む。
本当はカフェインに弱くて、摂りすぎたり摂る時間帯を間違えたりすると眠れなくなったりするくせに、毎日飲む。
身体のために一日一杯と気をつけているけれど、欠かさず飲む。

私が飲むのはカルディのリッチブレンドが中心。
とにかく苦くて酸味がないのが好みなのでこれに行き着いた。
深煎りで、強烈に濃い。
それを、起きたと同時にコーヒーメーカーに入れる。
コーヒーメーカーはたまにボコボコと物凄い音をさせながら、ガラス瓶にコーヒーを滴らす。

夏はもう日が出ていて、夜はまだ真っ暗。
そんな、朝6時前後。
特に何をするでもなく電気も付けずに、ただただコーヒーに対峙する。

苦い。
毎朝そう思う。
几帳面に水もコーヒーの粉も量を測って入れるから、味が変わる事は滅多にない。
私好みの、癖がなくただ強烈な苦味がダイレクトに口の中に入ってくる。

平和だと思う。
テレビもつけないから、外界の情報が分からない。
世界には私とコーヒーの二つだけ。

惚けているようで、真剣に向き合っている。
ぬかるんでるくせに、嚥下に集中している。

まるで同棲しているみたいだ。

中心をはらんでいるくせに知らないふりをしているところ。
同じ空間にいるくせに互いに違うことをしているところ。

離れない、と思う。
この儀式から離れない。

ルーティーン。
それを言えばそれまでだけど、コーヒーには甘やかさがある。
売り場にある数多な粉から選び取ったのだもの、その関係はガレットクッキーのように甘いに決まっている。
甘くて、私の身体にゆるやかにまとわりつく。

もう少しで粉が切れそう。
また同じのを買う。
私の何もかもを知っている、リッチブレンドを。

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