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月星真夜(つきぼしまよ)
2024年4月27日 06:26
その日、ウサギとカメはロードバイクに乗って名栗湖周辺を疾走していた。カメは前を走りながら、時折振り返ってウサギの様子を確認した。彼女は遅れることなく、しっかりとカメの後ろをついてきていた。風の抵抗を少なくするために、二人は20センチの間隔を保ちながら、先頭を交代しながら走っていた。「近藤史恵さんの『サクリファイス』を読んでいたら、久しぶりにロードバイクに乗りたくなったの」と、誘ったのはウサギだ
2024年4月24日 06:44
今朝は雨が降っている。ウサギは部屋の窓辺に座り、じっと雨の音に耳を傾けていた。彼女の目の前で窓ガラスを伝う水滴は、それぞれが小さな旅をしているかのようにゆっくりと動いていく。窓から見えるいつもの景色は、雨の日は少し特別に見える。彼女は、そんな雨の日が好きだった。ウサギはふと思い出したように、本棚から一冊の本を取り出した。「雨の日に読むなら、この本だね」と彼女は呟いた。その本の表紙には、一輪の赤
2024年4月21日 06:36
その日、ウサギは足元に視線を落としながらカフェに辿り着いた。ひとつ小さく息を吐くと、何かを吹っ切るようにドアを開けた。店の奥で本に視線を送っているカメの姿を見つけると、彼女は少しだけ笑みを浮かべた。カメの前に座ったウサギは、しばらくの間、ページをめくるカメの指を見ていた。やがて「優しい気持ちになれる絵本が読みたいわ」と独り言のように呟いた。彼はゆっくりと視線を上げると、ウサギの瞳を見つめた。
2024年4月19日 06:12
映画館のシアター7のスクリーンで「ゴーストバスターズ/フローズン・サマー」のエンドロールが終わり、ゆっくりと出口に向かっていたウサギがぽつりと言った。「最後に流れた『新しい学校のリーダーズ』のMV、すごく斬新だったと思わない?」映画館を背にして、夜の空気を感じながら、ウサギは隣を歩くカメに話を続けた。「未知の存在と冷静に向き合うのは、私には難しいと感じたわ。だからかしら、15歳のゴーストバスタ