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月星真夜(つきぼしまよ)
2024年7月17日 06:33
ウサギは図書館の窓辺で中庭をぼんやりと眺めていた。「もう七月も半ばなのに、毎日雨ばかりね」と、ため息混じりに呟いた。「早く満開の向日葵に囲まれて、ぱあっと花咲く花火を見上げたいな」と、目を閉じて夏の景色を思い浮かべた。「任せておいて。分類番号575.98の書架から花火の本を探してくるから」 目を開けると、カメが笑顔で隣に立っていた。その日の午後、しとしと小雨が降る中、二人は「HANA・
2024年7月5日 06:20
その日、ウサギとカメはそごう美術館の「KAGAYA 天空の贈り物展」を訪れていた。星空の写真に囲まれ、その幻想的な世界に引き込まれた二人は、瞬きさえも忘れ、その美しさに心を奪われていた。作品の中では四季の星座が優雅に瞬き、またある時は、空に浮かぶ月が日本の風景に穏やかに溶け込んでいた。その光景は、どこか夢のような神秘を帯び、まるで物語の一幕のようだった。「これは北海道のハルニレの木なのね。