佐野豊

詩集『夢にも思わなかった』(七月堂)第55回横浜詩人会賞/第10回びーぐるの新人/詩誌…

佐野豊

詩集『夢にも思わなかった』(七月堂)第55回横浜詩人会賞/第10回びーぐるの新人/詩誌「極微」https://shishi-kyokubi.jimdofree.com//『花椿』2021年春夏号(No. 828)花椿文庫『風』(小詩集)/古本 。詩。

記事一覧

詩の書き写し

ルールを決めて 詩の書き写しをする すきな詩(ただし25行以内の改行詩) 詩の書き写しは リラックスやリフレッシュにもいい ノートブックにすきな詩がたまっていけば じぶん…

佐野豊
9日前
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【詩】思いの丈

いつのまにか こんなふうに椅子に凭れて 束の間を 好むひとになった きょう携えた本は 冊子のような薄いもの 昔あった 古本屋の店主についての 思い出集 …

佐野豊
2か月前
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【詩】スワン

ただのボートよりスワンのほうがいいな 自転車たくさん漕いでここまできて 今度はスワンを きみと漕いで すでに足が笑っている もう少しで夕暮れの 休日のひとこ…

佐野豊
2か月前
13

【詩】水を得た魚

駆け出してしまいそうな そんな気持ちで 古本屋巡りをする まず手にした あぷれ二十四孝 河盛好蔵の 古い本 どんな性格のものかを あとがきが知らせる 親と 子の 関係を…

佐野豊
2か月前
12

【詩】ごほん

あなたは 絵本にこびりついた カリカリです 暗がりで 映写機がつたえる ほこりです わたしを 咽込ませますが 平気です お菓子の家へいきますか それと…

佐野豊
2か月前
7

【詩】キリン

とりわけ キリンは面白味が感じられて 一番長く見ていた 動物園へ きみと行った日 見て回ったことより 休憩所でのビール 動物はみんな 寝て食べて鳴いていた…

佐野豊
2か月前

詩集『夢にも思わなかった』

詩集『夢にも思わなかった』(七月堂) 四六判・仮フランス装・帯、栞付き 栞文 松下育男 装画 秋山 花 1500円+税 発行 2023年 5月26日 七月堂様と栞文を寄せて下さ…

佐野豊
8か月前
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花椿文庫『風』

『花椿』2021年春夏号(No. 828) ●別冊「花椿文庫」第3回 あなたが選ぶ今月の詩『風』小詩集(全10篇) 佐野豊 挿絵を書いて頂いた秋山花さん、コメントを頂いた高橋源…

佐野豊
3年前
4

極微vol.1~vol.8

佐野豊、小田原慎治、篠田翔平、森田直による詩の同人誌。

佐野豊
3年前
3
詩の書き写し

詩の書き写し

ルールを決めて
詩の書き写しをする
すきな詩(ただし25行以内の改行詩)
詩の書き写しは
リラックスやリフレッシュにもいい
ノートブックにすきな詩がたまっていけば
じぶんだけのアンソロジーが出来上がる
いまはデジタルコレクションでも
すきな詩を探せる
詩に触れることは癒しにつながる
楽しい夜

【詩】思いの丈

【詩】思いの丈

いつのまにか

こんなふうに椅子に凭れて

束の間を

好むひとになった



きょう携えた本は

冊子のような薄いもの



昔あった

古本屋の店主についての

思い出集



関係はないのに

関心があるだけで

こんなにも思っていられる



ひととなりが

じんわりとつたわり

いいなあと声が出る



どんな巡り合わせで

こんなふうに椅子に凭れて

気がつけばこうしているん

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【詩】スワン

【詩】スワン

ただのボートよりスワンのほうがいいな

自転車たくさん漕いでここまできて

今度はスワンを きみと漕いで

すでに足が笑っている



もう少しで夕暮れの

休日のひとこま

きみと僕と

鴨もいて



取り柄のない僕たちが

ここでこうして戯れて

やっと息継ぎ出来ること

あるな



あっちのほうまで行ってみようか

もっと

遠くのあっち?

いいね



スワンを選んだ僕たちは

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 【詩】水を得た魚

【詩】水を得た魚

駆け出してしまいそうな
そんな気持ちで
古本屋巡りをする

まず手にした
あぷれ二十四孝
河盛好蔵の
古い本

どんな性格のものかを
あとがきが知らせる

親と
子の
関係を明るいものにする
その つきあい方についての本

いまの自分に
タイムリーな一冊

父親が生まれた頃の本を
親になった自分が
むさぼるように
読んでいる

この時間が自分を
水を得た魚にしてくれる

幸先が
いいなあ
巡って

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【詩】ごほん

【詩】ごほん

あなたは

絵本にこびりついた

カリカリです



暗がりで

映写機がつたえる

ほこりです



わたしを

咽込ませますが

平気です



お菓子の家へいきますか

それともブレーメンでしょうか



塵のあなたが

ノミなあなたが

わたしの粘膜にはりつく



そういう

おはなしの棚に

ならんでいます



そのごほんに群がる

ちいさなちいさな虫が

あなたです

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【詩】キリン

【詩】キリン

とりわけ

キリンは面白味が感じられて

一番長く見ていた



動物園へ きみと行った日

見て回ったことより

休憩所でのビール



動物はみんな

寝て食べて鳴いていたけど

僕は酔っていた



ポワンとした頭で

きみと

一番惹かれたキリンを思う



存在がユニークなのは

おんなじだとしても

あの動きは真似出来ない



優雅なのか

落ち着かないのか

釈然としない

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詩集『夢にも思わなかった』

詩集『夢にも思わなかった』

詩集『夢にも思わなかった』(七月堂)

四六判・仮フランス装・帯、栞付き

栞文 松下育男
装画 秋山 花

1500円+税
発行 2023年 5月26日

七月堂様と栞文を寄せて下さった松下さん、装画を担当して下さった秋山さんのお力添えにより素敵な一冊を作ることが出来ました!全22編。

暖のとりかた
朝 アパートを出たら
こえのほし
だらんと妻が


いっこのリンゴ
てなぐさみの詩
つく

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花椿文庫『風』

花椿文庫『風』

『花椿』2021年春夏号(No. 828)

●別冊「花椿文庫」第3回 あなたが選ぶ今月の詩『風』小詩集(全10篇) 佐野豊

挿絵を書いて頂いた秋山花さん、コメントを頂いた高橋源一郎さん、文月悠光さんのお力添えにより、とても素敵な一冊が出来上がりました!

手にしてお読み頂けたら嬉しく思います。