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何故、賃金は上がらないのか

「「日経平均は絶好調」でも生活が苦しい…「物価上昇を上回る賃上げ」ができない日本人を襲う"厳しいシナリオ"」
(President/磯山友幸)


 引用した記事の最後で、賃金が上がらない理由の一端として以下の様な事由が提示されている。

 日本の物価上昇が輸入原材料やエネルギー代に消えてしまい、企業や個人事業主の儲けにつながり、それが給与の形で還元される「好循環」になっていないことだ。

出典:引用した記事より

 まぁ、間違ってはいないと言うか、これも理由の一つではある。だが、あくまで枝葉に過ぎないという事を理解しなければならない。
 では、最大にして根源的な理由は何か。
 それは、政府の介入である。
 本投稿では3つほど例に挙げ、これが如何に有害なものであるかを解説する。


例1.気候変動

 「人為的に排出されたCO2により、地球全体が温暖化している」「それにより、生物にとって重大な気候変動が発生している」
 コレ等は頭のてっぺんから足の爪先まで、一切合切何の根拠も無い大嘘であるが、コレを正と見做す国は世界にごまんと存在する。
 日本もその内の一つである。

 脱炭素というお題目を押し付けられている所為で、企業は生産性を低下させての対応を強いられる。
 例えば「CO2排出量算定・報告・公表制度」であるが、削減する行為そのものが無駄(と言うか、寧ろ有害)であるにも関わらず、いちいちCO2排出量を計測し、集計し、報告書としてまとめ、提出しなければならない。
 計測機器も集計システムもデータを保管するクラウドサービスもタダでは無い。それ等の作業や保守管理に要する労働力もタダでは無い。全て企業の負担である。
 本来ならば社用車を追加で導入したいが、それを諦めてCO2排出量計測に必要な設備を導入する。もっと別の仕事を任せて収益に貢献させたいが、その収益を諦めて人員を割く。
 日本の企業は生産性が低いなどと言われるが、その理由はこういった事象の積み重ねである。

 だが、脱炭素関連による弊害は、単に無駄な仕事をさせられるだけに止まらない。
 例えば再生可能エネルギーであるが、この様な“使いモンにならんエネルギー“に、莫大な補助金や優遇策を投入する。補助金を維持するのも優遇策を策定し管理するのも、全部税金である。企業も個人も“使いモンにならんエネルギー”の為にカネを巻き上げられるという事である。
 更に、”使いモンにならんエネルギー“由来の電力に対する固定価格買取制度によって、電気料金そのものに余計な費用が加算される。
 滅茶苦茶である。


例2.解雇制限

 あるところに自分で自分を優秀だと思っている人が居るとする。その人はA社に正社員として所属し、実際に会社からの評価も高いが、給料は自分が希望している程高くないし上がらないという状況だったとする。そして、同業他社であるB社に移籍した方が、今よりも給料が上がる筈だと考えたとする。
 この場合、本当に給料が上がる事は殆ど無く、横ばいになる事も殆ど無く、大抵の場合は下がる。B社よりもA社の方が全体として高給だとしても、である。
 例え移籍した直近の3〜4年は上がったとしても、その先10年20年というスパンで考えれば、「A社に居続けた方が良かった」となる可能性は極めて高い。
 何故か。
 それは雇う側にとって、どれだけ自他共に評価が高くとも、「優秀だという“情報しかない”人」をいきなり高給で正社員として雇うのは、極めてハイリスクだからである。

 何せ、一度雇ったら不正でもやらかしてくれない限り、簡単にはクビに出来ない。もしも噂ほど出来る人物でなければどうするのか
 いや、噂ほどどころか、本人の自己評価が高いだけで、周りの噂はその人に気を使っただけのものであり、実際はてんで使えないヤツだったらどうなのか。
 その様な状況になっても雇用側は給料を払い続けねばならんのだから、慎重になるのは当然であり、必然的に低めの価格を提示するしかなくなるという事である。

 「試用期間」なる方法もあるが、一般には精々3〜6ヶ月が常識の範囲と認識されている。たったそれだけの短期間で何が分かるというのか。
 単純作業の要員として雇うならまだしも、一つの案件を責任持って抱えてくれる様な人材を期待する場合、本当に使えるかどうか明確になるのは数年単位の話になってくる。1年でも足りるかどうかというのに、たった数ヶ月ではどうにもならない。
 まして、労働基準法第21条にて以下の様に定められて“しまって”いる。
「解雇予告、解雇予告手当に関しては試みの使用期間中の労働者には適用しない。ただし、試用期間が14日を超えて引き続き使用されるに至った場合においては、この限りでない。」
 使えるかどうかの見極めに下手すりゃ年単位を欲している中で、たかだか14日などハナクソにもならない。

 雇用側の意思のみでクビに出来ないという事は、気軽に雇えないという事である。
 雇用側が気軽に雇えないという事は、被雇用側は簡単に雇って貰えないという事である。
 被雇用側が簡単に雇って貰えないという事は、軽々に今の会社を辞める訳にはいかないという事である。
 被雇用側が軽々に「辞める」という選択を採れないという事は、雇用側にしてみれば、「ちょっと安すぎるかも?」というレベルの賃金体系でも社員を繋ぎとめられるという事である。
 解雇制限の緩和は企業に利するなどという馬鹿げた意見が横行しているが、現実は真逆である。


例3.女性

 女性というのは妊娠して出産する可能性がある。
 この行為は人類を存続させる上で不可欠なので、仕事を優先してもらうという訳にはいかない。
 男性が外に出て働き、女性が家を守る。こういった役割分担が出来たのは当然である。
 この「当然」を破壊せんとする輩が横行し始めて久しく、今では“男性の育休”などという段階まで狂ってしまっている。
 少しでも異議を唱えようものなら、即座に「女性差別だ!」「そんな時代じゃねぇ!」とキレ散らかす。正に一億総キチガイである。
 一億総キチガイなのだから給料が上がらないのは当たり前だが、もうちょっと具体的に言うと、男女雇用機会均等法である。
 このキチガイ然とした悪法により、企業は生産性の向上を妨げられているという事である。

①女性は出産や育児で、仕事から長期間離れざるを得なくなる場合がある。
②女性は男性と相対的に比較して、身体能力で劣る。

 以上2点の理由から、労働者としての価値は男性の方が高い。
 キチガイと評した「男性の育休」であるが、育児は男性でも女性でも出来る。何なら、自らのお腹を痛めて産んだ我が子という認識がある分だけ、女性の方が向いているとさえ言える。
 さて、「産休で女性が長期間仕事から離れる→育休で男性が長期間仕事から離れる」という形だと、男性も女性も長期間仕事から離れる事になる。長期間仕事から離れてパフォーマンスを落とさない人はこの世に存在しないので、出産からの流れで育児まで女性に任せた方が効率的である。
 キチガイが「長期離脱しても非効率にならない様な仕組みを作るのが雇用側の義務!」などと騒ぐが、例えどの様な素晴らしいシステムを構築したとしても、それはパフォーマンスの低下を“ゼロに近付ける”事にしかならず、弊害を完全消去する事は出来ない。
 寧ろ、その様なシステム構築に態々人員を割いて取り組むのであるから、その分も弊害として乗っかってくる。
 キチガイは往々にして自分をキチガイと認識しないものであるが、これこそ一億総キチガイと言える由縁である。


 以上、3つの例を挙げたが、どれも全て枝葉に過ぎない。引用した記事が指摘する「物価上昇が輸入原材料やエネルギー代に消えてしまい」という部分と同じ次元の話である。
 気候変動や解雇規制や男女雇用機会均等法が一例なら、前述した内容はそれらの枝葉のたった一つに過ぎないという事である。
 この様な無数の弊害によって企業は生産性を低下させられ、故に給料が上がらない。
 その根源を辿れば、「政府による市場経済への過度な介入」というところへ行き着く。
 この様な理解を全ての日本人が共有しなければならない。


※補足①:社員のモチベーション

 「如何に社員のモチベーションを上げるか」
 この様な取り組みと言うか、遊びに拘泥させようとするプロパガンダが活発である。

 「如何に社員のモチベーションを上げるか」
 これで検索してみると、上記URLの様なバカ情報が大量に出てくるが、コレがプロパガンダである。
 本来企業が考えるべきは、「モチベーションをどの様に向上させるか」では無い。「モチベーションの高い人材を如何にして手に入れるか」が正しい。
 即ち、「モチベーションの低い人をクビにして、モチベーションの高い人を雇え」という事である。
 モチベーションが低いという理由でクビにされた人は、モチベーションを高く持たなければ雇ってもらえないという(本来なら当たり前の)事実に気が付く。
 モチベーション高さを買われて雇い入れてもらえた人は、自身の姿勢が正しく評価されたという事になる。
 良い事づくめである。
 矢張り、解雇制限は撤廃されなければならない。

※補足②:社員?

 ところで、考え無しに「社員」「社員」と言うが、前項の様な場合、今の日本で言うならば、「従業員」とすべきではないか? という事である。
 まぁ、社員だろうが従業員だろうが、企業が「どうやったらモチベーションを向上させられるのだろうか・・・」などと考えるのが変だという事実は、一切合切微塵も揺らぐ事は無いが。

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