涼音

ヨネダコウ先生の『囀る鳥は羽ばたかない』に心奪われています。こちらはふせったーに書いて…

涼音

ヨネダコウ先生の『囀る鳥は羽ばたかない』に心奪われています。こちらはふせったーに書いてきた感想の保管庫です。

最近の記事

囀る…感想29 58話感想

(以前ふせったーに上げた記事の再掲です) これまでの経験上、自分の最新話感想は、それがストーリー上重要な内容であればあるほど後日大きく覆されることが多いと分かっています。では書く意味などないかといえば、だからこそ残しておきたいといいますか……。 最初に読んだとき自分が感じたことというのはある意味自分そのものでもあり、人様にお見せするのは恥ずかしい面もありますが、もしかしたら共感して頂けたり、(自分でいうのもおこがましいですが)救われたと感じて頂けたりすることもたまにはあ

    • 囀る…感想28 再会後の百目鬼について

      (以前ふせったーに上げた記事の再掲です) 57話感想の補足といいますか…百目鬼があのように行動する理由について考えてみました。個人的妄想です 前回、百目鬼が今やろうとしていることは、矢代さんのトラウマの原因となった状況(つまりセックス)を敢えて再現し、それを苦痛を感じるものから安心して受容れられるものに変えていこうとする、一種の治療のようなものではないか……と書きました。ただしこのやり方は一歩間違えれば、さらに矢代さんの傷を深くしかねない危険性も孕んでいる、とも。 も

      • 囀る…感想27 57話感想

        (以前ふせったーに上げた記事の再掲です) 長いです。そしてかなり自由に書いています… 矢代さんのトラウマに関する記載があります 57話を読んで、一番ショックだったのはやはり、矢代さんのトラウマが変わらずその中にあること、そしてそれに基づいた、自分に向けられた愛情に対する忌避行動も変わっていなかった…ということでした。 思い返せば56話でショックを受けた「好きだよ…」の言葉とあの表情も、初読で抱いた直感的な印象はあながち的外れでもなかったのかもしれないと。 すなわち

        • 囀る…感想26-2 改めて56話感想

          (以前ふせったーに上げた記事の再掲です) 前回記事のつづきです。 55話、井波の暴露により、現在の矢代さんは井波や他の男達には反応しない、つまり自分を痛めつけるようなセックスは受容れられなくなっていることを百目鬼は知る。 しかし再会後、自分との行為ではいつもとても感じ、反応していた。ただ昔のように痛みを与えたり縛る行為は求めず、むしろ抵抗を示しているように見える。 もしかして矢代さんは変わったのか。そしてその上で、自分とは(痛くない普通の)セックスができるのか。

        囀る…感想29 58話感想

          囀る…感想26 百目鬼の四年間について

          (以前ふせったーに上げた記事の再掲です) 56話について考えるにあたり、あらためて今一度、過去を振り返ってみました あくまで個人の感想です そもそも百目鬼は矢代さんと離れてからの四年間、いったい何を考えて過ごしていたのか。 矢代さんとはどうするつもりだったのか。いずれ再会するつもりだったのか、どうなのか。 モノローグが一切明らかにされない中、これまで何度もこの問いについて考えてきましたが、自分が以前書いたものを今読み返すとやはり詰めが甘いというか、説得力に欠ける

          囀る…感想26 百目鬼の四年間について

          囀る…感想25-2 56話感想その2 デュエット

          (以前ふせったーに上げた記事の再掲です) さて、ストーリーやふたりの心情からはいったん離れ、純粋にただその姿を見たとき、ふたりの動きや姿勢、位置関係がなんて美しいのだろう……とただただ感嘆します。 詰め寄り、引き寄せ、抗うのをまた抱き寄せて。相手の脚と脚の間に自分の脚を差し入れ、腰を引きつけ、また抗おうとするのを相手の目を捉え迫り、最後には一体となる……。 その緊張感漂う攻防はまるでダンスのようで。 百目鬼が矢代さんの右脚を抱えキスするシーンはリフトの振付のように

          囀る…感想25-2 56話感想その2 デュエット

          囀る…感想25 56話感想

          (以前ふせったーに上げた記事の再掲です) 読了直後の情緒崩壊状態からなんとか起き上がり、砕け散った欠片をかき集めました…… 長いです そして矢代さんのトラウマに関する記載があります 56話読了直後、茫然とした私の頭の中では 海は死にますか…… 山は死にますか…… さ◯まさしの歌声が鳴り響き、しばらく思考停止に陥りました。数時間後、夜眠りにつく直前になってようやく再起動し……と、私の情緒の話などどうでもよいのですが。 衝撃でした。発売直前のFFさんとの会話

          囀る…感想25 56話感想

          囀る…感想24-2 55話感想(後編)主に百目鬼と矢代さんについて

          (以前ふせったーに上げた記事の再掲です)  さて、百目鬼です。  ついに、あの事実を知る時が来ました。  それを伝える大事な役割を担うのがあの井波ということに、予想はしていたけれど複雑な思いはありますが、とにかく百目鬼は知った。一安心です。  ある意味、神の目線から見ている我々読者からすれば、「どうして分からないのか……」ともどかしいことこの上ありませんでしたが、考えたら仕方ないですよね。密室での秘め事に関することなのですから……。当事者しか知り得ない事実。井波が

          囀る…感想24-2 55話感想(後編)主に百目鬼と矢代さんについて

          囀る…感想その24 55話感想(前編)

          (以前ふせったーに上げた記事の再掲です)  まずは井波。正直言って、矢代さんのネタを盾に百目鬼に対してもっとエグい要求を繰り出してくるのではないかと恐れていましたが、意外にもあっさり交渉は終わった印象でした(どれだけ先の展開に戦々恐々としてるの私……)。  意外だったのは、矢代さんに対する言動は赦し難いとはいえ(まあ最初のきっかけはともかくその後も継続したのは合意の上ではあるのですが)、百目鬼に対して矢代さんをネタに下衆いいたぶりを仕掛け楽しもうとして、逆に返り討ちに遭

          囀る…感想その24 55話感想(前編)

          囀る…感想その23 54話感想

          (以前ふせったーに上げた記事の再掲です) やや長くなってしまいました 個人的な感想の記録です まず最初に、ななタン格好よかった!! ちょうど発売二日前の9月27日がお誕生日だったこともあり、ななタンへの様々な礼賛が本編で回収されたようで余計に嬉しく感じました。もしかして先生からのお誕生日プレゼント…?なんて。 当然だけど、ななタンはただの小姑でもオカンでもなく、れっきとした矢代さんの用心棒だったのだと再認識しました(ななタン今までゴメン…)。 クールに言い放つ「腹

          囀る…感想その23 54話感想

          『囀る…』についての個人的妄想その8 サ○ン、もしくは堕天使について(つづき)

          (以前ふせったーに上げた記事の再掲です) 前回のつづきです。(注: 今回も妄想が炸裂しています) 前回「矢代さんを誘惑した罪は真の罪ではない」と書きました。 そう思う理由は、三角さんに追放された後もしばらくは百目鬼の「堕天使=サタン」としての外見が完成していないからです。 百目鬼の服装は、矢代さんのそばにいたときはずっと、白いワイシャツに(たぶん)グレーのスーツ、自宅アパートでは白いTシャツにデニムと、基本的に上半身「白」。 矢代さんに捨てられてからは白Tシャ

          『囀る…』についての個人的妄想その8 サ○ン、もしくは堕天使について(つづき)

          『囀る…』についての個人的妄想その7 サ○ンについて

          (以前ふせったーに上げた記事の再掲です) 前回、唐突に「悪魔(サタン)」を登場させ、あまり説明もなく一人で勝手に納得して終わってしまった感があることへの反省も込めて、もう少しだけお話しさせてください……。 まず、サタンについて。 前回、割と直感的に書いてしまったので、あらためて、調べてみました。 そもそも「サタン」という単語は、ヘブライ語(聖書に用いられた古代イスラエル言語)において「敵対者」「妨げる者」「誹謗する者」「訴える者」を意味する、とあり(Wikiped

          『囀る…』についての個人的妄想その7 サ○ンについて

          『囀る…』についての個人的妄想その6 百目鬼は何者なのか…について

          (以前ふせったーに上げた記事の再掲です) ちょっと、衝撃的な内容かもしれません。 閲覧注意。 さて、前回、百目鬼に当たる人物は聖書には登場しない、と書きました。でもFFさんに頂いたコメントを拝見して、まるで頭を殴られたような衝撃を受け、同時に目の前の霧が晴れたような気持ちになりました。 もしかしたら、これまで書いてきたことをひっくり返すことになってしまうかもしれないけれど。 百目鬼に当たる人物は、聖書の中に存在しました。 「神の子」である矢代さんの内面を変化

          『囀る…』についての個人的妄想その6 百目鬼は何者なのか…について

          『囀る…』についての個人的妄想その5 打破する者

          (以前ふせったーに上げた記事の再掲です) 8巻、矢代さんの妄想の中に出てくる林檎も、聖書のエピソードを彷彿とさせます。 楽園に住むアダムとイブに神が唯一食べることを禁じた善悪を知る木の実。 狡猾な蛇に唆されその実を食べた二人は永遠に楽園を追放される…。その禁断の実は林檎とされることが多い。 「どこかでわかっていた 知らなければ 失くすこともなかった」 ただし矢代さんの場合、知ってしまったのは「善悪」ではなく「真に愛されること(とそれによる幸せ)」でしょうか…。

          『囀る…』についての個人的妄想その5 打破する者

          『囀る…』についての個人的妄想その4 信仰に似た恋

          (以前ふせったーに上げた記事の再掲です) 『囀る…』は極道の世界が舞台なだけに、暴力や飛び交う怒号、あけすけな性行為、さらに妬みや嫉妬、悪意などの人の負の感情も赤裸々に描かれる。それなのに、ときに神々しいほど綺麗な構図の画が登場し、息を呑みます。 第1話最終ページの、膝枕で眠ってしまった矢代さんとその髪を優しく撫でながら朝日に目を細める百目鬼の画や、前回お話しした第8話、撃たれて重傷を負った矢代さんを抱き締める百目鬼というピエタを思わせる画。また第47話、井波に犯される

          『囀る…』についての個人的妄想その4 信仰に似た恋

          『囀る…』についての個人的妄想その3 極○という名の宗教

          (以前ふせったーに上げた記事の再掲です) 私が矢代さんにイエス・キリストを重ねてしまう理由は、貧しく汚い場所で生まれた者がこの世で最も清らかな神の子と運命づけられたこと、自分が望むと望まざるとにかかわらず、人の為にその身を捧げることの多い生き方、の他にもうひとつあります。 『囀る…』の物語中、極道の世界で同性愛者は異端として激しく排斥される。 一方イエスが生きたとされる時代、キリスト教もまた異端として迫害されていました。 けれどイエスは神の子として、神自身によって

          『囀る…』についての個人的妄想その3 極○という名の宗教