囀る…感想その23 54話感想

(以前ふせったーに上げた記事の再掲です)

やや長くなってしまいました
個人的な感想の記録です
まず最初に、ななタン格好よかった!!
ちょうど発売二日前の9月27日がお誕生日だったこともあり、ななタンへの様々な礼賛が本編で回収されたようで余計に嬉しく感じました。もしかして先生からのお誕生日プレゼント…?なんて。
当然だけど、ななタンはただの小姑でもオカンでもなく、れっきとした矢代さんの用心棒だったのだと再認識しました(ななタン今までゴメン…)。

クールに言い放つ「腹の出たお前に用ないんだけど」に、矢代さんにとっての七原の存在意義は、精神的な支えであるだけでなく、今も信頼に足る腕の立つ用心棒であること、なんだなぁ…と胸が熱くなるのでした。

それにしても、よく考えたら七原は矢代さんより六歳くらい若いんですよね…。ここ最近、歳をとることをやめてしまったどころか百目鬼と再会してからむしろ若返っていくようにみえる矢代さんを見ているので、ついそのことを忘れていました…。


そして矢代さん。
頭が切れて、度胸もある。そんなキレッキレで格好いい矢代さんが帰ってきました。
ここしばらく、自分の百目鬼への想いを自覚し「思い込み片想い」に懊悩するどこか危うげで初々しい矢代さんを見続けたせいか、前回百目鬼が去った後の展開を心配していましたが、そんな必要は全くなく、七原の活躍と合わせて久しぶりに胸のすく思いでした。
矢代さんの魅力はこの、深層に繊細さや苦しみ、葛藤を抱えながらも、表層には微塵もそれを見せることなく勘の鋭さや頭の回転の速さ、そして豪胆さを遺憾無く発揮して現実に起こる問題を乗りこなしていく、そういう相反する要素を兼ね備えているところなのだよなぁ…と感嘆しつつ、それはこんな卓越した資質を持った人間を三角さんがそう簡単には手放さないだろうな…とも思ってしまうのでした。


さて問題の井波です。
前回53話の感想で、私はちょっと井波に同情してしまっていました。百目鬼と電話で話す横顔に、矢代さんへの叶わぬ哀しい恋心を見てしまった気がしたから。だけど悪あがきせずにはいられない惨めさ、悔しさ。
けれどもその後、あまりにもセンチメンタルに過ぎるその感想を恥じ、さらにもしかしたらもっと深い企みがあって、百目鬼を嵌めにくるんじゃないかと心配になっていました。…が、井波はその上行くただのセンチメンタル野郎でした…?
大体、刑事のくせに自分の顔が映ったハ○撮り動画を撮るとか…本当に自分の欲望のためだけにやったんだなこの馬鹿はと。さらにクラウドにも保存などという自分の身の破滅をもたらしかねない行為に至っては、とち狂っているとしか思えません。
胸糞わるいことこの上ないですが、井波は横恋慕に目が眩んだただの下劣で愚かな乙女オヤジだった、ということで終了でいいでしょうか(まさかまだ何か企みがある…?)。


百目鬼は…やはり百目鬼でした。
井波に矢代さんとのハ○撮り動画を見せられ、どうするのかと思う間もなく脊髄反射で殴り倒し、スマホを踏み潰した(!)。
クラウドの何たるかを知ってるのか知らないのか分からないけれど、でももし知っていたとしても百目鬼は同じ行動をとっただろうと思う。
四年前とまったく変わらない、矢代さんのことになると冷静さを失う重戦車がそこにいました。
正直いって、脅してくる相手にそんなに必死さを見せてしまって大丈夫なのかと心配になるくらい、四年間で身につけたヤクザらしい余裕ある振舞いをかなぐり捨てた本来の真っ直ぐな百目鬼の姿が見えたような気がします。
井波が得意げに(本当に馬鹿だ…)口にした矢代さんの身体の真実を知り、その百目鬼はどう受け止め、どう反応するのか。一瞬にして固い殻が破れて昔のままの百目鬼が現れ、いてもたってもいられなくなって矢代さんのもとへ駆け付けるのでは…そうだといいな、というのが私の願望です。

あと、敵地の面前に矢代さんと七原のみを残して井波のもとへ向かったのは、今から思えば百目鬼の七原への信頼の表れだったのかなと思います。
元兄貴分の七原に対する取り繕わない態度(チキンを見るような目やスン顔)は、七原に気を許していることの表れでもあるのかな…とも。


興味深く思ったのは、再会以降ずっと、矢代さんは自分の百目鬼への想いと百目鬼の自分への言動に悶々とする恋愛モード、百目鬼の方は(内面はともかく)表面上は仕事モードで描かれてきたのが、今話では逆転した点です。矢代さんはお仕事モード、百目鬼は矢代さんを想う恋愛モードに。
百目鬼が矢代さんの身体の真実を知ったことも合わせ、これまでどこか百目鬼の方が優位(という言い方が適切かどうかは分かりませんが)にあるように見えた再会後の二人の関係性が、今後どんな風に変化していくのか楽しみです。

予想というか願望としては、封印しようとしていた矢代さんへの想いが溢れて止まらない百目鬼の身を挺した愛と、四年前とはちがってそれを受け入れることのできるようになった矢代さん、が見られるといいな…と思うのですけれども。


最後にママについてですが、まだ不明な点が多く、なんとも言えません。ただ、やはり百目鬼とは恋人関係にはないだろう、という気がしています。個人的な予想としては、高校時代の元カノが何らかの理由で本意ではなく水商売をしており、ケツモチのヤ○ザとして来店した百目鬼と偶然再会したとかかな…と。それならチカラ呼びもあり得ますし。ストーカー対策か何かで恋人のふりを頼んだ…でもママの方はまた本当に付き合えたらいいなと思っている…。
完全妄想ですけど。


全体的に、不穏なチラ見せに慄いた割には落ち着いて読めました。本誌リアタイ四回目にしてようやく分かってきたのは、チラ見せで甘々を予想すると大辛がきたり、またその逆だったり、ということです。チラ見せにあまり動揺し過ぎたり疑心暗鬼になったりしてはいけないなぁ…と反省しつつ、二か月後もきっとまた踊らされてしまうんだろうなと。でもそれもまた本望です。(毎回全力で踊らせて頂く所存です)

(2023/10/1)

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