鈴木ウタ

地元の信用金庫に入庫するも、新卒一年目で体調を崩し休職。すぐ退職。現在はこつこつ経理と…

鈴木ウタ

地元の信用金庫に入庫するも、新卒一年目で体調を崩し休職。すぐ退職。現在はこつこつ経理として働いてます。 休職中に小説を書こうと思い立ち、少しずつ文章を書いています。 双極性障害との付き合い方がすこしだけうまくなったと思います。日々、試行錯誤。

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恥ずかしいとか、自己満足とか、そんな悲しいこと言わないでよ。

「シンプルなルールを設けよう」 文章を書き始めたばかりのぼくですが、どうして文章を書くのかと問われれば、純粋に楽しいからと答えます。 僕がnoteを始めたわけは、何かを書きたかったというのはもちろんですが、それを誰かに読んでほしいという初期衝動みたいなものが生まれたからかもしれません。 小説を書いているのも同じです。最初は気軽な気持ちで始めましたが、次第に、自分の生み出したものを誰かに伝えたいと思うようになったのです。 けれど、自分が書いたものを誰かに読んでもらうこと

    • こうしなきゃ。

      最近のなんとなく苦しい感じは、自分の「こうしなきゃ」が強かったんだろうなと思う今日このごろです。 残業して家に帰ってきたら疲れ果てた感じで、気力が湧かなかった。アニメをダラダラと見て、気がついたら朝になっていた。 遅れ気味、サボリ気味の勉強をやろうという気持ちはあるんだけれど、夜は9時には寝落ち、朝は早くに起きられない。もともと早起きは得意だったのに。 それを2周間くらい続けていたなあ。 「こうしなきゃ」はすごく苦しい。閉塞感でいっぱいになる。きっと、その日の気分でやり

      • 短編『三人』

         自習室を出て廊下の窓から外を見ると、空は厚い雲で覆われており、しとしと雨が降り始めていた。今年は空梅雨だったから雨が降り出して少しほっとした。  薄暗い廊下を抜けて、私は昇降口へ向かった。階段を降りると下駄箱の土臭いにおいがした。二年B組の下駄箱に上履きを入れ、黒いローファーを取り出す。  昇降口を出ると、雨は思ったよりも激しかった。アスファルトは黒く艶やかで、柔らかく澄んだ雨のにおいが立ち上る。私は深く息を吸った。湿っぽい空気がゆっくりと肺に満たされていくと、熱っぽい頭が

        • ショートショート『演技』

           深呼吸してみる。  鼻腔をひんやりとした空気が通り抜ける。公園から覗くソメイヨシノは眩しいくらいなのに、朝はまだまだ肌寒い。柔らかい春の匂いと、車の排気ガス。  吸い込んだ空気で腹を膨らませて、一瞬息を止める。それからゆっくりと口から吐き出す。吐き出すにつれて心のざわめきが治まっていく。緊張が少しだけだけれど和らいだ。  わたしは小学校前の交差点でサキを待っていた。  なんども練習してきたのだ。  横断歩道の脇に立っている大きな電信柱に背中を預ける。背負っている赤いランドセ

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        恥ずかしいとか、自己満足とか、そんな悲しいこと言わないでよ。

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          2022年の目標など

          あけましておめでとうございます。 お久しぶりです。鈴木ウタです。 いやー、何か月ぶりにnote書いてるんだろう。思い出せないくらい何も書いてなかったな。 元日ということで、2022年の目標なんかを書いてみようと思います。やっぱり言葉にして残しておくのって大事ですよね。後々見返せますし。 今年の目標は、3つ上げておきたいと思います。 一、長編小説の執筆 一、バイトから正社員へ転職 一、体調の維持 まず、長編小説の執筆について。 2021年は中編一本と短編を何本

          2022年の目標など

          言葉が出ないとき、思っていること

          緊張で言葉が出てこない。だからこそ人に接する。 職場では常に緊張して、質問することもできない。だから一向に仕事ができるようにならない。常に迷惑をかけ続けている。 嫌われたくないという気持ち、周りの話し声、視線、意見を求められる状況に神経をすり減らしてしまう。頭の中がパンクしそうになることも多々ある。 私の前職は信用金庫の職員だが、全く向いていなかった。 接客、営業が全くできなかった。何かを言おうとしても、どもってうまく伝えられない。上司からは発破をかけられ続けたが、か

          言葉が出ないとき、思っていること

          さらけ出してない。僕って何がしたかったんだっけ

          双極性障害と診断されて一年半が過ぎた。 その間、何があったのだろうと考えていたら、焦りを感じた。 僕は普段、税理士事務所でアルバイトしている。 その理由は簡単だ。 信用金庫をやめた僕に声をかけてくれたのだ。所長が親戚だった。それだけの理由だ。 アルバイトは上手くいかなかった。事務所の人と話すことができなかった。周囲に溶け込むことができなかった。 そんな自分に嫌気がさす。誰にも話しかけることができない日々が続いた。そんな調子で仕事が覚えられるはずもない。 もう二十

          さらけ出してない。僕って何がしたかったんだっけ

          掌編『とける帰り道』

           水泳の地区大会を終えた優馬は帰り道を俯いて歩いていた。  彼の目には自分の足元しか見えてはいない。  大雨が降っていた。  黒い傘をさした彼の表情は、通り過ぎる人々にはうかがい知れない。  学校からの帰りだろう。ランドセルを背負った子供たちが、優馬のそばを通り過ぎる。からからと笑い声をあげて。傘もささずにバシャバシャと歩いていく子供たちには、怖いものなど何もないかのような高揚感に満ちていた。  優馬は舌打ちをしそうになった。が、歯をかみしめて耐えた。  優馬はさしていた傘を

          掌編『とける帰り道』

          短編『自転車』

          「はあ、なんで俺がこんなことしなきゃならねえんだ」 「兄ちゃん、ちっちゃいコロコロはずして?」 「ああ、分かった、分かった。ちょいかしてみ」  大悟は空太の自転車から補助輪を外すためにスパナを取り出した。 「いいか、片っぽだけだぞ」  空太はこくんと頷き、じっと大悟の動きを見ていた。  小さくて黄色い自転車の後輪には、補助輪が左右一つずつ取り付けられていた。  大悟は補助輪のナットをスパナで適当にぐるぐる回してはぎとった。左の補助輪が外れた自転車を空太の前に出してやる。  空

          短編『自転車』

          双極性障害と診断されてから1年経って気づいたこと

          双極性障害って知っていますか。 最近だとLittle Glee Monsterの芹奈さんが公表されていましたね。 「躁うつ病」とも言います。こちらの方が聞いたことがある方が多いでしょうか。 双極性障害はハイテンションでとても活動的な躁状態と、気分が落ち込み無気力な鬱状態を繰り返します。 気分の波は誰にでもある自然なことですが、その度合いが極端であることが双極性障害の特徴です。 僕は地元の信用金庫に就職してから一年と経たずに休職をして、そのまま退職しています。その時に

          双極性障害と診断されてから1年経って気づいたこと

          掌編『監視員』

          「なるほど、これは良いものですなあ」  社長は、見せられたロボットを見てうなった。 「そうでございましょう。御社のレジャー用屋内プールの監視員としてうってつけでございます」  セールスマンは自身満々に自社製品の人型ロボットを指さして言った。 「こちらのロボットは、遠隔操縦型でございます。監視員は操縦室から複数のロボットを操ることが可能です。御社の監視員は総勢十五名。ですが、弊社のロボットを導入していただければ、たったの一名で対応が可能となります」 「それは助かる。人件費は馬鹿

          掌編『監視員』

          掌編小説『無精髭』

           青年は、頭の中で粘液がうごめくような、ぬめりとした違和感に目を覚ました。昨夜からつけたままになっている照明は冷たく、瞼がしきりに痛んだ。  青年は、鉛のように重たい頭を強引に振りながら、胴体を起き上がらせる。ベッドから立ち上る獣じみた臭いが、カーテン、天井に染みついていた。力が入らない足で懸命に体を支える。さも暗闇の中にいるかのように一歩、一歩、足を引きずる。手は壁を求めてさまよい、左手で白い壁に触れる。  誰もいるはずがないキッチンへとやってくると、冷蔵庫に入れられたバナ

          掌編小説『無精髭』

          掌編小説『水色スイマー』

           ゴーグルを通してみる水底は肉眼で見るのと妙に遠近感が違う。  俺はクロールで五十メートルプールの中程まで息継ぎなしで泳ぐ。手足の先からピリピリと酸素が抜けていく。限界に達した時、水面から最小限の動作で息継ぎをする。一気に肺が膨らむ感覚がした。  五十メートルプールの端までたどり着くと、俺は勢いよくプールから上がった。吹きすさぶ風が、もう六月になるというのにどんどん体温を奪っていく。もちろん下半身に競泳用のタイトな水着を着ているだけで、上半身は裸だ。鳥肌になった上半身を両腕で

          掌編小説『水色スイマー』

          短編小説『月へ走る。』

           太陽はいつだってあらゆるものを照らし続けている。  四月の上旬とはいえ、日中は気温が上がる。サーキットトレーニングを繰り返すと体中から汗が噴き出た。ベリーショートの私の髪は汗でかなり濡れていた。南風が私の前髪を撫でる。男の子と大差ないくらい短い髪は、よくからかわれるけれど、私は結構気に入っている。 「それじゃ、種目ごとの練習に入って」  私は部員に向けて指示を出すと、一口水を飲んだ。  十人いる女子部員たちは、水を飲みながらその場にうずくまっていたり、長い髪のポニーテールを

          短編小説『月へ走る。』

          ショートショート『赤い箱と青いパンジー』

          「おはよう。栄太君」 僕は振り返り、みのりの顔を見た。にこやかだが、どこか影を感じさせる表情だった。色素の薄い肌、肩まで伸びた黒髪に、新品のセーラー服をきっちりと着こなした彼女は、同い年とは思えない程大人びて見えた。 校舎は年季が入っており、所々ヒビが入っている。少し薄暗く、人のいない静かな廊下に、彼女の小さな声はこだました。 「おはよう。みのりさん」 彼女の背後には、昇降口の花壇に植えてあるパンジーの花が、青く色鮮やかに咲いており、彼女越しにちらちらと目え隠れしてい

          ショートショート『赤い箱と青いパンジー』

          努力することが怖かった。

          「どんな時でも自分を守ることばかりだった」 息苦しかった高校~大学時代の自分にいま伝えたいこと。 臆病挑戦せず、努力することをやめてしまえば、失敗することは無い。 自分は大したこと無い人間だ、と気づいてしまうのを無意識に恐れて逃げてばかりいた。 本気でやらなければ言い訳できる。 そもそも、行動しなければ、自分にあると信じている才能に酔うことができる。 努力することは格好悪い。 結果が出ているあの人は、才能があるのだ。 ずっと、そうやって弱い自分を守ってきた。 けれ

          努力することが怖かった。