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生産性の罠に陥る僕たち

生産性を高めよう!という号令が社会で叫ばれてからも、号令とは関係なくテクノロジーの進化だけは淡々と進んでいる昨今。

生産性をテクノロジーで高めていけば、社会は便利で機能的になるという考えは正解か否かは判断が難しいものです。

ただ、社会が進化する一方で生産性を高めているつもりが、逆に生産性を落としている可能性があることにも注意を払う必要がありそうです。

1.Think Clearly

”生産性の罠”に注意しよう!

これが今回の論旨です。

最近、読んだ本の一節で頷く回数が多かった章があります。

こちらの本の『「反生産性」の視点で生活を検討し直す』という箇所です。

「反生産性」とは、「テクノロジーの多くは、一見それによって時間とお金を節約できているように見えても、実際にかかったコストを見たとたんに、その節約分など消えてしまう」ことを言います。(同書P.75_76引用)

同書の概略は複雑で先が見えない時代に、よりよい人生を送るための思考法を様々な切り口でまとめている内容です。

中でも、クリアにそしてシンプルに生きる知恵は、「思考を整理してシンプルにすることが価値を生む」と考えている僕には刺さってくるのです。

※この系統では、最新刊で以下の書籍も出ているので、合わせて読むといかに僕たちがノイズに振り回されているかを痛感します。

2.車は本当に生産性を上げている?

さて、ここでは1冊目にご紹介した「Think clearly」からある事例をご紹介しましょう。

例えば「車」といえば、速く目的地へ到達するための”生産性が高まる道具”として存在しています。しかし、本当に生産性は高いのか?と同書では問題提起してきます。

なぜなら、速くて便利であるものの、付随する時間があまりにも膨大につきまとうからです。

・車代を稼ぐための労働時間
・車の購入に検討や手続きをする時間
・車のメンテナンスにかける時間
・給油、洗車にかける時間
・渋滞でも我慢する時間 他

車は速くて便利な一方で、見落としている付属時間というものもあるわけですよね。

3.メールは本当に生産性を上げている?

Eメールも同様に日常生活で接している道具として半信半疑で付き合った方がよさそうです。

ほぼ無料でコミュニケーションのあり方や時間を拡張し、記録効果もあって超便利ですよね。

え?ちょっと待ったー!

一回、立ち止まって見つめ直してみましょうか。

・レスの優先順位をつける時間
・メールを書く文章を考える時間
・行き違いで何度もやり取りする時間
・CCメールも複数目を通す時間
・迷惑メールをフィルタリングする初期の手間
・広告メールを選別する時間 他

メールが良いかチャットが良いのかという議論も本質はあまり変わりません。

生産性を高める部分と、実は下げている部分を整理して捉えなおすことが時には必要でしょう。そうでなければ、なんとなく便利そうなテクノロジーが逆に生産性を下げてしまうからです。

もちろん、生産性を高めている部分は多々あるので否定はできません。あくまでもバランスの再配分という視点を持ちましょうという主旨です。

そのためには、「時間コスト」という意識が反生産性のチェックには重要です。

4.パワポは本当に生産性を上げているか?

プレゼンの際に用いるPowerPoint(パワポ)。

僕もパワポの奴隷になっているかもしれません。それくらいに便利だと思い込んで何も疑ってこなかったのです。生産性も高いはずだと。

でも、最近気づきました。

使っている時は、生産性の意識なんて実はなくて、パワポでキレイなビジュアルをつくる行為がただ好きというだけだったのです。

考えてみると、昔は、手書きのメモやフィルムをOHPで壁に投稿しているだけでした。

資料を作る作業スピードは速いし、手書きメモも入れたりして、強調ポイントも表現しやすかったです。

ところがパワポが登場してからはどうでしょうか?

パワポの作りこみをキレイにすることが目的化してしまって、生産性の概念がすっとんでしまう光景をよく目にします。

・操作方法を覚える時間
・フォントを検討する時間
・フォントサイズに悩む時間
・色使いに迷う時間
・配置を吟味する時間
・アニメーションに凝る時間
・重いファイルを開く時間
・手直しをする時間 他

またもや付属する浪費時間が多そうです。

プレゼンで強調しているつもりが、整然としているだけで大して効果を発揮していないし、準備に時間がかかりすぎているだけ!という現象に陥っていないでしょうか?

パワポが職業道具になってしまっている自分としては、常にこのジレンマとの闘いです。(泣)

5.写メは本当に生産性を上げているか?

同書でも紹介されていますが、デジカメや写メがはじめて世の中に登場してきたとき、称賛の声をもって迎えられたかと思います。

デジカメであれば、フィルムを買わなくていい、現像にいかなくてもいい、家庭用プリンタで印刷ができる、撮り直しが何度でもできるなど便利ですからね。

でもよく考えてみると、その分・・・

・プリンタ、インク準備の時間
・写真用の紙の準備時間
・SDカードの準備時間
・データ削除の取捨選択の時間
・データを探す時間
・データを整理する時間 他

こちらも付属時間が多そうです。

これは写メが登場してからも本質的には同じですね。

・高画質なカメラ付きスマホの購入時間
・クラウド保存の初期設定時間
・写真関連アプリのインストール時間
・アプリの設定時間
・アプリのアップデート待ち時間
・SNSへのアップ時間 他

やっぱり、付属時間が紐づいてきます。

便利さの裏側には、面倒くささと不便さも一定レベルでつきまとってくるのです。

6.大切なことは視点の切り替え

間違ってほしくないのは、これら付属時間が全部ムダである!と言いたいのではありません!

必要なこと、目的によっては必須で生産性が高まることも多々あるからです。

ただ、注意すべき点は、生産性が上がるはずのテクノロジーの進化の裏側には、必ず「時間コスト」が発生し「付属時間」が存在していることを忘れてはいけないことです。

いわば、時間をでみるのではなくで見てみると、トータルでは逆に非効率に陥っていないだろうか?

このように、視点を切り替えて定期的に自分の生活環境を整理していくことが何より大切です。

スピード化する社会の中で、ぼーっと生きていればすぐに歳を食います。すぐに社会の波に飲み込まれてしまいます。

自分らしい生活、自分なりの幸せを定義して守り抜くためにも、「テクロノロジー=生産性が高い」というバイアスをいったん外して、自分をシンプルにする習慣(視点の切り替えと定期的な振り返り)を心がけたいものです。

①バイアスを外すこと
②視点を切り替えること
③思考を整理すること
④生活をシンプルにすること
⑤自分らしさ、自分の幸せを追求すること

必要なテクノロジー以外を持たず、シンプルにしていくことが、この複雑で高速化する社会を生き抜く知恵ではないかと僕は感じています。

生産性を高めるためのテクノロジーは時にノイズにもなる。

何かの参考になれば幸いです。

著者・思考の整理家 鈴木 進介

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