テロルの華よ、夢よ
もうすぐ #芥川賞 の発表、当時の最年長受賞者であった #石川淳 夷斎先生は言いました。「酒宴の最中に受賞者を決めるのは悪習である。」当意即妙、後の審査員と成った夷斎先生の受賞者評は辛辣そのもので、その一端は氏の酒乱と酒乱での悪態が現れているだろう推測から安易に想像できます。酔っ払いの絡み合い、さあ今年の受賞者は一体どんな下らない酒宴の槍玉に上がるやら。…たぶん時代を経てアルコールの多量摂取の禁止と不毛極まりない『受賞者ナシ』の愚痴は解消されいると思うので、詳しく知っている方は詳細をコメントでどうぞ。後石川淳が泥酔してNHKラジオに出演している音源を持っている方、5千円を上限にお譲り頂きたい、昔のラジオ雑誌方式。
さて、氏は戦後、一定の期間を経て。要人をテロで排せようとする人物、人物群について書いた小説を度々書くようになります。芥川賞受賞者、戦後 #無頼派 の雄を終えた
の後氏の創作なので作品を知らない人も多いでしょうが。 #紫苑物語 は唯一、御存知の方も少々は…皇に勲章授かりに御目通り適って、しかも造られもしなかった映画の版権料 #新潮社 から貰ってんだから本人も御の字だわな。
…今回の件でまず思い浮かんだのが師が #ジョン・F・ケネディ 暗殺時新聞に寄せた文章です。「今日の世に事実を作る行為で、思想が見えない。」大きな事象にはより大きな事象をぶつけて過去を押し出す米国の、後の政治展開や、犯人すら割り出せねえのにやたら好評を取ったジャーナルの追求と権力との軋轢、それがさほど経たず弟と合わせで生きているだの死なせただのの陰謀説、ゴシップ合戦。…確かについに今日まで思想では無かったかですな。
筆者の推す、小説の作品でいうとまず『ゆう女始末』政治に恋をしたお手伝いさんは、露皇太子を政治的思索で知るものの所詮は女の嗜好やら狡猾、アイドルをキャーキャー追い掛けるブスの結末に辿る。しかし後のニコラス二世の苦難を重ねるに、淡々と「無敵の人」を語る口調にはやはり矛盾して、重厚な思想が上ってくるのでございます。
コラムで言えば間違いなく『文林通言』 #三島由紀夫 最近どうなの? から役所の屋上で思想を語っても… の4回分。最終回で「もう書かないよ新聞連載」の意図が読み取れます。ああ嫌だ、友達が狂う狂う、 #太宰治 の様に #坂口安吾 の様に。
そしてイチオシ、とりあえず今読んでみたら?という作品は、
『天馬賊』
全集ベースで読み進めてたから気が付かなかったが意外と発表年が古い。60年大の末。あさま山荘を待たずして、 #学生運動 に氏は辿り着く無思想性と要らぬ内紛、そして打倒すべき相手を見ていたようです。推薦するに極論、とかく短編とコラムに評価の集まる氏の作品にしては…長さがちょうどいいんです。老醜が暴かれ、捕吏(ほり)から人間の若さという生命エネルギーだけが何処かへと逃げ去っていく、爽快なラスト。
…在るべき孤独。一人とか、二人になる理由が見つけられない人は是非一読を。読めば権化の豚野郎の叫声が聴こえる、だろう?忍歯組の仲間達。
…しかし、一生のインチキ屋のトランプの実に渋とい事! 化粧と地肌で白けたバイデンの理屈に血を吹いてなお挑みます。きゃあ頼もしい、ニコラスを愛したゆうの様な女性の献身も買える事でしょう。「もう一度偉大さを。」尊大な発言に思想的な偉大さを語れる人間も今は弱気に応対するのみです。無敵の人、加えて無敵。思想の投げナイフの一投より、snsのスティンガーミサイルやドローン爆撃を信じる人。正に無敵、叶わぬ千年の夢の、敵。