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やめる勇気

人間は何かしらのコミュニティに所属して生活している。
会社、学校、バイト先、スポーツチーム、小さなレベルだと家族。

ではここで一つ質問。
そんなコミュニティを「辞めたい」と思ったことはないだろうか?

部活の練習がきついから辞めたい、バイト先の人間関係が良くないから辞めたい、会社がブラックすぎる…理由は様々だが多くの人が一度は考えることなのではないかと思う。

そんな中で自分の今までの人生を振り返ってみると、辛い、辞めたいと思うことは沢山あったがその組織を辞める決断はしてこなかった。
一度やる、頑張ると決めたら終わるまでやり続けていた。

しかしそんな自分が大学生になって"初めて"
「途中で組織を脱退する決断」を下した。

今回はその時の心情と今後自分がどのように生活していかなければいけないかについて書いていこうと思う。

①辞めた組織と経緯

まず。大前提として大学生になってせっかく親元を離れて生活するのだから、

「今まではできなかった新しい事にチャレンジしたい」

という思いがあった。また、自分はサッカーが好きで沢山ボールを蹴ってきたのでサッカーに関わる貴重な経験をしたいと思っていた。
そんな中思いついたのが、「体育会サッカー部のスタッフ」だった。

・新たな活動とその内容


自分が通う大学のサッカー部はプロ選手を何人も輩出している全国的にも強豪な部活だ。選手権でテレビの奥で活躍していた選手やJユース上がりの選手等タレントがうじゃうじゃいる。選手は一般では応募しておらず、全員が推薦の特待生。もちろん自分にはそんな実力も実績もないが、スタッフとして関われば成長できるいい機会なのではないか。そんな思いでコンタクトを取り、練習見学をさせていただいた。

スタッフといっても様々だ。マネージャーや将来的にATを目指すための実践を積む学生トレーナー等多岐にわたるが、自分が選んだのは「審判部」。

実は高校で部活動をしていた時の顧問がJリーグの審判試験の最後の関門まで行った方で、プロレフェリーにはなれなかったが現在も教師とサッカー指導、選手権都道府県大会決勝の審判等精力的に活動している方で教えてもらった経験があった。
また、審判自体に興味があったということもあり審判部としての入部が決まった。

審判部の主な活動は、

・紅白戦の審判(平日午前週1)
・TRM、Iリーグの審判(土日)
・大学サッカーリーグ公式戦の派遣審判(土日)
となる。

基本的に週2~3日で審判を行うというものだ。

はじめは自分の実力や経験が伴っていなかったり名前や性格を選手に知ってもらえていなかったので厳しい意見を頂くこともあったが、何とか1シーズンやりきることができた。

しかしそこで色々な考えが頭の中に舞い込んできた。
「本当にこのまま4年間過ごしていいのか?」
「サッカー部を優先しすぎて自分の本当にやりたい事が制限されているのでは?」
「この活動がストレスになっているのではないか?」
「大学生活の自分のテーマ、目標は"好きな事、興味のあることを全力で"」
「テーマ、目標が守られていないのでは?」


「サッカー部を、審判部を辞める決断をすべきなのか?」

・自分と向き合った二年生春学期の前半

実は自分は当時から、(今も)サッカー部の活動以外にも様々な活動に手を出していた。
審判だけではつまらない、高校生最後の大会がコロナで無くなりもう一度「プレイヤーとして本気でボールと向き合いたい」というプレイヤー的感情からリーグ戦に参加しているサークルで練習したり、「サッカーを教えたい!」と住んでいる地域のサッカーチームでコーチをしたり、「Jリーグのフロントスタッフはどれくらい大変なのだろう、社会人にはどのような能力が必要なのだろう」とJクラブのインターンに参加したり、「アルバイト以外で自分の力で稼ぐ経験をしてみたい」とブログを始めて8000円くらい稼いだり(今は費用対効果が小さいのでやめました)と両立して頑張っていた。
これは入学する際に決めたテーマ、目標に沿った考え方でもあった。

他にもサッカーを観に全国のスタジアムを回りたかったり、資格勉強や徹夜で飲んだり遊びまくる等のやりたいこと、興味のあることが沢山あった。

でも、サッカー部で審判として活動していると、
・土日は部活があるのでJリーグを見に行けない
・プレイヤーとしての公式戦にも参加できない
・インターンにも行けない
・コーチとして子供たちの試合で頑張る姿を見られない
・アルバイトしないと生活していけない
・体力を使うのでコンディショニングが必要(休息)
やりたいこととやるべきことのギャップが想像以上に大きかった。

一年生の時はコロナ禍で制限が多く部活動に専念できていたが、この時期で両立が難しい現状に立たされた。
そして色々考えるうちに時間に追われ、ストレスがたまり、紅白戦のある水曜日の前日から眠れなくて欠席してしまう機会が多かった。
チームの皆に迷惑をかけてしまった。信頼が少しずつ失われていく。

練習に行くのがつらい。
けどいざ参加すると監督、コーチ、選手、スタッフは皆いい人ばかり。
時にいじってくれたり、一緒にボールを蹴ったり、厳しい意見やジャッジについて勉強したいと声をかけてくれたり。同じ授業をとっていると試験の内容について話したプロに行った先輩や、同学年の友達。
楽しい。けど他にも頑張りたいことがある。たまにすごい行きたくない時だっている。どうしよう。

悩みに悩んで出した答えは、「退部」の二文字だった。

②辞めることは"悪"なのか?

辞めるということは組織に穴をあけることを意味する。すると誰かに負担がかかり、迷惑をかけてしまう。自分も一つの懸念材料として残った。

では辞めることは"悪"なのか?

個人的には、All or Nothing だと思っている。
0か100ではない。良し悪しつけられないということ。

それはどこにベクトルを向けるかで大きく変わってくるのではないかと思う。

・辞めることが"悪"な場合

これは自分以外のステークホルダーに焦点を置いたときに割合が高くなるのではないかと思う。
辞めることによる信頼の欠如、負担の増加があるからだ。

自分の事例では四年間やりきるという前提のもと活動させていただいたので辞めることは「約束を破る」ことと同義だ。約束を破ることは良くないことだし、さらに穴をあけると残った人たちに迷惑が掛かってしまう。

こういう観点で見ると、結果的に良い印象は無い。

・辞めることが"悪ではない"場合

反対に、自分に焦点を当てて考えると辞めることが悪ではない場合もある。
自分のケースだと、ストレスが減った、やりたいことに挑戦する時間が増えた、等が挙げられる。

このような考え方をすると辞めることが+に働くことが分かる。

周囲に気を遣うのか、自分に気を遣うのかによって意味合いが変わってくるのだ。

・根本的な考え方を変えてほしい

辞めた自分が言うのもどうかと思うし、説得力がないのも十分理解しているが上記の二点から辞めることに対するマイナスなイメージを取り払ってほしい。

最近は辞めること=悪のような風習が多すぎる。
確かに世の中には色々な人がいてあまり物事を考えずに辞める人もいるが、一方でしっかりと考えて自分にとって、周囲にとって最善の道を歩んでいる人もいる。

だからヒトをよく見てほしいし、見れるようになりたい。その人の人間性や性格、今までの行動など。
自分は脳筋なのでいわゆる「察する」ことが苦手だ。冗談で言ったことも本気で受け止めてしまうし、空気を読めない発言をしてしまう時もある。
ぼーっとしているときは何にも考えていないし思いのままに行動する時もある。
究極のマイペースだね。 と、友達に言われた。
温泉やドライブ中に深い話をすると友達は色々な事を考えて瞬時に読み取って言語化しているのにそれが全く伝わらない。「え、そんなこと言ってたっけ?いや、明らかにそうだよ!言葉では言ってないけど雰囲気で大体分かるやろ笑」という会話が度々起こる。

けど最近、色々な人に出会う機会が多くなったからこそ「このひとはなんとなくこんな感じの人なんだ、」と思うようになってきた。すると何が言いたいのか、裏では何が動いているのかなどがちょっぴり分かった気になる。
(本当に分かっているかはわからないが)
ヒトをよく見れるようになりたいな~。多分相当時間がかかるとは思うが…

話が脱線したが、つまりは辞めることはケースバイケースで良くも悪くもなるというのが自分の思い。

③辞めたその先にあるもの

自分がサッカー部を辞めた後、何が残ったのか。それは「成長できる楽しい時間」だった。

単純に時間が増えた。するとやりたいことに取り組める。サッカー観戦は今シーズン15試合以上行けたし、プレイヤーとしてのリーグ戦も練習も参加できるように。インターンやアルバイトで社会経験も積むことができているし、資格勉強をする時間もあり、飲み会や遊びもいける。

「成長できる楽しい時間」が抽出できたことにより、QOLが爆上がりした。
好きな事に取り組める、時に真剣に、時にはっちゃけたり。

そして何よりサッカー部での活動が無駄じゃなかったと感じるときがある。
それはボール一つで繋がれるということを実感したということ。
インターン先でお世話になったプロ選手と合って話ができたり、学校で「最近どう?」とコミュニケーションをとれる。審判部の同期にスタジアムで会う機会もあり、近況報告やたわいもない話で盛り上がれる。
審判の技術も向上できたので住んでいるサッカー協会の方と連携して時間があるときは小中高の試合の審判もできている。

この組織で関わることができ、成長できた。本当に良かった。そう感じた。

辞めた先には、新鮮な景色が広がっていた。

④自分の人生くらい自分で決めろ!

今後、自分も読んでくれている方もいつか辞めるか迷う機会に出くわすときがあるだろう。

そんな時に、「自分に焦点を当てて考えるべき」だと思う。
確かに周囲のことを考えるのもそれなりに迷惑がかかるので必要だ。
けど、自分の人生。

人生一度きり。
ストレスを抱えて生きるのは嫌いだ。
夢や目標に向かうための辛い試練なら頑張るべきだとは思うが、本当にそうかを考え直すこと。辞めることによる将来を想像する事。
そして決断したなら別の道で頑張ること。

このへんの考え方は賛否両論あると思うが、自分はサッカー部を、審判部を辞めて結果的に良かったと思っている。
そして、これからも好きな事、興味のあることをとことん追求していく。

「辞めて良かった」。
けど、何事も嫌になったらすぐに辞めるのではなく物事を吟味することと感謝だけは忘れてはならない。

感謝の心とよく考えることは忘れずに。
この先どのような生活を送ることができるのか、非常に楽しみだ。

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