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映画を観て考えたこと ONE PIECE film RED

ONE PIECE film REDを観てきました。ネタバレありで考えを書いていきます。


自分が思うONE PIECE像

まずは自分が思うONE PIECE像について、書きますかね。
ONE PIECEは海賊が暴れまわる世界で、過去に影のある少年が海賊の頂点である海賊王を目指すお話です。この少年は過去に何かあったということが、作品を読み進める中でどんどん分かっていきます。少年、主人公のモンキー・D・ルフィ、普段はからっとした、ひょうひょうとした人柄で、目の前に起こる事態を楽しく、面白がって見ています。ただ仲間の危機や彼の信条を侵される事態になると、一転して敵対する人間をばんばんやっつけます。作中でも触れられますが、家族や仲間を失うのが怖いのです。こんなに朗らかな少年でも、孤独がとても怖いように私には見えます。

作品は二部構成です。一部ではルフィが、ゾロ(剣士)、ナミ(航海士)、ウソップ(狙撃手)、サンジ(コック)、チョッパー(船医)、ロビン(考古学者)、フランキー(船大工)、ブルック(音楽家)を仲間にしました。まだ真の意味で仲間になっていないという見解もありますが、とりあえず紆余曲折しながらも仲間です。麦わらの一味はクルーが個々に目的や目標を持っていて、それを叶えるために便宜上海賊になっています。一見して個がかなり強く、一人でも大丈夫そうなメンバーですが、船長のルフィの人柄に惹かれています。ルフィが海賊王になったとき、みんなの夢も自動的に叶っている感じです。第一部では一味がルフィの強さに依存していましたが(強敵を前に仕方がなかったとも言えます)、途中で自分たちが彼の足手まといになっているんじゃないか、自分たちを守るためにルフィが無理をして悲劇を産むのではないかと気づき始めます。終盤で一味はバラバラにされ、ルフィは自力+美女+知っているおじさん+知らないおじさんとで、海軍に捕まった兄を救出しようとします。でも、兄はルフィをかばい亡くなります。麦わらの一味はバラバラになった各地でその事件を知り、自分たちもルフィの力になりたいと修行します。ルフィは仲間が辛い時に寄り添ったけど、ルフィが辛い時に寄り添うにはルフィと同じくらい力が必要だと気づいたわけです。ギバーとテイカーの関係性で言うなら、ルフィはメンバーにめちゃめちゃギバーだと思います。好きでやっているんですけどね。マイケル・ジャクソンや名だたる歌手、聖書でも愛は与えるものって言うもんね。対等な人間関係を築くために修行に励む、それで一部は終了。

二部では一部から二年後に、修行をして強くなった一味が再集結して、また冒険の旅に出ます。クルーは心身が鍛えられ、個人行動だけでなく、はっきり意志をもって、ルフィだけのギバーとして活動をします。ブルックの「私、ルフィさん以外の命令聞きたくない」とか、サンジがローに「ルフィが迷惑かけてすまん」って代わりに謝るとか、メンバーはルフィの破天荒な行動を愛らしく受け入れて、すごく甘やかしています。ルフィは少しテイカーになったのかな。「仲間を信じている」とか、この言葉を多用するようになりました。頑張って海賊王になってくれ。

ここまでが私の思うONE PIECEです。
ここからは映画の感想です。

現代のことを皮肉っている社会性のある映画だな、と思いました。

①他人の話はフーン程度でいいが、自分が話すときは責任を持ちましょう。また匿名性が高いとはいえ、インターネットでの発言にも気を付けましょう。



自分の何気ない一言で、他人の人生が変化したことありませんか。
私、自分が転職したとき、その話を友人たちにしました。そしたらタイミングだったのか、友人たちが転職先決まってないのに突然、仕事を辞めました。5人くらい。やばない?みんな、ぱりぴーやなの?
それ以降、自分のことについて話すときは、誤解のないように言葉を選んで話す、人を選んで話す、話してはいけない話題なので話さない、に分けてます。(本当か?)

それでも人間だから何かは起こるんだけど、気を付けてることが大切だと思う。

ウタのファンは、この世の憂さをウタに聞いてもらったり、ウタの歌でストレス発散をしたいと思っていますが、中庸といいますか、ほどほどでいいんですよね。
この世界は嫌だというけれど、実際に世界は壊さなくていいというか、彼ら的にちょっとむしゃくしゃしていただけで、話を聴いてくれたらそれでいいんですよ。音楽聞いて、癒されたらそれでいいんです。
それに、ウタもほどほどにしてくれると思っています。まさか、世界を破壊する、こんなことになるまいと錯覚している。ウタは自分たちを慰めてくれる天使だと思い込んでいる。
しかも、現実世界で言うインターネットでのやりとりだから具体性もないし、匿名性だし、話盛っている人もいるだろうし。
ウタのファン、結構、自分かわいそうアピールしてます。

でもさ、
苦しい、苦しいって毎日聞かされたら、
あなたのおかげで楽になったなんて言われたら、
正義感の強いやつなら力になろうと思うだろ。

ウタがやりすぎたと思って好き勝手言うやつ、無責任すぎんか?
一方で、自分はこういうつもりだったんだって言うやつ、遅すぎんか?
ワンピの世界もITリテラシーの教育が追い付いてないんか?

ウタはウタで、みんなの要望は、実は彼女の要望なのですが、みんなも真剣にそう思っていると、思い込んでいます。本当は自分が夢の世界に行きたいのですが、気づかないふりして、みんなのためと言う。
歌の力で人々を幸せにする、と実際に行動します。

しかしシャンクスたちのやりとりから、後半ボロがでます。

ウタはシャンクスに捨てられて、でも動画配信で勇気をもらった。
ウタは傷心を癒すように動画配信を続けた。

みんな私の歌で幸せになる。
みんなの幸せが私の幸せ。
人の欲望がウタの名声を大きくする。

でもね、
歌で人を救うはずが、歌で多くの人をすでに殺していたんですよ、ウタ。
彼女が何をしたところで、この大罪は消えない。
今更、動画配信を辞めることもできない。

じゃあ、別世界に行けばなかったことにできるんちゃうん?

みんなと自分の欲望に翻弄されたウタは、人間の欲望とかとシンクロしちゃう魔王を召喚し、飲み込まれます。

とんでもない鬱展開で私はおったまげです。
すごい社会派の作品じゃないか、これ。
私もちゃんとしよ。

②毒親


ゴードンはウタの育て方を間違えたと泣きます。
ウタはすごい才能があるのに外に出さなかったこと。
ウタのためにならないと分かっていたのに、世界の破滅を導く楽譜を保存してしまったこと。

おい、ゴードンよ。
できること、そこまでで何度かなんかあったろうに。もう色々、フィナーレじゃん。

結果として、ウタは残念なことになりましたが、ウタにも問題があると私は思います。
エレジアに居続けたのは彼女の意志です。
ゴードンを跳ね返すだけの力が、親を超える力が彼女には少し足りなくて。シャンクスに捨てられてすごくショックだったとは思うのだけれど。
周囲に相談できる人がいればとも考えますが、ウタの影が強すぎて、支えてくれる別の存在がいたとしても、すごい精神ゴリマッチョじゃないと難しい気もします。

幼いころにウタがトットムジカ召喚した時、大人の欲望に翻弄された結果、楽譜が彼女の近くに出現した。元々、人の欲望を寄せ付けやすい人柄だったようにも思います。承認欲求が強かったのかな。みんなに請われて歌を歌ってしまうところとか、特に。

パッパが失踪のウソップやパッパが虐待くそ野郎のサンジがゴードンを励ます気持ちは、どんな胸中だったんですかね。あのセリフもう一度聞きたい。「親がダメでも、俺たちは立派にやってる」そんな気持ちだったのかな。
「でも君たちには、父親代わりになる存在や仲間がいたじゃないか」感あるよな。

今、ある宗教団体の事件でテレビはいっぱいですよね。彼の母親は現実の辛さから宗教を強く信じ、家族をないがしろにします。でも彼は母親に愛されたかった。普通の家庭で育ちたかった。それが現実にならないことが心の負担となり、結果としてその負担が元首相に向かいました。でも本当は何をしても母親を変えられない、だから別の手の届く理想を目指して行動した方がよいと、分かっていたのではないかと推察します。案外、ウタも分かってたような気がします。

大人になる、というのは物理的にも、心理的にも、親元を決別し、自分の幸せを築くことではないでしょうか。

ウタの最後は二つ考えられる。
①シャンクスにこだわるウタは大人にはなれなかった。
②シャンクスに飲めと言われた解毒剤を断ることで、大人になった。

解毒剤を飲まなかった行動はウタの子どものままいたい気持ちとも取れるし、大人になるための初めての反抗期とも取れる。

ウソップやサンジは自分の幸せのために海(現実)に出れた。
「同じ毒親なのにウタと彼らとの違いは何ですか?」と問われたら、運も含めて人間性なのかなと思います。周囲の大人に、自身が自律するまで並走したいと思わせる力が薄いのか、相性が悪かったのか。ウソップもサンジも現実の楽しさを教わっていて(ヤソップのカッコよさを母から教わる。ゼフからオールブルー教わる。)、想像するだけでは飽きて、俺も俺も!海へ出よう!な感じはあるよね。ウタは現実の面白さを二人と比べると、知らない。

③Adoの歌がとてもいい!


映画なんですが、ライブ映像見ている感じで、すごい良かった。Adoの曲は全然聞いたことありませんでしたが、youtubeで改めて聞きました。これもこれで良いけれど、やっぱり映画がすごいよね。IMAXで観たらもっとすごかっただろうなぁ。Vaundyさん元々好きだったけど、彼の憂いの強い歌詞をAdoの野太い声で歌うと、より世界観に奥行きが出て感動しました。

④雑記


社会が抱える問題をONE PIECEで扱うと、こんな風になるのかと思いました。アニメが社会問題を取り上げることが近年多くなりましたが、その中でも秀逸です。ぜひ、劇場で見てください。

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