「ラッキー・アンラッキー」

 独特の機械音と何度も明滅する光。俺は今、パチンコ台と向き合っていた。

 雨の日にわざわざ、ここまで来たんだ。少しは良い思いをさせてほしいものだ。 

 タバコを咥えながら、台に向き合う。当たるまで何度も回す。

 玉がなくなるとまたピン札を入れて、またその繰り返し。俺の日頃の労力の証が弾となり、消えていく。   

「ああ、くそ」
 またしても当たらない。再度財布を開いたら、いくつか入っていた。しかし、これは生活費だ。出して良いものではない。

「帰るか」
 ため息をこぼして、店を出た。店を出ると雨が降っていた。傘を取ろうとした時、パチンコ台の近くにタバコを置き忘れているのに気がついた。

 タバコを取りに行こうと台の方に戻った時、男が座っていた。

 大当たりだった。俺の時とは考えられないくらい当たっていた。

 脳の奥が熱くなり、財布に手を伸ばした。

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