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美ママの決意!

よく話すお客さんの中の1人に、美しいママがいる。
30代中頃で、幼稚園児と赤ちゃんのママ。
スラっとした、モデル体型。
話すようになった初期の段階で、私は気になっていたことを聞いてみた。
『モデルさんですか?純粋な日本人ですか?』
地方でモデルをしていたことのある、生粋の日本人だった。
同じ大和民族なのにこの違いはな〜んでしょう。
神様の意地悪!と言いたくなってしまう。

彼女が宝くじを買うようになったのはコロナ禍が始まってからだった。
少額だが、ちょこちょこ買うようになり、買う日は吉日で、さらに、私から買うと決めているのだそうだ。
私から購入して、数回当たっていると言う。
『当たったからこれどうぞ!』と言ってバスソルトをプレゼントしてくれたことがあった。

『あちこち行ってみて思ったんですよね、相性ってゆうか、縁みたいな、なにかあるんだとおもうんですよね〜』

お客さんの中には彼女と同じようなことを言う人がたまにいる。

『あー、今日はあんたか、じゃあ今日は買わないわ』と言われたことがある。
「憎まれっ子世に憚る」という言葉が頭に浮かんだ。
(それ、わざわざ声に出して言わなくても…
そんなこと言う人は当たりませんから〜)

コロナ禍真っ盛りな頃、『あーーぁ、もう家にいたくない、だからって行くところもないし…』美人ママが嘆いた。

旦那さんの仕事が100%テレワークになって、ずっと一緒にいることのストレスがたまらないのだと言う。
1日三食用意することもしんどいし、なにより、24時間一緒に居ることで嫌なところがどんどん目についてきて、今や一つ屋根の下にいることすら苦痛になってきたのだそうだ。

日に日にケンカも増えてきて、とうとう旦那さんは掟破りのあのセリフ。
「誰の稼いだお金で暮らせてるとおもってんだよ!」砲を放った。
「あんちゃん、それを言っちゃあおしめーよ」寅さんならそう言うだろう。

吉日にいつも私が働いているわけではないので、彼女と顔を合わすのは1か月に3、4回くらいだろうか。
その度に旦那さんへの愚痴を吐露していたが、だんだん深刻さを増してくるその話しの内容に、他人事ながらも気になってくる。

『親族でもなく、友達でもないからこそ本音が言えちゃうんですかね』弱々しく笑いながらそんなことを言っていた。
赤ちゃんがいて自由に動くこともできない。
子育て、家事、三食の支度に片付け。
家で仕事をしているから、静かにしていなくてはならない。
疲れた顔から、ストレスが溜まっているのが手に取るようにわかる。

『どちらかの親御さんに子どもを預けて、リフレッシュとかできないの?』

『どっちの親も遠くにいるから…』

『そっかぁ…』


話すようになってから数ヶ月が経ち、次の季節に変わり始めてきたころの吉日。
『こんにちは〜』最近見ることのなかった晴れやかな笑顔の彼女がやって来た。

『コロナも落ち着いてきたから、だんだん家で仕事していた人達も会社に行くようになったね〜』

『まったく。うちの旦那の会社はこのままずっとテレワークなんだってさ。あたし決めたの!離婚するから!』

『えっ?いつ?』

『すぐじゃないの。あのね、もし、宝くじが当たったらすぐ!即、離婚!アハハッ
当たらなかったとしても、下の子が小学生になるときに離婚するわ!
決めたの!もう自分の親には話してあるの。
それまでは節約して、こっそりお金を貯めることにした!』

サッパリした顔で話している彼女は、別人のように明るい。

数年後に彼女がどうなっているかはわからないが、明確な目標を見つけたことで、1つ峠を越えたのだろう。
人の顔はこうも変わるものかと、美人に相応しい笑顔を見てそう思った。

それにしても、彼女と自分、同じ種族とは思えないなぁ… 羨ましいわぁ。

旦那さ〜ん、今ならまだ間に合うかもよ〜!と教えてあげたくなった。




唐突に、脈略もなく書いてしまう。
昨日まで私は、最近よく耳にする「タスク」という言葉を男性の名前だと思っていた。
横文字を必要以上に使って話すドヤ顔のコメンテーターが苦手です。(笑)

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